現在地 HOME > 掲示板 > 政治・選挙6 > 858.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
PUBLICITY
No.1061(2004/11/25/木)
▼小泉・胡錦濤会談が行われたのは日本時間22日午前だった
から、夕刊報道が主だった。
まず産経新聞記事「靖国神社参拝と日中関係をめぐる動き」に
一部手を加えた年表を見ておこう。
1978年
靖国神社東条英機元首相らA級戦犯14人を「昭和殉難者」と
して合祀
2001年
7月:中国の唐家セン外相「(田中外相との会談で小泉首相の
靖国参拝を)やめなさいと言明した」
8月:小泉、中国等に「配慮」し公約の終戦記念日を2日前倒
し13日に靖国参拝
10月:小泉訪中。江沢民国家主席と会見。盧溝橋の抗日戦争
記念館を訪問
2002年
4月:小泉2度目の靖国参拝。江主席「断じて許すことはでき
ない」
10月:メキシコで小泉と江主席、靖国問題で激論
2003年
1月:小泉3度目の靖国参拝
5月:小泉、胡錦濤主席とロシアで会談。胡主席は靖国問題に
言及せず
10月:小泉、タイで胡主席と会談。胡主席は靖国参拝を暗に
批判
2004年
1月:小泉、元日に「初詣で」として4度目の靖国参拝
3月:小泉「中国が私の訪問を望まないときに行く必要はない」
9月:胡主席、中国共産党の中央委員会総会で、江沢民から党
中央軍事委主席を委譲され、党・国家・軍の三大最高権力を掌
握。名実ともに中国の最高指導者に
10月:ベトナムでの小泉と中国の温家宝首相との首脳級会談
実現せず
11月:小泉、胡主席と約1年ぶりに会談
▼21日夜(日本時間22日午前)の日中首脳会談の意義は、
小泉首相が日中関係改善の「最後のチャンス」(中国筋。共同
記事)を、ほぼ逃した、という一事に尽きよう。
政治的不感症の人間が政治的指導者として居座れば、百害あっ
て一利なし。そのお手本を小泉首相は示し続けている。
辛うじて、「日中関係は過去数世代の努力のたまものだ。日中
関係を重視し発展させることを望んでいる」(胡主席)、「中
国経済の発展は脅威ではなくチャンスだ」(小泉首相)という
経済協力の合意のごときものはあった。
また、北朝鮮の核開発問題の「平和的解決」のため「6カ国協
議」早期再開へ協力・中国の東シナ海ガス田開発問題の対話に
よる解決を目指す、の2点で一致した。
しかし、3年間も首脳の相互訪問が途絶えている異常さには触
れられることもなかった。もしも小泉首相が5度目の靖国参拝
を強行した場合、「政冷経熱」と言われている経済熱も一気に
冷めるのではないか。
▼以下、共同配信の明快な解説記事を補足的に引用しよう。
▼21日夜(日本時間22日午前)、1年ぶり(昨年10月、
バンコクでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)以来)に
チリ・サンティアゴ市内のホテルで行われた小泉純一郎首相と
胡錦濤(フー・チンタオ)中国国家主席の首脳会談。
直前に起きた中国原潜の領海侵犯事件をてこにようやく実現に
こぎ着けた会談だが、日本側の思惑は見事に外れた。
▼靖国参拝に関して、胡主席は過去2回、「国民感情を傷つけ
ないことが極めて重要」という観点から“歴史を鑑(かがみ)
に未来へ向かう精神を”という間接的な表現を使っていた。
しかし今回の会談では、従来のこの表現に加えて初めて、「日
中間の政治的な障害は日本の指導者が靖国神社を参拝している
ことだ。適切に対処してほしい」「歴史を避けては通れない」
「来年は反ファシスト勝利六十年の敏感な年だ」と、厳しく鋭
い正論を突き付けた。
▼「ファシスト」という刺激的な言葉で挑発された首相は「誠
意を持って受け止める」と述べ、「心ならずも戦場に赴いた人
々に哀悼の誠をささげ、不戦の誓いのために参拝している」と
、持論の「説明」を繰り返すのが精いっぱい。攻め込む材料に
なるはずだった領海侵犯事件や東シナ海のガス田開発では何の
言質も引き出せず、押されっぱなしに終わった。
3年以上途絶えている首脳相互訪問の再開は話題にすら上らず
