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【奇っ怪ニッポン】
2004年10月21日 掲載
このままでは「税源移譲ナシ」の三位一体改革になる
http://www.gendai.net/contents.asp?c=025&id=16443
「自らの至らなさを改めるに如（し）くはなし……今こそ緊急に全国知事会議を開催し、本来あるべき改革の方向へと大きく舵を切り戻す事を呼び掛ける」との書簡を全国知事会長の梶原拓・岐阜県知事に送付したのは１５日、先週の金曜日です。
「三位一体」改め「惨身一体の改悪」を改めるに如くはなし、という訳です。税源移譲を何時（いつ）、如何程（いかほど）の規模で実行に移すかは記さず、他方で、国庫補助負担金の削減は平成１７年度から、と明記する「基本方針２００４」なる“不平等条約”を放置した儘（まま）、小泉“ワンワン”純一郎内閣と交渉を続けるのは愚の骨頂。先行的且（か）つ一方的な補助金削減の口実を政府に与えるのみ。「飽く迄も国が省庁の枠を超えて統一的な改革案を示すべき」と去る８月の全国知事会で僕は断固、主張しました。
が、大半の知事は３兆円の税源移譲を勝ち取る為の「千載一遇のチャンス」と唱和し、３．２兆円の補助金削減枠を「埋める」作業に汲々（きゅうきゅう）。義務教育国庫補助負担金の廃止は教育の格差を「都会」と「田舎」で生じさせる、との僕や石原慎太郎都知事の意見も少数に留まったのです。
人財こそが唯一の資源たるニッポンを嘲笑（あざわら）うかの如く、霞が関に於（お）いて発言力の弱い文部科学省枠を削減する形で帳尻を合わせた、凡（およ）そ低レヴェルな発想の「改革案」は、加えて、公共事業費も削減対象に加えた事で、田中康夫もビックリな「パンドラの箱」を開いてしまいました。
建設国債なる借金を用いて実施される公共事業は税源移譲の対象に非ず、と冷静に考えれば当たり前の筋論を財務省は持ち出し、税源移譲額は最大でも１．９兆円と牽制。のみならず、小泉ワンワン宰相の懐刀たる内閣官房の幹部は、定数削減一つ取っても霞が関の「行政改革」は何ら進んでいないのを横に置いて、次年度の地方交付税は２割削減だ、と涼しい顔で公然と宣（のたま）う有様です。
全国知事会が提案し、市長会や町村会も連名した「改革案」は何と、河川改修や災害復旧関連の国庫補助が９割近く削減、早い話が全廃に近い「改悪案」だったのです。正直申し上げて今後は、局地的豪雨で凄惨な状況が齎（もたら）されても、財政力の弱い「地方」は自力で復旧せねばならないのです。「大丈夫ですか」と「『脱ダム』宣言」の僕すら心配する程の大胆な「惨身一体の改悪」です。
「迷走を食い止めるべく、至らなさを改めるに如くはなし」、と山梨・三重・愛媛の各県知事も僕と共に諫言（かんげん）。にも拘（かかわ）らず全国知事会は、地方自治の実情など凡そ理解せず、どころか端（はな）から理解する気もないと思われるワンワン宰相に対し、「災害対策に強い国造りを進める」と臨時国会冒頭の所信表明演説で言明したではないか、と詰問する気概すら残念ながら持ち合わせていないのです。
「山河破壊され、国民疲弊しても猶（なお）、国家残る」と思い込んでいるとしたら、納税者は不幸極まりない話です。【田中康夫】
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。