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私たちは、日朝国交正常化交渉が日朝平壌宣言と2度の日朝首脳会談の合意に基づいて、ただちに再開されるよう訴える。
今年5月の日朝首脳会談以後、すでに3回にわたり日朝実務者協議が開かれた。協議では、首脳間の合意に沿って、国交正常化交渉の再開日程を詰めるはずであった。ところが、日本側は一方的に拉致問題だけを追及する場としてしまった。
たしかに拉致事件は許されざる人権侵害事件である。しかし、だからといって、拉致問題の全面解決を日朝国交交渉再開の前提条件とすることは認めることはできない。日朝平壌宣言のどこにも書かれていないし、日朝首脳会談でも、また日朝実務者協議でも合意されていない。拉致問題を前提条件とすることは、日朝平壌宣言と日朝首脳会談の合意に明らかに反している。
もちろん、日朝平壌宣言に明記されていないからといって拉致事件の解明を後回しにしてよいわけではない。しかしながら、日朝関係が不正常な状態に陥ったのはなぜなのか。拉致問題のためではない。ましてや核問題やミサイル問題のためでもない。戦前の日本政府が朝鮮半島全域を不当に植民地支配したためであり、戦後の日本政府が植民地支配について過ちを認め謝罪し償わずに放置してきたためである。
したがって、不正常な日朝関係をただすことが日朝政府間の交渉で最優先されるのは当然である。日朝平壌宣言の核心は、日本による朝鮮植民地支配の清算のために日朝国交正常化交渉を行うという点にこそある。
拉致事件は深刻な人権侵害であるが、同時に日本による朝鮮植民地支配もまた深刻な人権侵害である。自国民の人権侵害だけを声高に叫び、みずから犯した他国民の人権侵害について責任追及から逃れようとする態度は、国際社会からみれば、まったくの身勝手であり、非人道的態度である。
折しも来年2005年は日本敗戦、朝鮮解放60年であり、日本が朝鮮半島の植民地支配を実質的に完成させた乙巳保護条約から100年という節目の年である。「解放から60年もたったのに日本は何もしてくれない」。そうした苦い思いを抱きながら、過酷な目にあった朝鮮の被害者たちが次々と亡くなっている。私たちは、そして日本政府はこうした現実をあらためて直視しなければならない。日本が過去、朝鮮半島と朝鮮の人々にもたらした罪科について、今一度思い起こさなければならない。
来年中の日朝国交正常化実現に向けて、日本政府が年内にも実務者協議を開催するなど動き出すよう、ともに働きかけを強めていこう。
[朝鮮新報 2004.12.3]
http://210.145.168.243/sinboj/j-2004/05/0405j1203-00002.htm