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天木直人・メディア裏読み(10月14日)迷走する米軍再編へのわが国の対応/田中真紀子と辺見庸とアーミテージ国務副長官 他
http://www.asyura2.com/0411/senkyo6/msg/209.html
投稿者 天木ファン 日時 2004 年 10 月 14 日 14:19:00:2nLReFHhGZ7P6
 

10月14日 ◇◆ 迷走する米軍再編へのわが国の対応 ◆◇田中真紀子と辺見庸とアーミテージ国務副長官 ◆◇あまりにも空疎な日本の国会論戦 ◆◇
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□★□ 天木直人10月14日 メディア裏読み □
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◇◆ 迷走する米軍再編へのわが国の対応 ◆◇
 
 米国がもたもたする日本に苛立ちを見せた事で、俄かに日本側が慌て始めた。慌
て始めた事で、あらためて日本側の政策不在が浮き彫りになった。これまでの日本の
安全保障政策は、独自の安全保障政策も戦略もなかった。ただ米国の要求に対応し
ていればよかった。無理な注文も、国民をごまかし、野党を押し切って乗り切ってきた。
憲法9条に反するような米国の要求も、安保再定義とか憲法解釈の拡大といった不
透明なその場しのぎの対応の積み重ねで今日まで済ましてきた。
 
 ところがここに至って、米国の「テロとの戦い」に呼応した米軍再編(トランスフォーメ
ーション)に基づく要求は、ついに日本政府を、ごまかしで逃げ切れないところまで追
い詰めることになった。小泉首相や外務官僚にとっては最大のピンチである。14日付
の新聞各紙からその混迷振りを拾い読みしてみた。

 米軍再編の一つとして米陸軍司令部の一部を日本に移転すると言う米国案が日本
側に提案されていた。しかしこれが安保条約第6条のいわゆる極東条項に反するとし
て外務官僚が難色を示してきた。しかし14日付の各紙によれば、外務省首脳(という
ことは町村外相と考えるのが常識である)が13日報道関係者に「最初からカチッと枠
をはめてしまえば行き詰まりになる」(毎日新聞)、「最初から条約局長的な発想でい
いのか」(朝日新聞)などと、極東条項にとらわれない柔軟な発想で協議すべきとの考
えを示したらしい。

 他方において13日の衆院本会議で、小泉首相は「司令部機能の日本への移転は
極東条項に抵触する可能性がある」と質した鳩山由紀夫氏に対し、「在日米軍の見直
しは現行の安保条約の枠内で行われるもの」と極東条項修正を否定する見解を示し
ている。米国の要求にどう対応していくのか眼がはなせない。
 
 米軍再編のもう一つの課題は沖縄にある米軍基地の移転問題である。小泉首相は
先般都内の講演で国内移転を検討する事に言及した。しかし14日付読売新聞「方位
計」によれば小泉首相は就任直後の2001年夏、「沖縄全戦没者追悼式」に出席した
際、「基地問題は全国の問題として取り組んでいきたい」と公言し、稲嶺知事は「小泉
首相の発言は大変重要だと思っている」と感激している。しかしそれ以来の三年間、
まったく動きは見られなかったのだ。

 今回は米国のほうから移転問題が提起された。自治体の強い反発をどう説得して
いくのか。日本政府は国外移転も視野に入れているようであるが、米国は抑止力低
下を理由に難色を示しているという。「具体的めどもないまま国内移転を口にするの
はあまりにも無責任」と岡田民主党党首が非難したように、小泉首相は答え出さねば
ならないのである。
 
 在日米軍再編問題で来日中のアーミテージ米国務副長官が重大な発言をしている。
13日、同副長官は米国大使館で記者会見をし、「個別的な場所から議論を始めたが、
議論のスタートが間違っていたかもしれない。」(14日付毎日新聞)、「我々がまずキ
ャンプ座間について、と言い始めたのは、順番がまちがっていたかもしれない。十年、
十五年後の日米同盟の理念から議論を始めたほうがいい」(同、日経新聞)と発言し
ているのだ。

 この発言の意味を我々は正確に読み取らねば成らない。米国は自治体の反発、日
本国民の反発に怯んだのだ。これ以上日本国民の反発が広がれば日米安保関係そ
のものにひびが入ることを恐れているのだ。このことから我々は二つのことを知らなけ
ればならない。外務省はこれまで何かにつけて「米国が安保条約を廃棄すると言って
きたらどうするのか」と国民を脅してきた。しかし実態は日米安保条約がなくなれば困
るのは米国のほうなのだ。在日米軍基地は米国にとってありがたい存在なのだ。もう
一つのポイントは、米国は日本の政治家や官僚は意のままに命ずる事はできても、
日本国民の反発は軽視できないと言う事だ。これからの日米安保関係は政治家や官
僚に任せていてはいけないということだ。日本の将来を決めるこれからの日米同盟関
係は、米国政府と日本国民が決めていくという状況を作っていくべきなのである。
 