、予定時間を30分以上も上回る一時間の会談を終えた首相は
、憔悴しきった様子で会談場所を後にしたという。
▼会談に先立つ今月中旬。山崎拓首相補佐官が北京で唐家セン
国務委員らと会談。日中関係筋によると中国側は「会談直後に
靖国参拝を明言しないこと」を会談に応じる条件として伝えた
という。
小泉首相は昨年10月、インドネシアでの温家宝首相との会談
で「関係修復への努力」で合意しながら、翌日には靖国参拝継
続を表明(「(靖国参拝に)理解が得られた」)。中国側は思
いきりメンツをつぶされた経緯がある。その再現だけは避けた
かったのである。
このシナリオ通り、小泉首相は22日の内政懇談(同行記者団
との懇談。宿泊先ホテル)で、「(靖国問題は)何も言わない
ことにした」「これからは(参拝に行く、行かないについて)
どんな質問があっても触れないことにした。日中関係は靖国問
題だけではない。それ以外の大事な問題がたくさんある。対立
する問題だけを取り上げても仕方ない」等と不機嫌そうに語っ
た。
この“ノーコメント発言”について、「主席の立場に配慮」(
朝日)「関係をこじらせないようにしたいとの配慮は示した」
(産経)等の表現もあったが、「刺激しないよう明言しなかっ
た」(共同)という表現ががより正確だろう。靖国参拝問題に
関して小泉首相は、まさにシナリオ通りにしゃべっただけで、
「配慮」する余裕などなかったに違いない。
▼しかも5度目の参拝に行かないという保証は全くない。事実
、APEC閉幕後の23日(日本時間)の記者会見で小泉首相
は、来年以降も靖国神社参拝を継続する意向を示唆している。
「文藝春秋」12月号の座談会「大爆発 中国爆発」によれば
(この座談会、読み応えあり)、中国経済の大きなプロジェク
トを日本企業が受注できない状況が続いているらしく、経団連
あたりから「いいかげんに参拝やめろ」と注文がつくかも知れ
ないが。
▼実は、日本政府は首脳会談までビクビクだった。
「これまで米国が日本の最大の貿易相手国だったが、近いうち
に中国になるという声もある」。二十一日のアジア太平洋経済
協力会議(APEC)の昼食会で、小泉首相は居並ぶ各国首脳
の面前で経済成長を誇る胡主席のプライドをくすぐった。
これを含め中国側への配慮ばかりが目立った。会談場所は中国
側宿舎のホテル。時間も当初想定した昼間ではなく、「中国側
が『この時間なら』と指定してきた」(同行筋)21日夜(現
地時間)になった。
前日、ブッシュ米大統領と会談するため同市内のホテルを訪れ
た小泉首相は、米中会談を終えた胡主席と出くわし握手を交わ
した。このエピソードを首相周辺は「友好の証し」と、わざわ
ざ日米会談後の報道向け内容説明会で紹介。
21日にAPEC会議場で小泉首相と台湾代表が短時間立ち話
をした事実を、日本側は日中会談が終わるまで伏せ続けた。日
本政府は、中国側の機嫌を損ねないよう、はれ物に触れるよう
な気遣いを続けた。
要するに小泉は虎の威を借る狐よろしく、大国・中国を“諂(
へつら)いながら、バカにした”格好である。信頼されるわけ
がない。
▼中国には中国の事情がある。
中国外交筋は「首脳会談を最終決断したのは胡主席自身だ」と
明かす。
経済成長を最優先させる胡政権は日中関係のさらなる冷却化を
懸念。靖国参拝問題に直接言及することで「解決の糸口を小泉
首相に明確に示す」とともに、「中国人の嫌悪の対象」である
小泉首相とあえて会談することで対日重視を中国国内に強くア
ピールする狙いもあったと指摘する。
▼中国国営通信の新華社は、首脳会談を、22日夜まで報道し
なかった。「国内の反響を考慮して発言内容を慎重に検討した
ためとみられる」(共同)。
結果、靖国参拝をめぐる小泉発言に関しては、「(靖国参拝に
関する)中国の立場は十分に分かったと表明した」との内容は
報じたが、日本側が現地で発表した「不戦の誓いのために参拝
している」などの詳しい首相発言は一切報道しなかった。こん
な厚顔な発言を報じたら、反発が大きすぎるのだろう。
そして胡主席発言に関しては、「(解決を)遅らせれば遅らせ
るほど、被害国人民の感情的障害はさらに大きくなる」「被害
国人民の感情と日中友好の大局を考慮すべきだ」等と報道。
過去2回と今回との、胡主席発言の鋭い変化が、軍(9月に党
中央軍事委主席に就任)と世論の反応を十二分に意識したもの
だったこともわかる。
▼かつて参拝した歴代首相も2度目以降は控えていただけに、
4度の参拝を繰り返した首相への不信感は強い。
▼「外電によると、胡主席は日中首脳会談を終えたあと、厳し
い表情で、胡主席の宿泊先になっているホテルの会談場から小
泉首相を送り出したという。いつも笑みを絶やさない、温和な
表情がトレードマークになっている胡主席が、歯を食いしばる
ような表情をするのは珍しい」(日本工業新聞)という指摘も
あった。そりゃそうだろうよ。その表情には、「なんと愚かな
指導者か! なんと哀れな国か!」との嘆きが混じっていたか
も知れない。
▼中国筋は関係改善に向け「今回が最後のチャンス」と指摘し
たそうで、首相が来年5度目の参拝をした場合、「(中国が)
首脳会談に完全に応じなくなる可能性は高い」と警告する。
(以上、共同記事を補足的に引用)
▼あとは、雑感をいくつか。
▼靖国参拝に関して。
胡主席が予想以上に恐慌的な態度だったという報道が目に付く
が、ぼくは強硬的だとは思わない。当然の反応だろ。だってニ
ッポンは中国に対して大東亜戦争の犯罪をまともに謝ってない
んだもん。信用できるわけないじゃん。
「まだそんな昔のことを」ってか? いじめた側は忘れても、
いじめられた側は忘れない。その情理を忘れた人間が、いじめ
る側に立ってきたし、立っているし、立ち続けるのである。
「毅然たる対応」とか「内政干渉」とかいった高尚な話ではな
く、人間の自然な感情の話なのでは? 誰かが一本スジを通せ
ば済む話なのに、誰もが「おれは泥をかぶりたくない」と頬被
りだ。
▼「首相の信条とは別にA級戦犯が合祀されている靖国神社参
拝は東京裁判そのものを否定することだ」(自民党元三役。共
同記事)という指摘は正しい。【靖国神社にA級戦犯が合祀さ
れた瞬間から、日本の国家元首は靖国神社を参拝してはいけな
い】のだ。
そもそも戦争になれば、「戦犯」なんて無数に生まれる。軍需
産業も翼賛メディアも、名前も変えずに21世紀まで存続して
いる。あえてA級戦犯を定めたがゆえに、いまのニッポンの繁
栄がある。それがニッポンの選択だった。
ゆえに、敗戦国日本が戦後世界へ参画する/させるために定め
た/定められたA級戦犯が祀られている神社への首相参拝は、
日本の復興に協力した戦後世界の体制そのもの・その参加国す
べてに牙を剥く蛮行に他ならない。
1度でもやっちまったら、その公人は、国を背負う責任感覚も
国際感覚もゼロであることを表明したに等しい。ましていわん
や、亡国の徒輩の所行を4度も重ね、いま5度目に臨もうとし
ている小泉首相をや。まさしく小泉首相の存在そのものが「政
治的障害」なのである。
公人の振る舞いは24時間公的なのであり、いかなる理屈を捏
ねても感情論を荒立てても、この一点でニッポンの国際的信頼
は傷つき、特にアジアにおける信頼は地を這い続ける。
▼永田町の反応。
▼会談での首相の対応は、最近相次いだ対中外交の問題(尖閣
諸島の領有権問題や東シナ海のガス田開発などで自民党内から
「弱腰」と批判されたり、中国原潜の領海侵犯事件で海上警備
行動発令が遅れたり)で批判されがちだった「首相官邸内の空
気を吹き払った」(共同)という分析もある。そういう空気は
、確かにあるのだろう。永田町の空気を知らないぼくは全く感
じないが。
▼3人の政治家の発言を紹介しよう。
「忌憚(きたん)のない意見交換が出来たので非常に有意義だ
ったと思っている」(細田博之官房長官、22日午後の記者会
見で)
「国のために殉じた方々に尊崇の念を供するため、靖国にお参
りするのは一国のリーダーとして当然だ。外国から行くなと言
われる筋合いはない。今後とも参拝していただきたい」「日本
が中国の意に沿わない行動を取っているから訪問しないという
のはおかしい。成熟した国の取るべき態度ではない。会わない
