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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu81.htm
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ポーランドはなぜイラクへ大部隊を派遣したのか?
外交的駆引きには絶えず裏取引が存在している。
2004年10月31日 日曜日
◆イラクで剥げる化けの皮 国際派時事コラム 平成16年10月31日
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000063858
チャールズ・ドルファー (Charles Duelfer) 報告書。 ご存知でしょうか。 新聞紙上のわずか十数行の要約を読んだだけで小躍りして喜んだ人もいた、米国政府のイラク報告書。 「開戦時、大量破壊兵器はイラクに存在しなかった」と結論づけた報告として知られている。
■ 普通のサラリーマンでもCIA報告書が読める時代 ■
千ページもある報告書なのだから、その内容が十数行で尽くせ るわけがない。じつは、安易にわが道を行こうとした諸国が青くなるようなこ とも、いろいろ書いてあるので、その辺をご紹介しようというのが今回のコラムだ。 充実した報告書というのは、いろんな読み方ができるものだ。
米国中央情報局(CIA)のホームページから原文を落とし込 んで(ダウンロードして)読める。 http://www.cia.gov/cia/reports/iraq_wmd_2004/ さすがに千ページの報告書。コラム子も本職は普通のサラリーマンなので、とてもとても全 部読めたわけではありません。
Key Findings(「おもな発見」)という全16ページの総まとめ 部分は熟読。 そのあと興味のままに、Regime Strategic Intent(「サダム・ フセイン政権の戦略的意図」)という章と Regime Finance and Procurement(「サダム・フセイン政権の財源と資機材調達」) という章を拾い読み。
コラム子の読み方は正直いってそのていどだけれど、それでも 結果として、Key Findings 全16ページがなかなか手際よく纏め られていることが分かった。
本文を読むと、たとえばサダム・フセインの愛読書にヘミング ウェーの『老人と海』があったことをネタに、サダムの心理分析 をした囲み記事があったりして、読者サービスも満点だ。
■ ポーランドからの密輸の衝撃 ■
読んでビックリしたこと。 いろいろある。 「ポーランドからイラクへミサイル用ロケットエンジンが密輸されていた」という話。 え、あのポーランドが! 米・英軍がイラクを占領したあと、治安維持のための部隊を積極的に派遣した東欧の国だ。
ドイツとロシア圏の狭間(はざま)に位置し、米国への移民も 多く、親米国の代表だ。 それにしても、今回のイラク戦役でポーランドの対米協力は突 出していたのだが、これで分かった。
ミサイル用ロケットエンジンの密輸が、国家の意図ではなかっ たと、ポーランドは何としても証明する必要があったのではない か。 ポーランドは、灼熱の地に軍を派遣することでもって、国家と しての潔白の証(あかし)を立てようとしたのではないだろうか。
■ 解き明かされる隠蔽(いんぺい)のからくり ■
ポーランドのこの1件は、ドルファー報告書「サダム・フセイ ン政権の財源と資機材調達」の章の121〜122ページに書かれている。
イラク情報局(スパイ機関)の肝いりで、ポーランドに Ewex 社という商社が設立される。 Ewex 社とイラク政府の商取引が露見せぬよう、両者のあいだ には ARMOS Trading Company という別会社が介在した。 (ARMOS 社は、イラクとロシアが合弁設立した資機材調達のための会社だ。)
地対空ミサイル用のヴォルガ(Volga) 型ロケットエンジンと 誘導装置が、平成13年から15年にかけて、Ewex 社から密輸出さ れる。 イラクが得たロケットエンジンは約 280基にのぼると推定され るという。 Ewex 社は、ポーランドのスクラップ業者やら仲介者を通じて、 ポーランド軍資材局のスクラップ置き場からこのロケットエンジ ンを調達した。 平成15年にポーランド当局によって摘発されるまで。
■ 国連の掟(おきて)を破った一流国の数々 ■
イラクを占領した米国は、数多くのイラク人関係者を尋問し、 膨大な資料を押収して調査を進めた。 ポーランドからのロケットエンジン密輸はほんの1例だ。 やってはいけないはずのイラクへの武器密輸に、いかに多くの 国が関わったか。
