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■01■《俎上のニュース vol.21》
「小泉さん、中国無視外交はそろそろ限界では」
報道ステーション・コメンテーター/加藤 千洋
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フランスのシラク大統領といえば大の相撲好き。相撲の本場所見物と、これ
また大好きな温泉を楽しみに、これまでも何回かお忍びで来日しているほど
だ。その大統領、今回はハノイで開かれたアジア欧州会議(ASEM)に参加
した後、お気に入りの日本には立ち寄らず、選んだ訪問先はというと、中国
だった。
大統領一行300人の中には自動車のルノー、タイヤのミシュランなどフランス
の代表的な企業トップも52人含まれていた。対中経済関係を一層強めたい
―そんなメッセージを明快に伝えるトップのセールス外交である。
迎える中国の方も、イラク戦争にともに反対するなど政治面でも対仏関係は
順調。中国メディアには「中仏蜜月」の言葉も登場するほどの熱烈歓迎ムード
だ。
この晴れやかな中仏関係のムードと対照的なのが日中関係ではないだろう
か。日中貿易は今年も史上最高を記録しそうだが、政治面での暗雲が依然
としてはれない。ASEM会期中にもくろんでいた中国の温家宝首相との首脳
会談は流れた。中国側が「日程に都合で」と断ってきたことに、
小泉首相は「もともとそういう予定はありませんでしたから」と強がったが、
実はそうではない。9月に訪中した川口外相(当時)が首脳会談の実施を
申し入れていたのだ。
確かに温首相はハノイでは欧州各国の首脳と精力的に会談をこなして
忙しそうではあったが、韓国の廬武鉉大統領とも会談をしている。小泉さん
との会談は意図的に避けたとしか思えない。とすれば原因は、やはり小泉
首相の靖国神社参拝問題だろう。
日中関係に通じるニュースソースによれば、中国側は会談実現にある「条件」
を出したという。それは小泉首相が温首相と会談後、日本の記者団から
「来年も靖国参拝をするか」と問われても、「行く」と明言しないでほしいという
ような趣旨だった。首相の意向を計りかね、日本側は確約できなかったらしい。
これには背景がある。前回の小泉・温会談は昨年10月にインドネシアで
開かれたASEANの首脳会議の際に実現した。だが会談翌日、同行記者団に
問われた小泉首相は「(靖国神社は)来年も行きますよ、もちろん」と答えた
のである。会談であえて靖国問題を提起しなかった温首相は、これでメンツが
まるつぶれになってしまった。
そんな苦い記憶が、今回、中国側が首脳会談申し入れを断った理由の一つ
だろう。それに加えて、川口さんに代わって就任した町村外相が、小泉首相
の靖国参拝の感想を記者会見で問われ、支持するとも受け取れる発言を
行ったことも響いているかもしれない。中国側が「首脳会談をやらない」という
形で、「不満」のシグナルを発したものといえそうだ。
小泉首相が就任以来続ける靖国参拝がトゲとなって、日中間の首脳の相互
訪問は、もう3年以上もストップしたまま。小泉首相は
「国際会議の場でいつでも中国首脳とは会談できる」と語ってきたが、そうとも
言えなくなった。これだけ経済ビジネス関係が深まる隣国同士としては異常な
事態と言わざるを得ない。
中国側も対日関係の悪化を憂慮しており、今後も首脳会談拒否を続けるとは
思えない。でも小泉さん、かつて戦火を交えた仏独両国の首脳が、いまは
頻繁に対話を重ねる関係を維持していることを参考に、自ら対中打開に動く
べき時が来たと思うのだが。
ロシアのプーチン大統領の中国公式訪問が14日から始まる。米中間では
アメリカとは大統領選挙後、胡錦涛国家主席の訪米が検討されている。
シラク大統領のみならず欧州主要国の対中首脳外交もますます活発化して
いる。独り日本の首相だけが蚊帳の外ではおかしいのではないだろうか。
躍進中国をどう迎え入れるか、が世界政治の一つの重要テーマなのだから。
小泉首相には「平壌訪問が出来て、なぜ北京訪問が出来ないの」と言いたい。
「個人の信条」も結構だが、日本全体の利益がどこにあるのか。
あくまで外交は冷徹な頭ですすめてもらいたい。
【筆者プロフィール】
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/contents/cast/katou.html
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