 
 ◇◆ 田中真紀子と辺見庸とアーミテージ国務副長官 ◆◇
 
  発売中の10月21日号の週刊文春に米国政府高官が採点した小泉内閣の通信
簿というのが載っていた。当たり前の事であるが米国の言う事を忠実に実行する政治
家に高い点数が与えられている。小泉首相、石破前防衛庁長官などはAである。政
治力のない川口前外相はC,傑作なのは、田中真紀子元外相に落第のEがつけられ
ていることである。
 
 この田中元外相で私が思い出すのはアーミテージ米国務副長官との面会を拒否し
た事である。「私が会うのは閣僚であるパウエル国務長官であって副長官は格が違
う」といって拒否したのである。外務官僚は「そんなことをして大丈夫ですか」と田中外
相を脅したと言う。それにしても今の日本政府のアーミテージ国務副長官に対する厚
遇ぶりは異常である。
 
 14日付の日経新聞は囲み記事で来日中のアーミテージ国務副長官の日本での大
物振りを次のように報じている。すなわち13日、朝食は細田博之官房長官、夕食は
町村信孝外相がセット。12日に安倍信三自民党幹事長代理、大野功統防衛庁長官
と会談。13日には武部勤自民党幹事長、公明党の神崎武法代表、冬柴鉄三幹事長
と会談。おまけに13日午後拉致被害者家族までが訪問している。日本という国はい
かに米国に人脈がないかということを証明しているようなものだ。「事実上のアジア担
当国務長官」、「ブッシュ政権きっての知日派」などと勝手に持ち上げているのだ。
 
 かつて辺見庸が「たかが軍人上がりの一人の米官僚にここまで日本が頭を下げて
いいのか」という趣旨の発言をしていた。そのアーミテージ国務副長官は「憲法9条は
安保条約にとって邪魔者である」などと日本の雑誌に公言している。田中真紀子元外
務大臣がアーミテージはたかが副長官ではないのかといって面会を断った態度こそ
正しいと私は思うのである。たとえ米国にEと採点されようとも。


 ◇◆ あまりにも空疎な日本の国会論戦 ◆◇

  毎度の事であるが日本の国会ほど時間を空費するものはない。参議院選挙後三
ヶ月以上もたって待ちに待って開かれた国会であったが、初日は小泉首相が官僚の
書いた所信表明演説を仰々しく読み上げただけで終わってしまった。そして13日から
始まった本会議の代表質問は八百長質問、言いっ放し答弁で、なんら実質的な議論
の応酬がない。なにしろ小泉首相の踏み絵内閣で抜擢された武部幹事長が自民党
を代表して質問しているのである。野党第一党の岡田党首がいくら声を張り上げて追
及しても、小泉首相はまったく意に介せずに用意された答弁を読み上げて応答するこ
とが許されるのである。

 代表質問風景を論評した14日の各紙には、「現行棒読み答弁」「深まらない議論」
「野党の追及空転」などなどの見出しが躍っている。毎度おなじみの見出しである。あ
たりまえである。そもそも国会の最初の一週間は儀式なのである。
 
 本格的な論戦は委員会審議で行われる。とくに予算委員会はテレビが入るので議
員たちも国民の目を意識して張り切る。我々はその論議を待つしかない。これだけ大
きな問題が山積しているのである。野党議員がどこまで鋭い質問をして小泉政権を
追及できるか、腕の見せ所である。
 
 しかしその予算委員会の質問ですら形式化しつつあるということを最近私は知って
暗澹たる気にさせられた。野党議員の一人から聞いたのであるが、最近はあらかじめ
通報した質問事項以外の質問をすれば「その質問は事前に通報されていなかったの
で答えられません」と答弁を拒否できるようになったと言うのである。これには驚かさ
れた。ついに予算委員会までもが八百長の場になってしまったのか。
 
 かつて私が下っ端官僚であった時、野党議員から翌日予定されている質問項目を
事前に聞きだすのが重要な仕事であった。野党議員のなかには夜中まで質問を教え
てくれず、やっと入手した質問にしたがって夜を徹して答えを作り、大臣や局長に説
明して国会に臨むということを毎日繰り返していた。この時から国会質疑の八百長振
りは分かってはいたが、それでも国会では予定されていなかった質問をする議員がい
て、大臣や局長がうまく答えられないと審議がたびたびストップすることがあった。国
会審議がストップすれば責任問題につながるので大臣も局長も緊張して予算委員会
に臨んでいた。大臣や局長が緊張すると同行する下っ端官僚も緊張する。何を聞か
れても答えられるよう資料をたくさん用意して国会に臨んだことを覚えている。
 
 しかし今日の国会はその緊張感さえなくなりつつあるようだ。なにしろ予定外の質
問をしてはいけないというのだ。その場合は答えなくてもよいと言うのだ。政権与党の
締め付けは国会まで及びつつあるということだ。これでは国会質問がつまらなくなる。
野党議員も与党議員も勉強しなくなる。馬鹿にされるのはまじめに国会審議を聞こう
とする国民である。もっとも国民の大半は国会審議など聞きもせず、関心もないので
あろう。それはそれでまた困った事なのだが。


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