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事件の本質は保険ではありません。(それにしても保険会社は損な役回りですね)
http://www.asyura2.com/0411/war61/msg/1068.html
投稿者 あいう? 日時 2004 年 10 月 27 日 01:07:30:9b1hB4DbelDnQ
 

(回答先: Re: ブッシュの戦闘終結宣言。小泉の非戦闘地域への自衛隊派遣。 投稿者 佐藤巧 日時 2004 年 10 月 27 日 00:49:50)

 元来、日本では契約の概念が薄いうえに、論理的思考よりも情緒的反応が優勢なので今回のように保険金の支払いが出来ないケースでは保険会社(社員)が悪役にされる事が多そうですね。(本当の出し惜しみもあると思いますが。)金銭が絡む問題であることも理性的判断を狂わせる原因であると思います。
 もっとも、公共性の高い業種なので、普段から理解を得る努力をすることと、契約に該当する場合の適切な支払いで信頼感を増しておく事が保険業界の責務ではないかとも感じます。

 あらためて産経、朝日の記事と約款を情報源として今回の事件を概観してみると、橋田さん遺族の主張は
1.日米政府の『戦闘終結』認識の是非を問う
2.フリーの戦争ジャーナリストの置かれた立場のアピール
です。(保険金の支払いが目的ではありません。)
 主張の是非は別にして、訴訟の対象とされた保険会社は巻き込まれただけです。批判対象を攻撃するために第三者を巻き込んでも構わないというというというのはたとえ主張が正当でも手法的には自爆テロと変わらないのではないでしょうか?
 以下は橋田さん遺族の主張に沿って書きます。
1番目の主張「戦争・戦闘」について、保険の約款の関連部分を要約すると
A.戦争
B.暴動・内乱・革命・・・など、その他の治安維持上重大な事態
Z.免責
と分類したときに、
「A.またはB.ならばZ」
と理解できます。
 A.「戦争」ならばZ.「免責」ですが、その逆は正しくない(Z.「免責」が確定しても、B.「その他の事態」の可能性があるのでそれがA.「戦争」の認定に繋がらない)のは明らかです。この事件はテロなので産経にあるように「『武力行使の状況下』あるいは『武装反乱の状況下』」が適当ではないですか?
 また、ブッシュ大統領の「大規模な戦闘の終結」宣言も、小泉首相の答弁「サマワは非戦闘地域」も、バクダッド幹線道路で武装グループに(正規のイラク兵ではなく)襲われた橋田さんの事件と矛盾するものではありません。政治家の責任を追及することは重要ですが、批判の論旨がこじつけでは詭弁を弄する政治家と同等です。

 橋田さん遺族の2番目の主張「フリーランスの立場」の問題については、朝日の記事が気になります。朝日の記事は全くこの主張を掲載していません。自社の人間を危険地帯に送らず、身分保障のないフリーの人間を使ってきたのは新聞やTVなどのマスメディアなので、本来この問題は自分達の問題として捉えるべきなのですが、このような批判の可能性を回避するために情報を制限したとしか思えません。少なくとも、経済的に「戦争保険」に加入できない状態で仕事をさせていたのは事実なのですから。果たして自社の社員をそのように扱う事が有り得るでしょうか?一方、使ってもらう側のフリーのジャーナリストは企業と個人の力関係からこれ以上踏み込んだ主張は出来ないでしょう。
 さらに、朝日の記事ではAIU側が「戦争免責」という回答をしたことになっていますが、ブッシュ大統領の「戦闘終結」発言などの経緯を考えると、解釈の分かれそうな「戦争」という言葉を使ったとは思えません。おそらく主張内容は「『武力行使の状況下』あるいは『武装反乱の状況下』」という記事の方が正しいのでしょう。
 ではなぜ「戦争免責」という記事になったのかと考えると、担当記者が戦争免責という概念を始めから知っていていながら保険会社の主張のみは勘違いしたという可能性は低く、遺族側の主張を知ったうえで記事を書いたことは間違いないと思います。最近の朝日新聞が起こした様々な問題の動機を考慮すると、「戦争か否か」の司法判断へと世論の誘導を謀った可能性が高いと思います。判決(おそらく敗訴)が出るときに、司法の「戦争認定」か「政治判断の保留(司法批判)」という記事を出すのではないかと注視することにします。
 権力批判はジャーナリズムの重要な責務ですが、その目的のためにマスメディアが虚偽情報で世論誘導を試みるという事は許せません。さらに、フリーの人々との関係についても自己批判から先に始めるべきではないかと感じます。
 以上のように、この問題で論点にするべき本質は
1.遺族の主張方法の正当性
2.フリーの戦争ジャーナリストに対するマスメディアの立場
3.マスメディア、特に朝日新聞の報道姿勢
であると私は感じます。
 橋田さんの死は不幸ですし、遺族の置かれた経済状況は大変だと思います。保険でも政府の対応でも救済手段が存在して欲しいと感じたり、怒りのぶつけ場所を求める感情は理解できますが、その結論に結びつけるための短絡的で合理性を欠いた主張には同調できません。危険を冒して真実を伝える戦争ジャーナリストはメディアと国民にとって必要な存在なので、募金の呼びかけやメディアがフリーランスと契約する際の条件に事故対応の制限を付けるという内容の主張であれば同意します。

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