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2004.11.20
Q君への手紙(PART4)/水と防災の政治学[22]
愛国心についてのTさんからの手紙
「人間が賢いのは、その経験に応じてではない。経験に対する能力に応じてである」(バーナード・ショー)
Q君。きょうは、本題から少し離れます。横浜のTさんよりいただいた手紙に大いに感動したものですから、君にもぜひ読んでほしいと考え、Tさんには無断ですが、以下、引用いたします。
Tさんはおそらく私と同世代の方だと思います。以前から教えられること多く、尊敬の気持ちを抱いている方です。
《(前略)最近教育基本法の改定が与党を中心に論議され「愛国心」なる文言を挿入することの是非が検討されております。私ごとではありますが、先日トルコに友人のS氏(大学の元法学部教授で日本留学経験もあるかなりの知日派)を訪ね、政治問題やら社会問題等について議論してまいりました。そのうち愛国心について議論の概要をお知らせ致したく、下記のとおり認めさせていただきましたので、ご一読下されば幸甚に存じます。(中略)
S氏の発言概要
<愛国心について>
1.トルコ共和国における愛国心とは、独立を保つため自国を侵略するいかなる外敵に対しても立ち向かう勇気を指すことが一般的であり、必ずしも武力を強化することを意味してはいない。国民の一人ひとりが他からの干渉を受けず、自らの道を自ら決めることは、人間として最も基本的な権利であり子々孫々に至るまで守り継がねばならないことである。
これを個人に置き換えれば、自分と家族を外敵から守る気概と勇気を常に兼ね備えておくことを意味する。 これは歴史から得た教訓であり、国家の独立は当然ながらトルコ共和国の国是であって、独立を維持するために軍隊を持つが、その力は決して他国を侵略することには使わない。
トルコ共和国のこの姿勢は、ケマル・アタチュルク廟の入り口通路に並ぶ左右16頭のライオンの石像に表されている。即ち、彼らは敵を威嚇するかの如く口を開け、牙を剥き出しているが皆おとなしく座っている。外敵には容赦しないが、自ら侵略はしないとの決意を示しているものである。
(トルコは徴兵制度を採用しており、20歳から1年8カ月の兵役を義務付けている。但し、学歴により兵役期間は相違する。)
……トルコはオスマントルコ帝国の崩壊により、19世紀末から20世紀初頭まで、ギリシア、イタリア、フランス、ロシア等に国土の半分を占領され蹂躙されたが、ケマル・パシャ(アタチュルク)が率いた独立戦争で60万人の死者と200万人近い負傷者を出しながらも独立を勝ち取り、1923年、共和国を設立した(当時の人口2200万人)。他国の干渉を受けないことがどのくらい素晴らしいことなのか、この戦争は永遠に忘れてはならない歴史の教訓であり、独立の必要性と平和維持の重要性はすべての子どもたちに小学校入学と同時に教えている。また、家庭でも代々語り継ぐことが当然のように行われている。……
2.歴史は多くの教訓を残している。歴史から学ばぬ者は将来を正しく見据えることはできない。将来を見通せぬ者に現在を導く資格はない。
政治家に求められる第一の資質は自国および近隣諸国の歴史を正しく理解し、多くの教訓を得てこれを政策の根幹に据えることである。
3.愛国心を国民に植え付けることは政治家の仕事ではなく、親と教師が担当すべき仕事である。子どもたちに歴史を正しく教えることにより、独立維持の重要性、近隣諸国との関係、平和の重要性、国および国民が果たすべき役割等が自然に理解されるものである。
日本には第二次大戦の敗戦と原爆被爆国としての歴史的な負の遺産がある。そこから学ぶものは途方もなく大きくまた多いはずである。この歴史的事実を正しく理解し子どもたちに教えてゆけば、改めて愛国心の議論など必要ないことと思う。
私見:S氏は話の中で政治家の歴史認識の必要性について強調しておりました。
また、日本における教育基本法に愛国心の文言を織り込む動きについては、それは出来の悪い官僚の考えそうなことだと言って一笑に付しました。
イラク戦争開始時、トルコが米国の基地使用を認めなかったのは、アラブ諸国との関係が歴史的にも地勢的にも重要であり、宗教も同じくするアラブ諸国の反感を買う愚は犯すべきではないとの判断があったからとのことでした。
米国との同盟関係維持は重要だが、同盟関係は主従関係とは違う。自国の独立を損なうようなことを認めることは反国家的所業である、と断じておりました。
翻ってわが国の政治家の歴史認識のお粗末さが痛感されました。とくに小泉さんの不勉強は特筆すべきものであり、中でも米国追従姿勢は日本の独立を損なうものであって、最も愛国心に欠けた国民であることは間違いありません。先生ご指摘のとおり一刻も早く退陣させることが必要と考えます。以上》
Q君。今日はTさんの手紙の紹介だけにします。また書きます。
(Tさん。お手紙ありがとうございました。無断で本欄に引用いたしましたこと、お許しください)