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日本刷新会議 : 第3回「アメリカを疑え!」<後編>
on 2004-10-6 2:26:54 (2862)
http://www.ninomiyasports.com/xoops/modules/news/article.php?storyid=2862
このコーナーでは、毎回ひとつのテーマのもと、各界の有識者たちに集まって頂き、議論を深め、ソリューションを導き出したいと思っています。題して「日本刷新会議」。
今回のゲストは引き続き、小林至さん(江戸川大学助教授)と鈴木仁志さん(弁護士)の2人です。
(提供:芳栄株式会社)
アメリカ人はバカだ
小林 今日はアメリカの話をするということで、僕は週刊新潮の切り抜きを持ってきました。桜井よしこさんのコラムなんですが、こう書いてあります。
<米国の大統領選挙の様子を見るたびに、日本の選挙もここまで盛り上がればどんなに社会のしくみが変わっていくだろうと思う。それほど米国民は選挙に熱中する>
桜井さんは相当な論客の方ですよね。こういう人でも、認識間違いをする。というのは、あの国の投票率は50%しかない。カルト的な盛り上がりは確かにあります。しかし、それは一部。だから<米国民は>ではなくて、「米国民の一部は」と書かなくてはならない。
鈴木 同じような話で、ゴアとブッシュが熾烈な争いをした時、本当はゴアが勝ったのにブッシュが大統領になったという言われ方をされていますよね。あの時、結局は裁判で決着をつけた。あれを見たときに、アメリカの行政訴訟はすごいなと、ものの数週間で結論を出して、一国の政治について決定的な結論を出す能力を持っている、と賞賛した日本人が結構多かった。でもアメリカではあれほどの最低な話はない、というのが通説なんです。
というのは、あれはアメリカの裁判官の選び方にもかかってくるんですが、裁判所の構成自体に民主党色や共和党色もしくは保守色やリベラル色があるわけなんです。州の裁判官などは選挙で選ばれますから、そうなるとどうしても政治色がついてしまう。数え直しを認めなかった連邦最高裁の決定の理由づけも大変お粗末と言われていますし、その決定の中には「この判決は例外的なものだから他の判決には引用してはならない」ということがわざわざ注記してあるそうです。あれは数え直せばゴアが勝つと言われていましたから、乏しい根拠で数え直しを禁じたことには政治色が見え隠れする。ですから、アメリカ人はこの裁判を批判の対象にしている。でも日本人は早くてすばらしい、と褒めてしまう。
二宮 あれ、そもそもの問題はパンチカードの入力ミスでしたよね。僕も小林さんの「アメリカ人はバカだ」というのに賛成で、選挙は民主主義の基本。その基本が崩れたわけでしょ、アメリカは(笑)。
小林 今回の大統領選挙には国連の査察が入るんですよね。選挙の監視で。
二宮 それじゃアメリカは東ティモールレベルだ。
小林 これに共和党は大変に怒ったのですが、前回、ああいうことがあった以上、拒否も出来ない。そもそも、他の国に送る代わりに自分のところも認める、という条項を10数年前に結んでいたので、仕方ない。それでも、議会を使って反対決議案を出そうとしましたが、それも失敗。結局、「ワシントンの最高級ホテルでゆっくり我々の民主主義を見守ってもらいたい」と嫌味を言うのが精一杯でした。
二宮 フィリピンでは投票箱がしょっちゅう盗まれますが、アメリカも他人のことは言えないでしょう。
小林 アメリカの選挙は、事前に登録しないと投票できないんです。ところが、勤労者は結構、登録しないんですよ。みんな忙しい、時間がないんです。大体、選挙も、火曜日で、仕事は休みじゃないんですよね。
二宮 そうか、だからスーパーチューズデイなのか。
小林 僕が勤めていた会社でも、投票に行くな、とは言われませんが、積極的に奨励しているわけでもない。
二宮 日本みたいに今日は選挙ですよ、と街宣車が回るようなことはしないんですね。
小林 火曜日ですから、みんな働いています。その時に仕事を抜け出して選挙に行くことを罰してはならないという決まりはあります。だけれども、忙しくて普通の人は行かないんです。中絶の是非や、進化論を認めるか否かなど、非常に強いメッセージを持った人の場合は行きますが、選挙人の登録もしない人がほとんど。だから投票カードも送られてこない。
二宮 火曜日ですから、低所得者は選挙どころじゃないですよね。その日のメシ代を稼がなければならない切実な問題がある。
小林 そうなんですよ。ですから、僕が感じたのはアメリカの選挙は団体色が強い、多くの人の意見が組みいられているわけではないということ。桜井よしこさんは相当なオピニオン・リーダーなんですから、そういう事実はちゃんと指摘してほしいですよね。知っているはずですから。
司法制度の大改革は一番やってはいけない
鈴木 私も同じ意見です。日本は変えなければいけないところがたくさんある。改革は必ずしなければならない。そこでどう変えるか。今の日本の制度でどこが悪いかを見つけて、そこを変えていけばいい話。何もアメリカのように変えればいいというわけではない。日本は変えようとすると、すぐにアメリカの制度を輸入しようとする。健康体の部分にまでメスを入れてしまう。
二宮 でも、中坊公平さんの司法改革もそういう文脈で考えるべきなんでしょう?
