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自衛隊と米軍が朝鮮半島有事を想定し、「5055」というコードネームを付けた共同作戦計画を策定、調印していたことが明らかになった。朝鮮半島で戦う米軍への支援と同時に、数百人規模の武装工作員の日本への侵入を想定し、その場合には自衛隊が単独で対処する。10日に閣議決定された新「防衛計画の大綱」も、この作戦計画を前提にしている。ただ、朝鮮半島情勢の急変に備えて早く作成することを優先させたため、警察など関係機関との調整が不十分なままの内容となっている。
「5055」は、97年の「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」を受け、自衛隊の統合幕僚会議事務局長や在日米軍副司令官がメンバーの共同計画検討委員会(BPC)で作成した。新ガイドラインでは共同作戦計画に加え、警察の運用などが対象となる相互協力計画の検討が盛られているが、「5055」に一本化することになり、02年に調印された。
「5055」は、9・11同時多発テロ後初めて、日米の制服組が調印した計画だ。その構成は(1)攻撃を受けて遭難した米軍人の捜索・救難など米軍への直接的な支援(2)米軍が出撃や補給をする拠点となる基地や港湾などの安全を確保する−−などからなっている。
想定されている一つのケースに、北朝鮮の武装工作員ら数百人による上陸がある。陸上自衛隊は警護対象として、米軍基地や日本海沿いの原発など重要施設135カ所をリストアップした。
海上自衛隊は原発などの沖合に護衛艦や哨戒機などを待機させ、工作船などを警戒する。また、浮遊機雷の掃海などで朝鮮半島と九州北部とを結ぶ輸送ルートを確保する。航空自衛隊は早期警戒管制機での情報収集や、C130輸送機などで朝鮮半島からの避難民の輸送支援をする。
「5055」策定をめぐる会合では、自衛隊は数千人の武装工作員の侵攻を想定した。だが、米軍は「こちらの分析では、多くても数百人」と主張。日本側が歩み寄り、基本的に自衛隊単独で対処することになった。
これをきっかけに、自衛隊は侵略対処の重点を、ゲリラや武装工作員に移した。年ごとに改定される防衛計画でも、今年度から、北海道にある20余りの連隊のうちの半数が首都圏防護のために移動し、重要施設を警護する計画が盛られた。「武装工作員の首都圏侵入」に対応するためだ。
新防衛計画の大綱策定をめぐり、最大の焦点となったのが陸自の定数削減だった。財務省は4万人削減を主張したが、陸自が強硬に反対した。「5055」で想定されているゲリラ・工作員対処が、「最も人手のかかる作戦」(陸自幹部)という理由が大きかった。
防衛庁は定数問題の折衝のなかで、96年に韓国で起きた北朝鮮工作員ら二十数人による侵入事件で、韓国軍が最大6万人を動員して対処に約50日間かかった例を挙げた。新大綱には、工作員などが侵入した地域にすみやかに部隊を派遣する「中央即応集団」も新設された。
一方、「5055」が02年に調印されたのは、「朝鮮半島情勢が急変する可能性は常にある」(米軍関係者)との懸念があった。結果として国内の関係省庁や自治体との調整作業は積み残しとなった。
陸自は02年から各道府県警と治安出動を前提とした図上演習を行っている。だが、米軍基地や他の重要施設の警護で、どこを優先し、どう任務を分担するという協議は遅れている。米軍支援も、港湾や空港の警備など警察や国土交通省などが管轄する分野は空白で、「穴だらけの計画」(防衛庁幹部)となっており、日米間で改定を続けることになっている。
新大綱で、陸自の定数は5000人削減されたが、現在の実数と比べれば、やや上回る水準だ。新大綱で示された自衛隊の姿は、マンパワーでみる限り現状維持に近い。
冷戦後に欧米の軍は、大規模な削減努力を続けてきた。日本とは安全保障環境が異なるとはいえ、90〜03年の間、自衛隊の2%減に対し、欧米の軍は30〜51%も減らしている。
冷戦時代からの規模にこだわる自衛隊。それを主張する理由の一つに「5055」がある。 (12/12 06:12)
http://www.asahi.com/politics/update/1212/001.html