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NHK特番問題:
政治との距離、NHKはどう保つ?
旧日本軍の従軍慰安婦を扱ったNHKの特集番組をめぐり、政治家が介入した疑いを指摘した朝日新聞と、これを否定するNHKが互いに抗議、反論の応酬を繰り広げている。「政治家の圧力」による「番組内容の改変」はあったのか。朝日新聞の取材に問題はなかったのか。ジャーナリズムの根幹にもかかわる問題と、その背景を検証した。【NHK問題取材班】
◇予算編成期 批判派に事前説明
特集番組が放送された01年1月30日の前、NHK幹部らは、安倍晋三自民党幹事長代理だけでなく、自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」のメンバーにも番組内容を説明していた。同会会長の古屋圭司衆院議員は毎日新聞の取材に、議員会館の自室で放送前、NHK側から新年度予算の内容と一緒に番組についても説明を受けたことを明らかにした。
議員の会は今月19日に出した見解で「NHKはそのころ、当会議員数人を含む自民党関係議員に予算を幅広く説明、番組についても『内部からも問題視する意見があり、いま修正している』といった説明があった」としている。NHKが当時、政治サイドの理解を得ることに躍起になっていた実態を浮き彫りにしている。
同会は歴史教科書問題などに取り組む議員連盟で、この特集番組に批判的だった。安倍氏は元事務局長で現在は顧問。当時の会長は中川昭一経済産業相。メンバーは全体で約10人で、衛藤晟一、下村博文、平沢勝栄各衆院議員らも参加している。
番組の編集・放送時期はNHKの予算編成、国会提出の時期と重なる。古屋氏によると、面会はNHK側が求めたもので、時間は15分程度。予算説明の後、NHK側が特集番組に言及し、「いろいろ話題になっているので、現在放送内容について検討している」との説明があった。古屋氏は「公正にやって下さい」とだけ述べたという。
NHK側の面会の狙いが予算説明にあったのか、番組内容の説明にあったのか即断はしにくい。この時期、NHKが予算説明に各議員を回るのは「恒例行事」でもある。平沢氏は「NHKは予算のペーパーを配りにアポイントなしに回ってきた。放送前だ。たまたまいた私が『大変ですね』と声をかけたら、『ちゃんと公平な番組を作っていますから』と言っていた」とも述べている。
NHKの宮下宣裕理事は19日の記者会見で「安倍さんと中川さんが『議員の会』の幹部をしており、この会で番組が話題になっているということをあらかじめ知っていたので説明した」と語った。議員の会幹部の一人は番組内容の事前説明について「普通はない。私のところに事前に来たのはあの特番だけだ。それほどあの番組が異常だったということだ」と言う。
政治圧力・介入について、議員の会は「『変えろ』などと圧力をかけた事実はない」と否定している。
◇「通常業務の範囲」とNHK
政治家に番組内容を事前に説明することは、放送法が規定した表現の自由の保障に抵触しないのか。この点についてNHKのコンプライアンス(法令順守)推進室は「通常業務の範囲内」との見解を示す。NHKの関根昭義放送総局長も19日の記者会見で「事業計画、予算をより多くの国会議員に理解してもらわないといかん。そのためには番組も含めて事前に説明する。当然の行為」と語り、「議員に会うと圧力をかけられたんじゃないかと考えるのは短絡的。そんな自殺行為に結びつくことはしない」と主張した。
◇NHKは政治と不可分
NHKの活動は、すべて1950年に制定された放送法に規定されている。予算、事業計画は国会承認が必要で、事業年度開始までに承認されない場合は3カ月間だけ暫定予算が組めるが、それを過ぎると法的な存在根拠がなくなる。NHKの最高意思決定機関である経営委員会の委員も、首相が任命する。
放送が免許事業であることも合わせれば、NHKは政治と不可分の存在といえる。予算成立のためNHKは国会対策に腐心し、政治家は予算を盾にNHKに口を出す−−という構図だ。
NHKの予算、事業計画の流れは左図の通りだが、実際には閣議決定の前に与党の了承が必要となる。最大の関門は与党、とりわけ自民党対策で、党内の予算審議には会長自らが出席して説明を行うことが多いという。
◇放送法の関連条文◇
1条2(目的) 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって放送による表現の自由を確保する
3条1 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、または規律されることがない
3条2(番組編集)(1)公安及び善良な風俗を害しないこと(2)政治的に公平であること(3)報道は事実をまげないですること(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
【経営委員会】NHKの経営方針や業務運営を決定する権限と責任を持つ最高意思決定機関。予算や事業計画などは経営委の議決を経なければならない。
委員は12人で委員長は互選される。各地区ごとに教育、文化、科学、産業などの分野から公平に選出され、衆参両院の同意を得て首相が任命する。
任期は3年。会長の任命権、罷免権を持っている。
▼安倍氏の主張 NHK幹部を呼び出した事実はなく、01年1月29日に予算説明に来た時に番組の説明があり、「公平公正な報道を行ってもらいたい」と述べたのが真実。私がNHKに圧力をかけたことは全くない。朝日新聞に謝罪と訂正を要求する。
▼中川氏の主張 放送前にNHK幹部に面会したことも、呼びつけた事実もない。会ったのは01年2月2日で「不偏不党から外れた番組なら放送すべきではなかった」という趣旨のことを言った。朝日新聞の報道は事実と違い謝罪と訂正を要求する。
毎日新聞 2005年1月25日 0時48分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050125k0000m040147000c.html