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10月29日付・読売社説(2)
[PSI訓練]「自衛隊を生かす法整備が課題だ」
大量破壊兵器の拡散阻止構想(PSI)推進に当たって、日本の態勢に重大な問題があることが浮き彫りになった。
PSIに基づく海上阻止訓練が相模湾沖で実施された。東アジアでは初めてだ。海上保安庁に加え、海上自衛隊も初めて参加した。
だが、自衛隊には、平時に停船検査をする権限がなく、阻止訓練の中核的な役割を果たせない。このため、極めて変則的な形の訓練になってしまった。
海上阻止訓練は、日本国籍の容疑船舶が日本周辺の公海上で米国の容疑船舶からサリン関連物資を受け取るという想定で行われた。日本の容疑船舶の停船検査や容疑物資の発見・押収など、主役は海保で、海自の護衛艦や哨戒機は警戒監視や情報提供の役割をしたに過ぎない。
海自の訓練参加の根拠は、防衛庁設置法による「調査・研究」だった。ほかに法的根拠がないからだ。
海自などによる停船検査だけの訓練は一連の阻止行動とは別に、翌日、横須賀港外で行われた。こちらは、海上警備行動が発令されたという想定だった。
苦し紛れの便法で、海保主体の海上阻止訓練、海自主体の停船検査訓練の二本立てにしたわけだ。しかも、海自は停船検査訓練をしたものの、平時の場合にはその成果を生かせない。
海自が公海上で船舶を停船検査できるのは、現行法では、武力攻撃事態や周辺事態のほか、防衛出動や海上警備行動が発令された場合に限られるからだ。
これでは、大量破壊兵器の拡散阻止に十分な協力はできない。昨年秋のPSI第三回パリ会合で、参加国は、国内法の見直し、強化で合意している。自衛隊が平時から停船検査による阻止活動に参加できるよう、国内法を整備すべきだ。
海自が今回の訓練の主役になれなかったのは法的問題だけでなく、周辺国を刺激する、という外務省の判断もあったからだ。だが、日本の安全保障に深くかかわる問題だ。無用の配慮である。
北朝鮮は、ミサイルや関連部品をパキスタンやイランに輸出し、見返りに核関連物資や技術を入手している。
中国と韓国は、今回の訓練へのオブザーバー参加を見送った。北朝鮮を刺激することは避けたい、という考えなのだろう。だが、中韓両国も、朝鮮半島の非核化を目指すならば、北朝鮮への監視を強めるべきではないか。
PSIの参加十五か国中、アジアは日本とシンガポールだけだ。日本が主導し参加国を増やすよう努めるべきだ。
停船検査は万能ではない。だが、PSIの機能強化を図ることは重要だ。
(2004/10/29/01:56 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041028ig91.htm