たとえば中国。 中国政府は、イラクへの不正な輸出には関っていない、という立場なのだが、実態としては巡航ミサイル用のジャイロスコープ や、国連未承認の送変電プロジェクト用の機器輸出を、中国企業が手掛けている。 ま、北京政府が与(あずか)り知らぬはずがないですな。
フランス、ロシア、ウクライナ、ブルガリア、韓国……。 敗戦国からは、面白いように資料が出てくるものです。 それを押収した米国にとっては、外交上の武器になるわけです。 Supplying Iraq With Prohibited Commodities(「イラクへの 禁制品供給」)と題されたセクションに、幸いなことに日本の名 前はなかった。 日本は「白」である。いまのところ。
■ 本筋はこれだ ■
デュエルファー報告書の本筋をご紹介しよう。 読めば読むほど、サダム・フセインがいたずらに意地を張らず、部下の言うことを聞いてもっと巧妙に立ち回っておれば、米国の 開戦をそうとう困難にしたろうにと思う。
1.イラクはもともと大量破壊兵器開発を意図してきたが、湾岸 戦争でその開発・生産拠点が失われた。それ以降、新たに大 量破壊兵器が生産されたことは、じつはなかった。
2.サダム・フセインにとって第一の仮想敵国はイスラエルでは なく、イランだった。人口が多いイランに対抗するには、大量破壊兵器を抑止力にするしかない、とサダムは考えていた。
3.湾岸戦争後の国連の経済制裁にイラクは苦しんだ。そこで、 経済制裁解除を勝ち取ることを最優先する策に出て、大量破壊兵器開発も一旦は放棄した。大量破壊兵器が実際に見つか り、制裁解除が遠のけば、元も子もなくなると考えたからだ。
4.その一方で、「大量破壊兵器が全く存在しない」という事実 があからさまになってしまうのは、イランに対する抑止力を 失うことになるので得策ではないと考えた。
5.経済制裁が解除されたらその段階で、大量破壊兵器開発が即 座に再開できるよう、研究体制・人員は密かに温存されていた。
6.経済制裁解除を勝ち取るべく、イラクは外交攻勢をかけた。 国連安保理の理事国を分断するべく、ロシア、フランス、中 国および非常任理事国のシリア、ウクライナに対して外交工 作を行っていた。
■ フランスのマスコミはどう騒ぐ? ■
ロシア、フランスに対して、具体的にどんな餌がバラ撒かれた か、けっこう生々しい記述がある。原油利権をお約束して回ったらしい。 フランスについては、「サダム・フセイン政権の戦略的意図」という章の40ページに Iraq's Relationship With France(「イ ラクがフランスとのあいだに築いた関係」)という囲み記事がある。
フランスのもと内務大臣シャルル・パスクア(Charles Pascua) 氏が 1,100 万バレル近くの利権を得ていた、と断定している。 これが日本の元大臣だったら、1面トップ、社会面もぶち抜き のニュースだが、さてフランスではどうだったのだろう。
パトリック・モージャン(Patrick Maugein)という御仁も、 オランダ籍企業経由で1,300万バレルの利権をもらった。イラク側は、モージャン氏がシラク大統領につながっていると 考えて貢(みつ)いだ由。 ... which we have not confirmed(シラク大統領まで本当に つながっていたのか、米国としては確認できていないが)とドルファー報告書は書いている。
シラク大統領の額に汗がにじんでいるか、今度からテレビでよ く観察せねばなるまい。
■ 9・11事変に哀悼の意を表していれば…… ■
それにしても、ため息が出てしまうのが、例のニューヨーク9 ・11事変のあとのイラクの対応だ。 ドルファー報告書は、そのときイラク政府中枢でどんな議論が あったかを伝えている。 (「サダム・フセイン政権の戦略的意図」の33ページ。)
イラク政府の大臣たちは、9・11事変のあと、議論のすえ、 「イラク政府としても、テロリストを糾弾し米国人への哀悼の意を表する声明を公式に出すべきだ」 とフセイン大統領に進言した。 ところが、フセイン大統領はこれを拒否。湾岸戦争でイラク人が苦しんだことに対し、米国からの謝罪が ない限り、哀悼の意など表するわけにはいかぬ、と応じた。
Sadam's response dissatisfied most ministers, who saw the catastrophe as being beyond state-to-state relations. (大臣たちの多くはサダムの反応に不満だった。9・11の災禍は、国家間の因縁を云々するようなレベルを超えたものだと、大 臣たちは考えていたからだ。)
