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(回答先: 世紀の大誤報または大諜報の証拠=夕刊届く 投稿者 木田貴常 日時 2004 年 10 月 30 日 18:10:12)
イラク邦人人質:
香田さん、安否情報検証 政府とメディア
イラクで武装勢力に拘束された香田証生さんの安否情報が混乱した。30日午後2時、外務省の大臣室に同省オペレーションルームから「香田さんの遺体ではありません」と電話が入った。「一体どういうことだ」。町村信孝外相らが色めき立った。北部バラドで「香田さんらしき遺体を発見」との米軍情報が入っておよそ半日、日本政府とメディアはこの情報に、振り回された。混乱の背景を検証した。
◇政府 米軍情報を過大評価
■米軍情報とは?
米軍から一報が入ったのは同日午前1時過ぎ。外務省によると、イラク駐留の米軍からバグダッドの日本大使館に電話で、身長、体重、後頭部の特徴など香田さんと身体的特徴がいくつか重なった遺体が発見された、との連絡があったという。
ところが、同日昼過ぎにクウェートに搬送された遺体を在クウェート日本大使館の医務官が検視したところ、遺体は(1)一見アラブ風(2)身長175〜180センチ(3)年齢50歳(4)死後1週間経過(5)歯の治療跡が異なる(6)あごひげがあり、はげ頭−−だった。
香田さんとは似ても似つかぬ遺体が、なぜ「似ている」と米軍から伝えられ、信用したのか。
外務省は「米軍とは通信事情が極めて悪く、長いやりとりができる状態ではなかった」(高島肇久外務報道官)と具体的なやりとりを明らかにしていないが、町村外相は「現場の米軍関係者の情報が不正確だった」と述べている。中東の在外公館関係者は「本省が勝手に情報に価値を付けて公表している。それに皆が飛びついて結果的に社会を混乱させた」と本省の対応に不満を漏らした。
日本政府は、「米軍情報」のソース(源)、レベルをどこまで把握、検証していたのか。疑問が残る。外務省筋は、「イラク大使館が襲撃されるとの情報もあり、大使館員を派遣して実際に遺体を見に行けなかった」と釈明するが、高島報道官は「米軍情報をうのみにしたのではないか」との記者団の質問に、「米側もその場で身元確認することはできず、イラク国外の米軍基地に運ぶしかなかった」と述べるにとどまった。日本政府の米軍情報に対する過度な依存と、検証能力の欠落を浮き彫りにした、といえる。
■どう情報開示?
しかし、一連の経過を振り返ると、米軍情報の信頼性を揺るがす事態も生じていた。
遺体移送をめぐる日米間の行き違いがそれだ。米軍は、当初「ドーハ(カタールの首都)に運ぶ」と言っていたが、もともと複数のテロ被害者とともに運ぶ考えだったことから、別の米軍機でクウェートに運ぶことに変更。時間も7〜8時間遅れることになった。
「身体的特徴が一致といってもどれくらいの精度なのか」「銃撃された跡があるという情報も香田さんを拘束しているとされるアルカイダ系のこれまでの殺害手口と違うのではないか」「犯行声明が出ないのもおかしい」
政府内にも「移送手順も行き違うのに情報を丸のみしていいのか」という疑問が芽生え始めた。ただ、メディアが「遺体は香田さんの可能性が高い」と繰り返したのに対し、あえて制止に動かなかったのは、本音では「情報は交錯しているが、香田さんにほぼ間違いない」(政府筋)との思い込みを捨て切れなかったからだ。
「反省すべきところがあるかもね」
首相官邸で30日夜、首相への報告を終えた細田博之官房長官はポツリともらした。
◇メディア 「間接取材」チェックに限界
米軍が発見したという「日本人らしき遺体」について、毎日新聞は30日夕刊1面で「香田さん殺害か/身体的特徴が酷似」と報じたほか、ほぼすべての新聞・テレビが香田証生さんの可能性が高いと判断し、このニュースを大きく扱った。
「米軍の誤り」と最終判断されたこの情報にメディアが飛びついたのは、人質の解放条件である「48時間以内の自衛隊撤退」という期限が29日未明で切れたという認識が伏線になっていた。
事件がいつ急展開してもおかしくないという緊張した取材が続く中、30日午前2時半前後から首相官邸と外務省に突然慌ただしく政府高官が集まり始め、「バッドニュース(悪い知らせ)」「それ(遺体発見)に近い情報が入っている」などと記者団に告げた。
午前4時から記者会見した外務省の高島肇久外務報道官は「香田さんに関する新たな情報が入った」と切り出し、「香田さんの体の特徴と一致する部分があると連絡があった」と米軍からの情報を紹介した。
一致点として高島氏が挙げたのは「身長、体重、後頭部の特徴」の3点。香田さんとの同一性を判断するには不十分な材料だった。しかし、「香田さんの家族にはすでに午前2時半の段階で連絡している」「アンマンの現地対策本部長も速やかに(移送予定先の)ドーハに向かう」などの補足説明により、メディアは発見された遺体が香田さんである可能性が高いとの心証を強めていった。
午前5時前に自民党本部に駆けつけた同党の久間章生総務会長も「本人に間違いないだろうと連絡があった」と述べた。政府・与党幹部は呼び出しを受けた段階で「遺体=香田さん」との感触を得ていたとみられる。
さらに今回はイラク駐留米軍の情報を、外務省などを通して間接取材する形になったため、国内事件のように詰めの取材ができず、結果的に誤った情報のチェックが不十分に終わった。
毎日新聞 2004年10月31日 1時20分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/news/20041031k0000m010130000c.html