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11月28日 ◎見えてきたシナリオ ◎年金問題はどうなった ◎小泉首相と大野防衛庁長官の国会答弁の食い違い ◎農水省証言は「でたらめ」
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□★□ 天木直人11月28日 メディア裏読み □
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◎見えてきたシナリオ
◎年金問題はどうなった
◎小泉首相と大野防衛庁長官の国会答弁の食い違い
◎農水省証言は「でたらめ」
◇◆ 見えてきたシナリオ ◆◇
拉致問題の幕引きのシナリオが見えてきた。6カ国協議が再開され北朝鮮が核問題で譲歩する。これと引き換えに米国が北朝鮮支援を打ち出す。日本はこれを歓迎し国交正常化の動きを一気に加速する。その背後に米国と中国の合意があり日本はその合意の実現に必死で働きかけてきた。相前後して横田めぐみさん他の拉致不明者の死亡確認について日本政府は調査結果を発表する。とっくにわかっていた結果を世論の怒りを招かないベストのタイミングを見計らって出すのだ。核問題の解決の歓迎ムードの蔭で拉致不明者の家族の無念な声はかき消されていく。世論の同情もやがて立ち消えになっていく。残るのは小泉外交の成功という演出だけである。
これはあくまでも小泉首相と外務官僚が目論んでいるシナリオである。この通り上手くいくはどうかはなお不明である。しかしかなりの筋書きが出来つつあると思う。それを裏付けるのが最近の一連のつぎのようなニュースである。
(1) 訪朝した国連総会のピン議長(ガボン外相)は24日、ソウルで北朝鮮側から「米国と共存したいとの意思を(米国に)伝えて欲しい」との依頼を受けた事を明らかにした(25日付しんぶん赤旗他)。これに呼応するかのように6カ国会議の年内開催が急浮上した。
(2) 再選後のブッシュ政権の高官が「北朝鮮が核放棄すればそれと引き換えに国交を正常化してもよい」という02年10月の提案を明らかにし、その提案は今でも生きていると北側にメッセージを送り始めた(26日付朝日新聞)。
(3) 小泉首相は自衛隊派遣の延長、「テロとの戦い」への無条件の協力を含めブッシュ大統領がてこずっているイラク情勢の安定化にあらゆる協力を惜しまない事を決めている。それと引き換えに小泉首相の最大の懸案である日朝国交正常化の実現にブッシュ大統領の協力を求めているのだ。
(4) 21日の日中首脳会議で小泉首相は靖国神社参拝問題で中国側に譲歩していたことが判明した(28日付毎日新聞)。小泉首相が拉致問題を自分の任期中に解決することを最優先している事は明らかだ。彼には国家的見地から外交を進める考えはない。あるのは外交の私物化である。歴史に残る首相になる為には国交正常化の実現しかない。北朝鮮に最も発言力のある中国に北朝鮮の説得を頼む事為には中国に譲歩したほうが得策だ。それを表向きにやれば政治家としての資質を疑われるので隠れてやるということだ。
(5) 27日の日経新聞が来年1月に竹内外務次官の勇退と谷内次官の起用が内定したスクープを報じた。これに伴い田中均外務審議官、藪中アジア局長など拉致問題責任者が一新される。彼らは長くそのポストに居座り続けた。このため外務省の人事が大きく停滞した。それもこれも拉致問題がこじれて交代させられなかったのだ。拉致問題のメドをたてることによってやっと彼らの花道を作ることが出来たである。
はたしてこのようなシナリオ通りに動くのか。イラク情勢に手を焼いている再選後のブッシュ政権は北朝鮮の核放棄さえ確保できればよいと考えている。ケリーの勝利を期待していた北朝鮮は再選後のブッシュ政権の強硬姿勢をおそれている。韓国、中国は、米国がそもそも極東が緊張する事は望まない。あらゆる関係国が米国と北朝鮮の妥協を望んでいるのである。そして北朝鮮との関係を一番大切にしているのが小泉首相である。
こうして拉致不明者の命は国際政治の大義の前にかき消されていく。外務官僚がかつてうそぶいたように「たった10人の為に国益が損なわれてはならない」のである。犠牲になるのは文句をいえない弱者である、文句を聞いてもらえず泣き寝入りする他はないのが市民なのである。
◇◆ 年金問題はどうなった ◆◇
27日付の日経新聞「大機小機」に面白い記事を見つけた。その論評は、まず次の文章を読んで欲しいという言葉ではじまる。
「現在の社会保障の仕組みは、将来の高齢社会に十分対応できるものとはなっていない。例えば、厚生年金について将来を展望してみると・・・保険料のレベルは2015年以降には34%に高まらないと収支がバランスしないこととなる。いずれにせよ、現行の年金制度の下では、現世代は将来世代に非常に大きな負担を残していることになる」
