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橋本元首相:
政倫審弁明 当事者意識薄く疑惑さらに深まる
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20041201k0000m010172000c.html
日本歯科医師連盟(日歯連)から自民党旧橋本派(平成研究会)への1億円ヤミ献金事件をめぐって30日に開かれた衆院政治倫理審査会は、橋本龍太郎元首相がこれまで「記憶にない」としてきた日歯連からの1億円授受を認め、「政治とカネ」に関する疑惑をいっそう深めた。しかし、審査会は「私が受け取ったことは事実なんだろう」などと当事者意識に乏しい橋本氏の弁明を許し、真相に迫れたとはとても言えない。与党は事件を受けた今国会での政治資金規正法改正を見送っており、事件の真相解明も、制度改革も年明けの通常国会に持ち越された。
◇「政治とカネ」また先送り
「(日歯連の)臼田貞夫元会長が1億円の小切手を私に渡したといい、(平成研=旧橋本派=の元会計責任者の)滝川(俊行被告)が私から受け取ったと。平成研の口座に入金されたのは事実で、私が受け取って渡したことは事実なんだろう」。橋本氏の弁明は01年7月2日に行われた臼田被告との会食と1億円授受を、人ごとのように認めるところから始まった。
橋本氏は政倫審への申し出書で、臼田被告との会食を「記憶にない」と強調してきた。しかし、自民党内でも「『知りません』では、党が持たない」(国対幹部)との批判が上がり、橋本氏は「客観的事実」として会合出席を認める方針転換を余儀なくされた。
しかし、弁明で「会食の行われた料亭の予約と支払いは橋本事務所が行った」との新事実を明らかにし、橋本氏の疑惑は膨らむ一方だ。会場を自らの事務所で予約しながら、同席者については「記憶にない」と従来通りの発言にとどめた。
一方、収支報告書の不記載について、橋本氏は「確認を怠った道義的責任は免れない」と述べたものの、会計処理についての直接的な関与を否定した。収支報告書不記載で在宅起訴された旧橋本派会長代理、村岡兼造元官房長官は民主党の聴取に対し「カネは会長と事務総長で仕切っていた」と述べ、橋本、野中広務両氏の関与を示唆。検察側主張と村岡発言との違いを聞かれた橋本氏は「どちらが事実か分からない」と論評を避けた。
橋本氏は派閥会長を綿貫民輔前衆院議長から引き継いだ際、「当時の会計責任者から繰越金は実際はそんなにない」との説明を受けたことも明らかにした。繰越金は残高証明書などの添付が義務付けられていない。不明朗な実態を知りながら放置したともいえ、野党側は「政治資金規正法に基づく虚偽記載にあたる」と指摘している。
自民党で質問した山口俊一衆院議員(無派閥)は思わずこう問いかけた。「派閥の会計処理が余りにもずさん。失礼ながら、派閥会長としての存在感はあったのですか」
橋本龍太郎元首相は、首相経験者としては初めて政倫審に臨んだ。人一倍鼻っ柱が強いことで知られるが、この日は低姿勢での弁明に終始した。
◇派閥の凋落象徴 付き添い一切なく
橋本氏は、田中派、竹下派という自民党最大派閥に所属し、早い時期から将来を嘱望されてきた。医療、年金などの厚生行政に明るく、厚生族のドンと呼ばれた。竹下派時代、小沢一郎民主党副代表らとともに「竹下派7奉行」と称され、96年、首相に就いた。しかし、ヤミ献金事件の発覚で派閥会長を辞任。次期衆院選でも小選挙区からの立候補断念を余儀なくされ、比例代表での出馬にかすかに期待をつないでいる。
身内だった旧橋本派の幹部からは同日、「すぐに会長を辞めれば派閥はこんなことにならなかった」との陰口が漏れた。疑惑の「飛び火」を警戒してか、同派議員がこの日、橋本氏につき添うことは一切なかった。「かつて同じ竹下派にいたが、隔世の感だ」(石井一民主党副代表)。ロッキード事件(76年)、東京佐川急便事件(92年)と、領袖らの醜聞が繰り返されてきた最大派閥の凋落(ちょうらく)を象徴するような政倫審だった。【中田卓二】
