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10月11日 ◇◆ はじめから大義は要らなかった!? ◆◇小泉首相はベトナムで何をしてきたというのか ◆◇
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□★□ 天木直人10月11日 メディア裏読み □
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◇◆ はじめから大義は要らなかった!? ◆◇
米調査団が「大量破壊兵器はなかった」との最終報告書を発表して以来、世
界で様々な発言が飛び出している。これからもどんどんと新たな事実や証言が
飛び出してくるであろう。これは好ましい事だ。そうすることによって初めて
我々はあの戦争は何であったかの全貌に少しでも近づけるからである。
もううんざりだと思っている人がいるかもしれない。イラク戦争を支持した
人や、そもそも最初から関心のない人にとってはそうだろう。しかし彼らは間
違っている。米国のイラク攻撃がいまでも続いているのである。「テロとの戦い」
はますます広がっていくのである。そうである以上、その出発点であった米国
のイラク攻撃が正しかったかどうかを明確にさせなければならない。もう一つ
忘れてならない事は、米のイラク攻撃で一万数千人のイラク人が犠牲になった
ということである。米国は世界に対し、このような人命の犠牲を招いてまでも
イラク攻撃を起こさなければならなかった説得ある理由を示さなければならな
い。ブッシュ大統領が再選されたならばこの事が一層求められることになろう
(選挙に敗れたら、ブッシュ政権の中枢はすべて戦争犯罪人として裁かれなけ
ればならない)。
10月11日の朝日新聞によれば、ライス米大統領補佐官が10日フォックステ
レビのインタビューで、「イラクが大量破壊兵器を保有していない事がわかって
いても米国はフセイン政権打倒の戦争に踏み切っただろう」との認識を示した
という。語るに落ちるとはこのことだろう。それならば最初からそういって戦
争を始めればよかったのだ。国連査察など最初から不要であったのだ。
AFP時事通信によれば、元国連査察官のスコット・リッター氏は10日付の
英紙インデペンデントに寄稿し、米英が国際法の精神と規定から外れてイラク
を攻撃したことにより世界情勢を悪化させたと歴史が証明するだろうと主張し
ているという。一方ブリッグス前国連監視検証査察委員長も同紙に寄稿して、
ブッシュ大統領、ブレア首相はイラク攻撃を正当化するために新たなワラにし
がみつき始めた、米調査団は報告書の中で「フセイン元大統領は国連の制裁が
解除されたら兵器開発再開を望んでいた」という言及があるが、これが彼らが
しがみつく新たなワラであると述べたという。
さて日本では国会で野党はどこまで小泉首相に迫る事ができるのか。11日付
の毎日新聞「発信箱」で与良正男記者が書いている。「小泉首相がムキになって
反論する光景が今から目に浮かぶようだ。『査察に協力しなかったイラクが悪
い』とか『間違った戦争だったからフセイン政権に戻せというのか』とか・・・こ
れじゃぁ何の進歩もない。・・・外務省はフランスも最後は決議に乗ると踏んでい
て、米英と決裂した際には小泉首相は見通しの甘さを強くなじったとも聞く。
首相も「戦争の大義」にこだわり、悩んでいたはずだ。それでも開戦を支持す
る以外にないと判断したのは何故か。それをあらためて聞いてみたい。マスコ
ミが検証すると『ウソを書く』と首相は言う。ならば政府の責任で経過を詳細
にまとめ公表したらどうか。・・・米調査団並みに1000ページに及んでも熱心に
読む人は多いと思う」。
その通りである。米国も英国も委員会を作って検証しその結果を国民に明ら
かにしている。日本政府もそれをしなければ米のイラク攻撃を胸を張って支持
した小泉外交の説明責任を果たしたことには決してならない。野党はこの事を
国会で追及しなければならないのだ。
◇◆ 小泉首相はベトナムで何をしてきたというのか ◆◇
国会の開催日を遅らせてまでベトナムに外遊した小泉首相は何をしてきたの
か。さっぱり伝わってこない。11日の日経新聞には会議が終わってもすぐ帰ら
ずに「千三百年前にもベトナムと日本の知られざる交流があったんだなぁ」と
同行記者と遺跡見学をしている記事が写真入で載っていた。同じく11日付の産
経新聞には、「首脳会議の公式行事は7日〜9日であったのに、小泉首相は前日
の6日からハノイに乗り込み、帰国も10日にするなど、首相の外遊には異例と
も言える余裕のある日程を組んで日中首脳会談にいつでも臨める態勢をとって
いた」にもかかわらず首脳会談ができなかったと、舞台裏を報じている。
やることがなくて遺跡観光なのか。ふざけるなと思っていたら、11日付の赤
旗が次のように今回の小泉首相のハノイ滞在中のお粗末な実態を次のように報
じていた。
「・・・アジア欧州首脳会議の脇で各国首脳が二国間外交を展開する中で、小泉
首相が個別に会ったのは開催国のベトナム首相を除けばシラク大統領だけ。中
国の温家宝首相との会談は実現しませんでした。同じホテルに滞在するカンボ
ジアのフン・セン首相からの会談申し入れがあったのを断ったと伝えられます。
『これで、何でアジア重視なんだ』と日本の一般紙の記者が憤慨していました。
首相が6日深夜にハノイ入りした翌日、(私は)何人ものベトナム記者に聞か
れました。『小泉首相が何をしているのか教えて』と。会議の公式日程のほかは
同行記者団との内政懇談だけでした。・・・小泉首相が初めてアセアン首脳会議に
出席したのは2001年ブルネイで開かれた第7回首脳会談でした。その時シンガ
ポールのベテラン記者が『日本はまるで沈黙だ。何のアイディアもイニシアテ
ィブもない』と語ったのを覚えています。当時の小泉首相の発言で印象に残っ
たのは『今回は初めてだから』という言い訳じみたものでした。しかし三年た
った今回もまた、顔なじみのタイの記者から『小泉首相の演説には意味のある
ものは何もない』と指摘されました。実際に、演説、共同記者会見、単独記者
会見を通じて『何をどう考えていくのか』がどうしても見えてこない。・・・米国
だけでなく、近隣のアジア諸国にも姿の見える、アジアの一員としての日本が
求められています」
小泉さんでは無理であろう。なにしろ「首相就任前の三十年近い議員生活で、
一度も中国を訪問していない(首相周辺―11日付産経新聞)」ほど中国に関心が
ない。『私は日中友好論者』と日頃から述べている小泉首相だが、『本心では中
国の態度は腹に据えかねているはずだ』(自民党幹部―同上)。もっとも靖国神
社参拝に固執する小泉首相に『腹に据えかねている』のは中国のほうだ。こん
な状態ではアジア外交が進むはずはない。
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm