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http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm
ブッシュ大統領が再選され、ブッシュさん自身はもちろん、小泉首相もホッとしたことでしょう。特に、ブッシュさんは、選挙人の数で上回っただけでなく、有権者による一般投票でも過半数を超え、同時に行われた上下両院選挙でも共和党が議席を増やすなど、圧勝ともいうべき内容でした。
しかし、喜んでばかりいて良いのでしょうか。「勝ちは負け」ということになるのではないでしょうか。
ブッシュ大統領は、あまりにも勝ちすぎたために、支持してくれた人々の期待を裏切れなくなりました。
ということは、これまでの政策を変えづらくなったということになります。つまり、イラク政策を転換できないということを意味します。
早期の撤兵はもとより、アメリカの関与を減らすことはできず、犠牲者は増え続けるでしょう。イラクから撤兵する国は後を絶たず、国際的な孤立化はさらに深まることでしょう。
ケリー候補が当選していたら、イラク政策の転換は容易でした。早期の撤兵を約束し、国際的な協力を呼びかけることもできたでしょう。
しばらく様子を見るということで、武装勢力も攻撃を手控えたかもしれません。何らかの形で政治決着の動きが出てきた可能性もあります。
しかし、今となっては、そのような可能性は潰えました。アメリカはイラクでの泥沼に陥り、世界の孤児への道を歩まざるを得ません。
これは、アメリカの支配層(エスタブリッシュメント)にとっても、必ずしも望ましいシナリオではありません。世界中でここまで低下してしまったアメリカの威信と信頼を回復するには、ケリー候補の当選が不可欠でした。
それにもかかわらず、ブッシュ大統領が再選されました。アメリカのエスタブリッシュメントが、事態をコントロールする力を失った可能性があります。
それほどまでにアメリカ国民は内向きになり、「戦時」イデオロギーにとらわれているということかもしれません。キリスト教保守派がかくも大きな影響力を持ってきているということは、アメリカの人々がもはや理性的で合理的に思考する力を持たなくなっているということでしょう。
同じようなことが、小泉さんにとってもいえます。今回の結果は、小泉さんに大きなジレンマをもたらす可能性が大きいからです。
ブッシュ大統領の完勝と深まる孤立化は、日本への要請と圧力を強めることになるでしょう。小泉さんは、ブッシュ大統領からの圧力と自衛隊の派遣延長に反対する国内の世論との板ばさみになる可能性があります。
そのとき、どう決断するのでしょうか。ブッシュさんと心中するのか、世論に従うのか。
ブッシュ大統領の再選によって、自衛隊のイラク派遣は12月14日の期限を超えて延長される方向がいっそう強くなったと報道されています。同時に、イラクで自衛隊が狙われる可能性も格段に高まることでしょう。
もし、ケリーさんが当選して早期撤退の方向を打ち出していたなら、自衛隊の派遣を延期せず、あっさりと引き上げることができたかもしれません。ブッシュ再選によって、この可能性はなくなりました。
こうなると、小泉さんはブッシュ大統領への忠誠を証明するために、自衛隊を犠牲にしようと考えるかもしれません。「日米同盟」強化のための「人身御供」とされる自衛隊が気の毒です。
第2次ブッシュ政権の下で、アメリカへの不信と威信低下はいっそう強まるでしょう。アラブ世界に渦巻く反感は、次第に世界中に拡大しつつあります。
それに忠実に従う日本も、国際社会の蔑みと嘲りを受けることになるかもしれません。イスラム社会における日本のイメージは、すでに今でも大きく低下しています。
ブッシュ再選は、ここからの出口を閉ざしてしまいました。それは、イラクの泥沼にはまってしまったアメリカと日本の没落の開始を意味することになるでしょう。