現在地 HOME > 掲示板 > 政治・選挙7 > 667.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
1月20日 05年15号 ◆ 新聞が書かない「日朝交渉」の舞台裏 ◆ 米国頼みの人たちの心の中 ◆ 保護司と公証人の待遇の対比
contents------------------------------------------------------
◆ 新聞が書かない「日朝交渉」の舞台裏
◆ 米国頼みの人たちの心の中
◆ 保護司と公証人の待遇の対比
------------------------------------------------------ contents
◇◆ 新聞が書かない「日朝交渉」の舞台裏 ◆◇
拉致問題をめぐる小泉外交についてはもう書かないつもりだった。2年以上も続いた外交工作が完全に失敗に終わったかだ。打つ手がないからだ。拉致不明者の家族があまりにも気の毒で書くのがつらいからだ。
しかし本日(20日)発売の1月27日号週刊新潮に書かれている「新聞が書かない『日朝交渉』の駆け引き」を読んで、どうしても書かずにおれなくなった。この記事に書かれていることが事実なら、そして政府が週刊新潮に虚偽報道であると訴えないなら事実ということなのか、小泉外交は許せない。
週刊新潮の記事は、小泉首相の側近が昨年の暮れに朝鮮総連のドンである許宗萬氏に手紙を託し、「生きているならめぐみさんを返してほしい。直ぐに返すことが無理なら、生存情報を出してもらえないか」と頼んだ事実を明らかにしている。
小泉首相が、国民の前で堂々と金正日総書記に拉致家族の返還を要求するのであれば、私はそれこそ正しい外交であると心から評価する。
しかし、国民の目の届かないところで、しかも北朝鮮と深いつながりがあると皆が認める朝鮮総連のドンを通じて取引をしていたとするならば、これは国民や拉致家族に対する背信行為である。
朝鮮総連幹部に対し、金正日が本当のことを言うはずはない。昨年12月25日に帰国した許宗萬氏はこう話したという。
「共和国は、8人については死亡したと何度も日本政府に説明した。横田さんについては、骨はないと言った。外務省の藪中(当時アジア・大洋州局長)が『何か証拠を出してくれ』というから応じたまでだ。帰国した蓮池らは真相を知っているはずだ。これからは日本を入れず、アメリカと2国間で協議する」
こうした許宗萬氏の発言は既に官邸に伝えられているという。日本の大手の新聞記者も知っているはずだ。それでも小泉首相は「対話を続ける」とすました顔をして記者に話す。記者は本当のことを書かずに小泉首相を擁護する記事を書き続ける。
やがてブッシュ政権と北朝鮮の取引が始まると私は見ている。米国をおそれる北朝鮮は核で譲歩する。イラクで行き詰ったブッシュ政権は、北朝鮮が核問題で譲歩すれば、一気に外交関係を進めるであろう。その場合は日本に北朝鮮に援助するよう求めるめるであろう。渡りに船である。小泉首相は日米同盟の成果であると自分の手柄を喧伝し国交正常化を進めるであろう。
こうして拉致問題は「国益」の前に切り捨てられる。小泉首相も外務官僚も、行き詰った北朝鮮との外交から抜け出せるにはこれしかない事を知っている。
◇◆ 米国頼みの人たちの心の中 ◆◇
日米安保体制が日本の国益にとってかけがいのない選択だと思っている人たちの言動は極めて単純である。
米国が世界の為に良い事をやっている時は大手を振って米国を評価できる。そして米国との強固な協力関係を自慢していればいいのだ。
ところがその米国が悪い事をした場合どうなるか。批判すれば良さそうなものだが米国に嫌われる事をおそれて批判できない。あるいは、米国は何とも思っていなくても、世間から反米というレッテルを貼られることをおそれて米国批判の発言を自己規制する。
米国の悪行が我慢できるほどのものであれば、「しゃーねーなぁ」と思いながらやり過ごすこともできよう。ところが今回の米国のイラク攻撃のように、誰が見ても不当な、しかも極端な悪行を行った時、そしてそのツケを自衛隊の派遣や米軍再編という形で日本に押し付けてくる時、彼らは本当に困る。拒否できないわけである。
だから、なんとか理由をつけて、対米協力を正当化しようとする。これは彼らとしても不愉快な事だ。苦しいことだ。従って彼らはいつも心の中で祈る。「どうか米国が無茶な事をやりませんように。どうか日本に無理な要求をぶつけて来ませんように」と。
