現在地 HOME > 掲示板 > 政治・選挙7 > 951.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
NHK特番問題:
「政治に弱い」NHKに視聴者の不信感
NHKと朝日新聞社の対立は、現時点で判定を下すには材料不足だ。ただ、メディアと政治との関係についていえば、NHKは突出して政治との距離が近く、常に不透明さがつきまとってきたように思う。【岸井成格・特別編集委員】
放送・通信の分野では今でも「田中支配」という言葉が生きている。田中角栄元首相が“ドン”として君臨し、特にNHKは、田中派−竹下派−小渕派−橋本派の系譜に連なる政治家たちの影響力が強かった。
ロッキード事件で逮捕された田中元首相が釈放されて東京・目白台の自宅に帰った時のこと。郵政事務次官出身で元首相に近かった小野吉郎NHK会長が田中邸に駆けつけ、出迎えた。小野会長は世論や野党の批判を浴び、辞任した。
中でもNHKの“守護神”とも呼ぶべき存在だったのが、茨城県選出で田中元首相に信頼された“郵政族”の実力者、橋本登美三郎・元自民党幹事長だ。今回のNHK批判の矢面に立つ海老沢勝二会長、ポスト海老沢をうかがう有力理事、そして先に番組制作費詐欺事件で摘発された元プロデューサーは、いずれも茨城県出身だ。
これは偶然とは言い切れない。橋本元幹事長に連なる茨城人脈がNHKに増殖し、職員のモラルの低下を招いたという指摘が多い。このことは縁故採用、情実人事がまかり通る社内風土と無縁ではあり得ない。
政治家の子弟や後援会関係者、郵政省(現総務省)や族議員らの推薦には「最大限の配慮」がなされてきたという。政治部出身者で固めた海老沢体制は、こうして築き上げられた相互依存の集大成といえる。そして「田中支配」の最終走者である旧橋本派の衰退と時を合わせ、一連の不祥事と疑惑が噴き出した。
NHKの内部では、かつて、実力者の会長と労組(日放労)委員長(旧社会党衆院議員)との間で壮絶な権力闘争が展開された。与党だけでなく野党も巻き込む“暗闘”だった。実態が見えぬまま、表向きはともに私的スキャンダルで失脚したが、多くのナゾが残されている。
当時、新聞協会の有力幹部がNHKの幹部に忠告した言葉が伝えられている。「どんな組織にも権力闘争や派閥争いはある。しかし、NHKのように、そこへ政治が介入したり、NHK側から政治権力を招き入れようとするのは異常だ。報道機関としてはあってはならないことであり、自殺行為だと知ってほしい」
NHKにその自覚があるだろうか。朝日が今回指摘した問題の評価は即断できないが、「政治に弱い報道機関」という視聴者の不信をNHKは真剣に受け止めるべきだろう。「特殊法人であり、予算や事業計画が政府や国会の承認を必要とする弱い立場なので」という言い訳は通らない。
毎日新聞 2005年1月25日 0時55分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050125k0000m040148000c.html