そしてこれがなんと1982年に行われた経済審議会の長期展望委員会の報告であるという。つまり今日の年金破綻の問題は20年以上前から判っていたにもかかわらず、政府は抜本的な年金改革を怠ってきた、これこそが本当の問題であるというのである。そして「政府の失敗」は次の理由から再び繰り返されるというのである。
官僚も大臣も1〜2年で任期が終わるため、自分の任期中に問題が表面化しないことを優先する。「問題を解決する」という意欲やインセンテブがない以上先送りされるのは当然である。そしてそれはこれからも繰り返される。
「大機小機」は更に続ける。社会保険庁と国税庁の統合という抜本的な制度改正案は、官僚の中からは絶対出てこない。統合が国民的利益をもたらすにもかかわらず、縦割り省庁の権限意識は自らの利益の確保を国民の利益に優先させるからであると。
最近の例で言えば三位一体改革がある。今の日本の政治、経済の行き詰まりを打開する改革の一つとして三位一体改革は打ち出されたのではないのか。そしてそれは総理の政治的決断なくしてはできないと自ら宣言して打ち上げたのではないのか。それが族議員や政治家の抵抗で骨抜きにされたにもかかわらず、「自分の出番がなくてよかった。さすがは自民党だ」とすました発言をしている小泉首相は、「政府の失敗」を繰り返す今までどおりの凡庸でこずるい自民党政治家ということだ。
◇◆ 小泉首相と大野防衛庁長官の国会答弁の食い違い ◆◇
凡庸な政治家が同じく凡庸な官僚に任せっぱなしで国会答弁を繰り返しているからこのようなあきれた現象が起きる。27日の各紙が報じていることだから国民は皆知っているに違いない。
12月14日に期限が来る自衛隊のイラク派遣について、これを延長するかどうかは小泉政権の当面の課題のうちの最大のものであろう。なにしろ日本の安全保障、自衛隊の生命に関わる話である。
その派遣延長の是非をめぐる国会審議の過程で、派遣期間そのものの定義がなされていなかった事が明らかになったのだ。
民主党の若林秀樹議員が26日の参院のイラク有事特別委員会で、撤退には一ヶ月はかかるから仮に今撤退を決定しても12月14日の期限までには間に合わないのではないか、「派遣期間」の定義はどうなっているのか、と質した。これに対し小泉首相は「撤収も活動期間に入る」と明言した。しかし大野長官は、12月14日は与えられた仕事をする期間であり、撤収作業は15日から始めると答えたという。
さすがに審議が一時中断したらしい。しかしその場で政府内の意見調整をしたにも拘らず、大野大臣の再答弁は「いろんな問題があるから個別に判断せざるを得ない問題が起こってくる」というあいまいなものでしかなかった。小泉首相は後で政府統一見解をだすと表明して逃げざるを得なかったのだが、これはイラク特措法を作る段階で誰も派遣期間の定義を考えていなかったということだ。官僚も政治家もこんないい加減さで国民の安全と生命に関わる重大事をどんどんと決めていっているのだ。何もかもが許されていく。我々国民は馬鹿げた扱いをされる存在でしかない。
◇◆ 農水省証言は「でたらめ」 ◆◇
国産牛肉買い上げ事業をめぐる牛肉偽装事件で、詐欺や補助金適正化法違反などの罪に問われた食肉卸大手「ハンナン」元会長・浅田満被告(65)のことについては、私ももう忘れかけていた。
ところが27日の読売新聞で26日に大阪地裁で行われた第七回目の公判の模様が報道されて改めて関心を持った。その公判で浅田被告は、昨年10月の証人尋問で答えた農水省調整官の証言を「全くのでたらめ」と強調し農水省の関与を告発したというのである。
これについてノンフィクション作家の溝口敦さんが同じ読売新聞の紙上でこう述べている。
「・・・浅田被告に、まだ将来があるなら、農水省を事件に引き込まず、黙ることで貸しを作っただろう。しかし聖域視されてきた被告も今回の事件を機にその地位が揺らいできた。年齢的にも今までのような権勢を振るう事は出来ないと考え、恩を着せている場合ではない、言いたいことを言って極力有利な判決を得ようという戦術に出たのではないか。・・・(事件の)一連の流れを見ると「官と業の合作」としか思えない。・・・業界のボスでうるさ型の浅田被告から救済を迫られた農水省が補助金をばら撒いた背景にあるのは事なかれ主義の体質だ。農水省を被害者として事件を矮小化した検察側の構図にも無理がある。・・・事件は食肉行政の罪だ。・・・」
こういう記事を読むと気が滅入ってくる。日歯連の政治資金疑惑に見る関係者の発言の食い違いや小泉首相の「人生いろいろ」発言などあらゆる不祥事が「なんとなく」見逃されていく。ここまで権力者の「法の支配」が広く、深く蹂躙されていくこの国と、そこに住む我々国民の「仕方がない」という無力感がこの国の土台を崩してしまっている。
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm