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核心
2004.10.31
二転三転した『安否』
日本人人質事件
イラクで武装勢力の人質となった香田証生さん(24)とみられた遺体をめぐり、情報は大きく混乱した。米軍に頼らざるをえない日本政府の実情と、戦闘で日常的に犠牲者が発生するイラクの状況が浮き彫りになった。 (アンマン・沢田敬介)
二十九日から三十日にかけ、ヨルダンの日本大使館に置かれた現地対策本部では、身元確認に向けて徹夜の作業が続いた。
記者会見前の段階で米軍から入手した情報では、遺体の搬送先はカタール。だが、米軍機は一向に出発しない。
米軍に照会を重ねた結果、米軍機が飛ぶ先はクウェートとの情報をやっとキャッチ。三十日早朝、在クウェート大使館の医務官が駆けつけ、到着した遺体を確認してみると、香田さんとは別人だった。
だが、搬送された遺体をめぐっては、一時、香田さんの身体的特徴が一致した遺体とは別のものとの見方も流れ、米軍への再確認に追われた。
日本政府は、バグダッド周辺などで見つかった遺体について、イラク国内で確認するすべを持っていない。大使館員でさえ危険で外出が難しい治安の悪化に加え、バグダッドの日本大使館には医務官がおらず、米軍がイラク国外に運び出すまで手を出せないのが実情だ。
さらに、英国の医学情報誌が「イラク戦争開始以来、女性や子どもを含めた犠牲者は十万人に上る」と指摘するほど、イラク国内で死体が見つかるのは日常茶飯事。拉致や誘拐で殺害されるアジアなどの外国人も多く、米軍が外国人の遺体の判別を誤る素地は十分にある。
クウェートに運ばれた遺体が香田さんではないと確認されたことで、現地対策本部は交錯する情報と苦闘しながら、香田さん生存の可能性を求めて、作業は振り出しに戻った形だ。
■地元『日本政府は冷淡』
「日本はちょっと冷淡では?」。イラクで拉致された香田証生さんとみられる遺体が見つかったとの報道を受け、地元では、事件発生直後に小泉純一郎首相が「テロに屈することはできない」と語るなど、テロに対する強硬姿勢が突出した感のある日本政府の対応を疑問視する声も聞かれる。
主要政党の一つイラク・イスラム党幹部のソハイブ・ラウィ氏は「小泉首相は当然ながら犯人側の要求を受け入れるなどとは言えない。しかし、あんなに強い調子で言う必要はなかった」と振り返る。
「『人質を殺すな』と強調する声明も出せたはず。それと同時に、フランス政府のように水面下で交渉のチャンネルを開くよう努力することは可能だ」とラウィ氏。
イスラム聖職者協会幹部のサバハ・ジャセム氏も「小泉首相の発言は賢明でなかった。もし、犯行グループが身代金目的なら、あれで問題ない。しかし、今回はとても過激な姿勢で知られるグループだ。彼らを挑発する必要はない」と語る。
日本のイラク再建への貢献ぶりなどを指摘すべきだった、とするジャセム氏は「前回の日本人人質事件では、広範なイラク人が人質の側に同情していた。しかし、小泉発言によって、イラク社会からの同情を失った。今回の事件だけでなく、イラク人の日本人を見る目が変わるのが心配だ」とも話す。
一方、バグダッド在住の政治アナリスト、ワリード・ゾバイディ氏は「イラク人の間では、どうして、経済大国で文明国の日本が、自国の市民の命を冷淡に扱うのか、という疑問が広がっている。この事件で、日本に対するイメージは完全に変わったと思う」としている。 (カイロ・嶋田昭浩)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20041031/mng_____kakushin000.shtml