◇政倫審の限界を露呈
30日の政治倫理審査会で、橋本氏は日歯連事件の核心について「記憶にない」を強調し、証人喚問のように偽証罪に問えない政倫審の限界を浮き彫りにした。与野党双方が提出した政治資金規正法改正案も、ともに継続審議となりそうで、「政治とカネ」がテーマだった臨時国会は、後味の悪い幕引きを迎えそうだ。
民主党の岡田克也代表は同日、「政倫審は『やったらそれで終わり』ではない」と引き続き追及する姿勢を見せたが、与党側は「今日の説明で十分だ」(武部勤自民党幹事長)と幕引きを図る。政倫審が「疑惑議員の駆け込み寺」と呼ばれる理由はここにある。
政倫審は原則非公開。公明党の神崎武法代表は24日、「国民が大変な関心を持っている。本人が公開を求めたらいい」と述べたが、橋本氏は同日の弁明で「法律にのっとってお願いした」と同意しなかった。
また、自民、公明両党は今国会に、政治団体間の献金に5000万円の上限を設けることなどを盛り込んだ政治資金規正法改正案を提出したが、迂回(うかい)献金の禁止などを盛り込んでいない。民主党は迂回献金禁止を柱とする同法改正案を提出。与党は「野党との溝があり過ぎる」との理由で、いずれの法案も今国会で審議しないことにした。【南恵太】
■政倫審でのやりとり(要旨)
衆院政治倫理審議会でのやり取りの要旨は、出席議員らによると次の通り。(Qは質問した与野党議員、Aは橋本元首相)
Q 日歯連との会合は誰がセットしたのか。
A 予約と支払いは私の事務所が行った。
Q 会合の同席者は。
A 記録を保存しておらず、記憶もない。
Q 1億円の小切手の授受は事実か。
A 私が受け取って、渡したことは事実なんだろう。
Q 大金の受領についてなのにあいまいな弁明だ。国民感情とかけ離れている。
A ご指摘を受ければ、そうかも。
Q 料亭で(小切手を受け取る)というのは常識外だ。
A おっしゃる通りだ。より透明性を高める努力を考えなければならない。
Q (大金の授受が)日常茶飯事だから覚えていないのではないか。
A そんなに金は集まらない。そんな楽な状態ではない。
Q 使途は。
A 詳細は知らない。(派閥の)会員への寄付もあるかもしれない。
Q 滝川被告との信頼関係は。
A 盟友の小渕さん(恵三元首相、故人)と行動をともにしていたので知っていた。
Q 冒頭陳述では(平成研)幹部会で(収支報告書に)記載しないと決めた。報告はあったか。
A 手術後2週間だから病院でしん吟していた。
Q 幹部会と冒頭陳述のどちらかがうそではないか。
A どちらがどうかということはわからない。
Q 「私に何か責任がありますか」との発言には驚いた。
A 記載漏れについての質問だったので、そういう言葉を使った。もう少し冷静であればきちんと答えた。
Q (派閥)会長とは名ばかりの印象だ。
A 平成研の(幹部)4人が見舞いに来てくれた。うれしかった。
Q (検察の)事情聴取は。
A 9月6日に3、4時間。
Q 検事は(聴取内容に)満足したか。
A 「また呼ぶかもしれない」と言われたが、その後はない。
Q やりとりは。
A 事情聴取の中身をどこまで話していいのか……。
Q なぜ政倫審を公開しないのか。
A 法令に準じた。特別なことはない。
Q 派閥を運営できない人が首相を務めていたことに驚く。議員を辞めるのが筋だ。
A 政治的責任の取り方は人それぞれ。(次期衆院選で)小選挙区からは立候補しない。
Q 責任をどう考えるか。
A 道義的責任はあると申し上げた。さらにそれ以上の法的責任ということなら、司法の判断を待つしかない。
毎日新聞 2004年12月1日 2時04分