20日に発足する第二期ブッシュ政権については、今のところ強硬政策を変える兆しはない。それどころか第二期ブッシュ政権の顔ぶれを見ると強硬派がそろっている。おまけにライス国務長官にしろ、ゼーリック副長官にしろ、日本に関心のない人ばかりだ。ただでさえ米国との人脈がない日本は、さぞかし当惑していることであろう。それでも困ったとはいえない。新政権の強硬政策を表立って批判できない。
20日付の新聞に二つの論説があった。いずれもそれぞれの立場から当惑しているのだ。一つは読売新聞の佐藤謙氏の論説である。彼は元防衛庁事務次官だ。その立場上日米安保条約を否定するわけには行かない。しかしおそらく良識のある人なのであろう。米国の「テロとの戦い」という強硬政策に疑問を抱いているに違いない。だからその論評でも、米国との安保協議は主体的に行うべきであると繰り返し言う。受身一辺倒から脱しなければならないという。言うべきは言い聴くべきは聴く率直な協議が可能な環境が整ってきていると言う。
しかし日本が何を言い、何を聴くかについては何も語られていない。「日米安保関係をより適切な役割分担関係に基礎を置くものとし、日米を真のパートナーとする…」だけではあまりにも空疎である。
もう一つの産経新聞「正論」の田久保忠衛・杏林大学客員教授の論説は分かりやすい。田久保氏の言う事は目を瞑っていても分かる。いつも同じだから。
それでもなかなか書きづらかったと思う。ブッシュ新チームの外交・防衛政策は一糸乱れぬ団結力を増したと評価し同盟国日本への期待は変わらないだろうと勝手な希望的観測を述べる一方で、中国の悪口を次のように言う、「日本は米国と組んで中国に対抗すべきだなどと物騒な提案をするつもりはない(と言いながら本当はそう言っているのも同然であるが)。ただ中国に普通の民主主義国家を目指すことを求めたい…」。要するに米国を褒めようにも褒められないのだ。だから団結力が強まったという当たり障りのないことしか欠けないのだ。おきまりの中国警戒論を繰り返すのだ。
いずれの論説も空疎である。どうにもならない米国を相手に一人相撲の論評を展開しているだけである。
皆さんも注意して読まれるといい。米国の単独主義は間違いであという対米批判の論評のほうが、はるかにその論評に広がりと深さがある。
◇◆ 保護司と公証人の待遇の対比 ◆◇
20日付毎日新聞「記者の目」で、社会部記者の伊藤正志氏が「二つの公務員」と題して極めて興味深い記事を書いていた。すなわち法務省が所管する二つの公務員である保護司と公証人の待遇があまりにも対照的であり、ここに政府の進める司法改革の影の部分が見えてくるというのである。
保護司は仮釈放中の受刑者や非行した少年と面接し、更生を手助けする。民間ボランティアで国からの給与はなく手当てである。それもスズメの涙ほどという。その一方で公証人は退職した検察官や裁判官らの天下り先で、公正証書という公文書を作成するだけで年に千数百万から数千万円を稼いでいるという。
当然のことながら保護司は不足している。定員5万2500人に対し、約3500人も不足している。僧侶や神職、農家などが多数を占め、最近は退職者や主婦など無職が多い。なり手が少なく高齢化が進む。支払われる手当ては、実費弁償金と呼ばれ対象者一人当たり月3000円、これでは電話代や交通費さえ賄えない。
これに対して全国に516人いる公証人は、全員が法務省と裁判所の退職者である。大都市の公証人は平均3000万円を超す高年収といい、検事正や裁判所長など幹部だった検察、裁判官が独占している。
保護司に冷たい法務省が公証人の現状改革になぜ及び腰か。それは利権に縁遠い法務省の数少ない天下り先であるからだ。
伊藤記者はこう締めくくっている。久し振りにすがすがしい気持ちにさせられた記事であった。
「…裁判員制度の実現など、司法改革がここ数年、脚光を浴びた。その方向性を定めた司法制度改革審議会の意見書に、公証人改革の記述は一行もない。保護司については『国民各層から適任者を確保すべき方策を検討すべきだ』とわずかに触れられただけだ。法務省が二つの公務員の置かれた現状を見直すことこそ、国民に信頼され、国民が積極的に参加する司法改革の実現につながると思う。」
http://amaki.cocolog-nifty.com/