ことで、相手国を屈服させるのは、まさに覇権主義だ」(自民
党の安倍晋三幹事長代理、23日、岐阜市内の講演で)
「(首相が記者団に来年以降の靖国参拝について明言を避けた
ことで)胡主席にひとつの大きな貸しをつくった」(自民党の
武部勤幹事長、同日、長崎市内の講演で)
同党議員の大半も「首相は参拝を続けるべきだ」(参院幹部。
産経)と言っているそうだ。彼らは、ほんっとに本気で言って
いるのだろうか。
▼地方紙の社説などもいくつか拾っておこう。
▼「(中国との政治関係改善が)米国に過剰に振り回されない
外交土壌につながるはず」「拉致事件や核開発など北朝鮮問題
の解決でも、最大の援助国である中国の協力は欠かせない。加
えて、日中間には東シナ海の天然ガス田開発での対立がある。
今回、約三年間途絶えている両首脳の相互訪問は議題にもなら
なかったという。小泉首相は日中間の政治的パイプの修復に全
力を挙げるべきだ」「中央アジアを含むユーラシア全体を展望
した独自外交で積極的に踏み出すべき場面ではないか」(熊本
日日新聞社)
▼「「いずれ理解される」といいながら、積極的に努力した形
跡はない」「相互の訪問が三年間も途絶え、会談は国際会議の
場を利用するしかないという現状は、一刻も早く解消すべき」
(神戸新聞)
▼「小泉政権が続く限り、日中関係の改善は見込めないのでは
ないか」「首相は今年2月の国会答弁で、合祀に「抵抗感はな
い」と言い切ったが、国民感覚とのずれは致命的だ」「首相は
今年十月の衆院予算委で靖国参拝について「(中国から)考え
方が違うから『よろしくない』と言われ『はい、そうですか』
と従っていいのか」と答弁。八月には、中国で開かれたサッカ
ーのアジア・カップでの反日応援が問題化した直後、「来年も
参拝する」と明言した」(中国新聞)
▼「胡主席は、明確に小泉首相の靖国神社参拝が関係改善の障
害になっていると指摘した。参拝をやめれば関係改善に動くと
いう中国側からのシグナルである」「(小泉首相は)今回も「
不戦の誓いのための参拝」と述べその場で参拝を続ける意向を
示唆した。関係改善への好機だったが、これでは日中の距離は
いつまでも縮まらない」(西日本新聞)
▼「アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳外交は空振り
続き」「(ブッシュ大統領には「再選祝い」の)ご機嫌伺いを
しただけ」「(ロシアの)プーチン大統領と会っても具体的に
領土問題に踏み込まなかった」「中国の胡錦濤・国家主席との
会談では、領海侵犯への謝罪を引き出せなかったばかりか、逆
に靖国神社参拝の中止を求められて「誠意をもって受けとめる
」といわされる始末」(日刊スポーツ、政界地獄耳)
▼「隣国でありながら、昨年のバンコクと同様、国際会議の開
催地でしか会談できず、しかも日本側の要請に中国がぎりぎり
まで渋る、正常とは言い難い両国関係を反映した内容」「会う
ことだけでも意味があるとする考え方もあるだろうが、外交的
な対話とはなっていない。日本は何のために首脳会談を望んだ
のか」「日米同盟さえ大事にすれば日本は困らない、日中は二
の次でいいという小泉流の割り切りなのだろうか」(北海道新
聞)
▼「小泉首相が言う平和を願っての参拝であったにせよ、靖国
神社は明治時代に東京招魂社として設立され、戦争の歴史をひ
きずってきた。そうした施設に参拝を繰り返すことが、平和を
希求する日本の指導者として妥当な選択なのか」「侵略戦争や
植民地支配によって深刻な犠牲を強いられた近隣諸国の政府や
国民に首相の靖国参拝がどう映るのかも考えなければならない
」(南日本新聞)
▼「両国関係の厳しい現状を投影する結果に終わった」「靖国
問題で解決策を見いださない限り、両国関係の根本的な改善が
難しいのは明らかだ」(山形新聞)
▼「(靖国参拝中止要求に対して)「内政干渉」と反発する向
きもあるが、軍国主義時代の反省に立つべき日本の指導者がと
るべき態度ではない」(琉球新報)
▼讀賣と産経
▼産経がよく“主張”している「歴史問題は対日外交カードと
