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社説
10月28日付
■日本人人質――救出に手立て尽くせ
やりきれない事件がまた起きた。イラクで日本人男性が武装グループに拘束されたのだ。被害者は福岡県出身の香田証生さんと確認された。
犯人グループは48時間以内の自衛隊撤退を求め、応じなければ香田さんを殺害すると言っている。
イラクで日本人が拉致された事件は、これで3件目となる。要求実現のために人質をとる。それが受け入れられないと殺す、と脅す。そんなやり方は、とても許すことはできない。
犯人グループは国際テロ組織アルカイダに関係があるとされており、地元の部族や宗教指導者との関係は薄いといわれている。4月に日本人3人を拉致した犯人たちは、地元の宗教指導者らの説得に応じて人質を解放したが、今回の状況は当時より厳しそうだ。
日本政府は現地で救出作戦の指揮をとるために、外務副大臣をヨルダンに派遣した。宗教指導者、地元部族の有力者、イラクの暫定政府関係者などいろいろなルートを通じて、早期解放を働きかけてもらいたい。
犯人たちは、4月と同じように、自衛隊の撤退を要求している。
朝日新聞は自衛隊のイラク派遣に反対した。しかし、前回の事件が起きたとき「脅迫を受け入れての撤退には応じることができない」と主張した。つらい判断ではあったが、「無法な要求に弱い国だ」というイメージを広げ、同じような事件を誘発してはならない、などの考えからである。
私たちの立場は今回も変わらない。小泉首相は犯人の要求を拒否したが、やむを得まい。
それにしても、今回は人質になった香田さんの行動に疑問が多い。
前の3人は、それぞれイラク国内でボランティアや取材活動にあたっていた。香田さんの方は、そもそもイラクに向かった理由がはっきりしない。
イラク入り直前に宿泊したヨルダンのアンマン市内のホテルの従業員に、「観光客だ」と語ったという。同宿の日本人には「イラクに1週間ほど旅行に行く」と話したそうだから、旅行のつもりだったのかもしれない。
もしそうなら、状況認識があまりにも甘い。経験豊かな日本人ジャーナリストたちでさえ「今のイラクは危険すぎる」と現地入りを見合わせている。海外各地を回っている香田さんのことだ、現在のイラクがいかに危険な場所か、よくわかっていたはずだ。
アンマンで、周囲の人はイラク行きを思いとどまるよう説得したが、制止を振り切ったという。それがこうした結果になったことは悔やまれる。
サマワに派遣されている自衛隊は、今年12月に派遣期限が切れる。
それを延長するか、撤退すべきかについては、今回の事件とは切り離し、イラクをめぐる全体情勢を踏まえたうえで、改めて考えるべきである。
http://www.asahi.com/paper/editorial20041028.html