大臣たちは、ここで哀悼の意を表しておかないと、イラク政府 がテロ組織アルカイダと関係していると疑われると懸念したのだ という。 Sadam's poor understanding of US attitudes contributed to flawed decision-making. (サダムは、米国の出方を見当違いし、決断を誤った。)
というタリク・アジズ(Tariq Aziz)元イラク副首相のことばを ドルファー報告書は引用している。日本の新聞上の十数行の要約と、実際のドルファー報告書が、 どれほど違うものか実感いただけたなら幸いです。
▲ 後記 ▼
報告書は読み方次第。 満洲事変後の、有名な「リットン報告書」も、日本史の教科書では1〜3行で片付けられてますが、じつは日・中双方の主張を 縷々(るる)書き込んだ末に、最終的には日本の言い分を現実的落としどころにせよと、書いてあるんですねぇ。
ところが、リットン報告書が日本に満点をくれてないからと、 当時の日本政府は逆ギレしてしまうのです。 逆ギレの急先鋒は外務省でした。 「焦土外交」という身の程知らずのスローガンも外務省が作り ました。
「自分なりに良い子になること」を目指すのではなく、「実を とる」ことを優先するしたたかさが日本政府にあったなら、と悔やまれるのです。
(私のコメント)
アメリカ政府の報告書で「イラクに大量破壊兵器はなかった」と報告されましたが、この報告書にはさまざまな事も書かれているらしい。マスコミの記者などこの報告書を精読すればかなりの記事が書けると思うのですが、そのような分析力が最近の記者たちにはないようだ。むしろ最近出てきたブロガーたちのほうが注目する記事を書くケースが増えてきている。
イラク問題でも香田さんが誘拐されて、死体が出てきたというニュースも日本のマスコミは、まだ裏も取れていないのに通信社が流してきたニュースをそのまま報道してしまった。しかしその死体は別人だったのですが、政府もまだ確認していないと発表していたにもかかわらず日本のマスコミはそのまま垂れ流す。
新潟県の中越地震も四六時中カメラを持って被災者達を追い掛け回す。テレビにしても今どのような報道すべき態度なのかを考えながら報道すべきなのだが、単細胞的な密着取材に終始している。イラクの人質事件においても4月の人質事件ではテレビの前に家族たちを並べて「自衛隊をイラクから撤退させろ」と大報道した。しかしそれは国民から非難された。
今回の人質事件ではさすがにそのようなことは自粛されたが、結果的には香田さんは首を切られて発見されてしまった。今回はさすがに自己責任は当たり前のものとして国民にも浸透しているから、国民は冷静に受け止めている。結局はマスコミはいろいろ騒いだけれども自己責任は持つべきだと言う事が正しかったのだ。
イラクにはポーランド軍が大部隊を派遣しましたが、これも日本の外交評論家達はドイツやフランスと東ヨーロッパに楔を入れるために、ポーランドを新しい欧州と評価したからと解説していましたが、裏ではイラクへミサイル用ロケットエンジンを輸出していた事がばれて、それを穏便に取り計らってもらうようにアメリカに協力したのだ。
このように外交の常識から見れば外れた事が起きた場合、裏では何らかの取引が行われたと見るのが普通だ。その点から見れば日本の小泉内閣のアメリカへの協力姿勢も突出していますが、それも何らかの裏があると見るべきだろう。それにもかかわらず日本のマスコミはニュースを垂れ流すのみで裏をとろうとしない。
イラクのサダム・フセインの外交も読み間違いがあったようだ。9・11以降サダムフセインがテロリストを非難してテロの犠牲者に哀悼の意を示しておけば、アメリカのブッシュ政権もイラクを攻撃出来ただろうか。9・11以降は各国政府も対応に右往左往しましたが、日本政府も小泉首相の第一声は「怖いねー」の一言だった。
このような日本政府の右往左往に対して「株式日記」では、「日本はアメリカを支持すべきだ」とか「インド洋へイージス艦を派遣せよ」と提言して、後に日本政府はそうしましたが、さらに「株式日記」では「政府主催の追悼式を行え」と提言して4日後に小泉首相が記者会見で追悼式を行うと発表した。これほど日本政府関係者はおろおろしていた。
しかし「自衛隊はイラクへ派遣してはならない」と言う私の主張は受け入れられず、小泉首相は自衛隊をイラクへ派遣してしまった。だから今になって自衛隊を撤退させることも出来ずに人質誘拐事件が多発するようになってしまった。すこしは「株式日記」を読んで政策に反映してくれれば日本はマシな国家になると思うのですが、日本のエリート官僚の資質の低下は嘆かわしい。