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大量破壊兵器(WMD)関連物資輸出などの封じ込めを目指す拡散防止構想(PSI)の海上阻止訓練は27日、海上自衛隊が米豪仏3カ国と合同で乗船検査訓練をし、一連の日程を終えた。ブッシュ米大統領が昨年5月に構想を唱えて以来、アジア地域での訓練は初めて。PSIを主導する米国からは高い評価を得たが、中韓両国は訓練参加を見送った。訓練の筋書きが不自然な形となるなど、PSIの限界もあらわとなった。
神奈川県横須賀市の海自基地で行われた27日の訓練は、海自と米仏豪の3カ国が立ち入り検査をそれぞれ見せあった。海自は、不審船に見立てた護衛艦「しらゆき」に、黒のヘルメットと防弾チョッキを着けた海自の立ち入り検査隊員16人がモーターボートで乗り付け、縄ばしごをのぼって乗船。格納庫の段ボール箱からWMD関連物資を発見するまで約40分間実施された。
前日の海上阻止訓練「チーム・サムライ04」では、日本側の主役は海上保安庁。海自の役割は、近隣諸国への配慮からP3C哨戒機による情報提供だけにとどめられた。そのため翌日にわざわざ「PSI訓練の一環」という位置づけで、海自が乗船検査する訓練を設けた。
今回の訓練について「特異なシナリオ」(政府筋)との評もある。
26日の訓練は、米国籍船がサリン物質の日本国籍船への積み替えを企てた、という想定で実施された。しかし、海保巡視船が追跡・捜索する対象は日本国籍船に限られた。
公海上での乗船検査は主権侵害につながりかねず、海保の捜査も公海上では原則、日本船に限られるためだ。ある米政府高官も、今回の訓練の筋書きについて「日本の単独訓練のようだ。PSIの国際協力の理念に欠ける」と不快感を示す。
ただ、米国も「国際法上の制約から、PSIは十分に力を発揮できない」とみて、最近では国際海事機関の会合で国際法の改正を訴えている。
関係者によれば、米国は「海上航行の安全に対する不法な行為の防止に関する条約」(シージャック防止条約)に着目。早ければ05年3月末にも条約を改正し、WMD関連物資の海上輸送行為を犯罪として位置づけたいとしている。公海上で他国の船を取り締まることも可能になるという。
今回、日本主催でアジアで初めて訓練を実施したのは、この地域でPSIを広げようとする狙いがあった。だが、日本の要請にもかかわらず、アジアからはカンボジア、タイ、シンガポールの3カ国がオブザーバー参加しただけ。中韓両国も参加しなかった。北朝鮮の反発などを考慮したものとみられる。
政府は「中韓両国の理解を深め、別の訓練への参加を働きかけたい」(鈴木哲外務省不拡散・科学原子力課長)との姿勢だが、参加の見通しは立っていない。中韓両国と北朝鮮との貿易量は増加の一途をたどっている。両国の協力が欠けたままではPSIは骨抜きになりかねない。
(10/27 21:05)
http://www.asahi.com/politics/update/1027/006.html