同時に政権への求心力を高める手段でもある」ことなどは“お
互いさま”の話で、いちいちキャンキャン吠えるのは浅はか。
「使えるカードは全て使う」のが外交の常識である。
中国関係になると、産経の記事は卑屈度を増す。それは一例を
挙げれば、公明党・神崎武法代表の「首相の主張もわかるが、
中国側の事情もくんで適切な配慮をされたほうがいい」、別の
公明党幹部の「靖国問題がいかに日中関係に深く影響を及ぼし
ているかがわかった。再び参拝すれば日中関係は大変なことに
なる」などの発言について、「靖国問題が与党内の波乱要因と
なる可能性も出てきた」と、「日中間の問題」を「与党内の波
乱の問題」に矮小化して終わる記事に象徴的だ。
その産経の「主張」(23日付)。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
首相の靖国参拝を理由に中国側が首脳の相互訪問を拒否してか
ら約3年になる。当時の江沢民国家主席は、歴史問題を日中間
の最大障害に掲げ、教科書問題などで内政干渉を重ねてきたが
、靖国参拝問題で一段と反日姿勢を強めた結果が首脳交流の中
止という、およそ非理性的な決定だった。
(中略)
本来、歴史問題はそれぞれの内政であって、他国が干渉すべき
ではない。全権掌握後の胡主席が江沢民時代の対日圧力外交を
続ける表れとすれば、失望を禁じえない。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
▼靖国参拝という、深刻な国際関係の問題を、国内の歴史問題
と見なす、産経のごとき驚くべき手合いが「愛国」の代表選手
と見なされているこの国の精神の惨状に、失望を禁じえない。
▼さらに悪質だったのは讀賣23日付の「編集手帳」だ。
見出しは「日中首脳会談「日本は歴史を鑑に」反面教師の胡主
席」。
最初に「反面教師」の語源を「中国共産党が革命運動を続けて
いくなかで使われた語」(「四字熟語辞典」岩波)であること
を確かめ、こう続ける。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
さすがは、その言葉を生み育てた本家というべきだろうか。チ
リのサンティアゴで小泉首相と会談した中国の胡錦涛国家主席
が、反面教師として教えてくれたことは興味深い
◆胡主席は首相の靖国参拝を批判し、「日本は歴史を鑑(かが
み)にしなくてはならない」と述べた。百歩譲って、いまの日
本が歴史を鑑にしていないと仮定するとき、その日本はどうい
う国に成り果てるだろう
◆平和の大切さを歴史から学びそこねて、例えば、軍事費をや
みくもに増やす。例えば人権を軽視し、国民が政治活動をする
自由を制限する。例えば、よその国の領海を侵す…
◆思いつくままに挙げてみれば、何のことはない。どれも中国
がしていることである。「悪いお手本をまねてはいけませんよ
」。胡主席は、親切にも教えてくれたのだろう
◆防衛費の伸びはマイナス、政治犯や思想犯は存在せず、領海
侵犯などしたこともない。歴史を鑑にするという点では優等生
ともいうべき日本に、靖国問題という教材にもならぬ教材で講
義を一席ぶつ。反面教師の先生も、なかなか楽ではない。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「政治犯や思想犯は存在せず、領海侵犯などしたこともない。
歴史を鑑にするという点では優等生ともいうべき日本」とは、
よくもまあヌケヌケと言い果(おお)せたものだ。
今日25日は憂国忌。今晩あたり、この記者の枕元に三島由紀
夫が化けて出るゼ。
No.1061(2004/11/25/木)
「PUBLICITY」(パブリシティー) 編集人:竹山 徹朗
E-mail:freespeech21@yahoo.co.jp
blog:http://takeyama.jugem.cc/
※転送・転載自由です。ただ、転送・転載される時には、
登録申し込み先(↓)も必ず合わせて併記してください。
http://www.emaga.com/info/7777.html