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【奇っ怪ニッポン】
2004年10月28日 掲載
中越地震 知事として考えやったこと
http://www.gendai.net/contents.asp?c=025&id=16546
10月23日の夕刻に発生した「中越地震」に於ける長野県内の被害は、足を捻挫した女性ら3名の軽傷に留まりました。直ちに僕を本部長とする体制を整え、長野、北信、北安曇の3地方事務所と結んでTV会議を同夜に開催。日の出と共に、消防防災航空隊のヘリコプターを救急搬送の為に出動させると共に、川口町、山古志村にペットボトル、離乳食を空輸し、堀之内町には仮設トイレを陸送しました。
翌25日には十日町市に、お握りと水に留まらず栄養を考えて野菜ジュースをトラック4台で搬入。阪神・淡路大震災の際1人のヴォランティアとして活動した僕の経験に基づく判断です。
26日には泊まり掛けで支援する県職員を各部署で募集。呼応した50人が10ケ所近い現地へ向かいました。県立病院の医師と看護師22名も派遣し、今後も充実を図ります。尤(もつと)も、職員派遣を含む一連の我々の活動を、地元では最大発行部数を誇る「信濃毎日新聞」は如何(いか)なる“思惑”からか、物の見事に“無視”状態。全国ネットのTVニュースでも観ない限り、県民は長野県の迅速な対応に関する的確な情報を得られぬ、言わば北朝鮮の報道管制にも似た環境に置かれています。
子供の、それも様々なサイズの靴下を届けるべき、と福助(株)の再生に全力投球する藤巻幸夫社長に電話で要請。ユニクロを展開する(株)ファーストリテイリングの玉塚元一社長にも下着を要請。何(いず)れの畏友も即座に快諾。と同時に就任直後の泉田裕彦知事と電話会談し、必要とされる方々一人ひとりに長野県職員がフェイスtoフェイスでお届けする旨、報告し、こちらも快諾頂きました。
長野県独自の募金活動も開始。浄財が果たして何処で如何に活用されるのか抽象的だと訝(いぶか)り勝ちだった義捐(ぎえん)金の印象を一新すべく仮設ユニットバスを始めとする具体的な、きめ細やかで温もりのある精神的支援の詳細をホームページ上で明らかにします。
閑話休題。「台風被害と一体的に対処する」との珍回答を行い、週末は首相官邸に姿すら現さなかった小泉純一郎首相は11月7日、自衛隊50周年観閲式への臨席を心待ちにしているのだとか。主力の関東・東部方面隊が災害出動しないのも実は、朝霞駐屯地での予行練習に勤(いそ)しまねばならないから、との俄(にわか)には信じ難き「理由」も囁(ささや)かれています。然(しか)るに、記者クラブなる護送船団仲良しクラブの大新聞社の皆さまは、「何を対応したら良いかが判ってきた段階で、総合的に判断する」などと発生3日目の会見で宣(のたま)った細田博之官房長官の会見を、無批判に流すだけです。国破れて山河在り、ならぬ、山河壊れて、人々苦しんで国家在り、に疑問すら抱かぬ、長いモノに巻かれる大メディアこそは「構造改革」を必要としているのです。【田中康夫】