鈴木 中坊さんはアメリカの政府の方針を基本的に踏襲した、と私は思っています。中坊さん個人の意見がどうだったのかは別として、中坊さんが中心的役割を果たした内閣の司法改革審議会の結論は、アメリカが日本に要求していることと寸分たがわないものだった。
二宮 アメリカ型の司法制度と似ていると我々は認識していますが、そう考えていいんですか?
鈴木 そうですね。日本独特の文化や風土、そういうものを一生懸命塗り固めて作ってきた司法制度を、今回は一気に、根底から変えようという話です。ある意味で、司法というのは文化そのもの。法は文化を反映する部分がありますから。
これはアメリカの裁判官の方々から聞いた皮肉な話なんですが、司法で一番やってはいけないことは、大改革だと。法は文化と密接な関係にあって、ひとつひとつ修復して少しずつ上塗りして改良していってようやく構築できるものなんだ、と。それを土台から取り換えてしまっては、今までの経験値をすべて台無しにしてしまう。だから、大改革は一番やってはいけないことだと言うんです。
二宮 日本は一番やってはいけないことを今やろうとしている。
鈴木 ええ。それがアメリカの要求だからです。アメリカは明確に要求していますから。
二宮 アメリカの要求ということは、アメリカのメリットはどこにあるんですか?
鈴木 ひとつ具体的に言うと、金融ビッグバンがありましたよね。あれで日本の金融マーケットははるかに投機性の高い取り引きができるようになったし、アメリカの企業や投資家もどっと参入できるようになったわけです。ニューヨーク・マネーもそうですが、財閥系のカネが日本のマーケットでドカンとバクチを打つ。日本にドカンと来て勝負するとき、ニューヨークの巨大法律事務所が一緒に乗り込んできて取引をアメリカ流にしてしまえれば、アメリカにとっては非常にやりやすくなります。
日本では外弁法というのがありますが、それはまず撤廃しなければならない。それから日本人の弁護士が少ない。国内需要だけで満たされているので、彼らに回るだけの供給がないんです。アメリカの巨大法律事務所が、日本のマーケットに大量参入するためには、日本人の余剰弁護士が、それこそ何万人もいてほしいわけなんです。
二宮 金融で外国の監査法人がたくさん入ってきた時と似ています。
鈴木 そういうことです。それが、ヨーロッパのマーケットでは成功したわけです。オランダにしても、ドイツにしても。フランスはかなり抵抗しているようですが、現状はアメリカやイギリスの大手事務所が席捲している。オーストラリアなんかでも、アメリカの大手事務所が絶大な力を持っている。その理由はやはり言語が近いからです。
小林 なるほどね。自分の土俵に上げたいわけですね、アメリカは。そりゃそうでしょうね、自分の土俵であればやりやすいでしょうからね。
鈴木 そうすると、日本でアメリカ人弁護士がこれから日本語をマスターして、日本のマーケットで勝負するのは難しい。逆に英語を話せる日本人弁護士を集めた方がはるかに速い。彼らが日本語を学ぶというのは、大変な作業になりますから。
私の意見では、国内司法の需要として今の弁護士が少なすぎるとは思えない。少なくとも東京・大阪などの都市部では飽和状態になりつつあります。
アメリカの都合で日本人弁護士が大量に増えるとどうなるか。彼らは喜びますが、国内的には需要よりも供給の方がはるかに大きくなってバランスが崩れ、国内司法に悪影響が出る可能性がある。
小林 なるほどね。非常にわかりやすい話だ。
二宮 聞けば聞くほど大問題ですね。
鈴木 大問題。私が本を書いてまで主張したというのは、この問題は司法だけの問題にとどまらない、日本の国民生活すべてを含めて考えなければいけない話だからです。逆にいえば、司法の話は日本ではあまり国民の関心事にならないから、アメリカとしては切り込みやすい切り口ではあるんです。
機能破綻寸前のアメリカの司法制度
小林 ちょっと話をかえますが、アメリカの医療費はべらぼうに高い。アメリカは公的な医療保険(国民皆保険)という制度を確か40年ぐらい前に放棄しているんです。その結果、医療保険は民間で運営していますが、プレミアムが非常に高い。当時、家族4人で月10万円。たまたま僕が勤めていた会社は景気が良かったので、折半して僕が払っていたのは5万円。でも、いまはほとんどの会社がそれを切っている。ヤンキースも従業員の医療保険はすべて切ってしまいましたから。
二宮 あとはすべて自己負担しなさい、と。
小林 そうです。要するに、会社を通しての、団体の医療保険に入れと。プレミアムの、半分の負担は止めるということです。いまはこれがアメリカの主流です。
鈴木 その意味でいえば、私はアメリカというのは公的な制度がかなり未熟な国だと思います。
例えば、アメリカには自賠責がない。交通事故の被害者が、公的に最低限度の保証をもらえるという制度がない。無保険車がそこら中を走っている。だからどんな小さな事故であっても訴訟になってしまう。最近、それを調停で解決しようという動きが出てきた。ここ10年ぐらい、調停がもてはやされるようになってきた。逆に日本は、話し合いでうまく解決してきた。調停は日本の伝統ですから。アメリカで調停が始まったころというのは、日本の調停のやり方がよく引き合いに出されていました。訴訟コストを排除して、訴訟リスクも回避して話し合いでうまく解決していく。これによって経済発展してきた国だ、という日本の評判があった。それを参考にしようという話だったんですが、いつの間にか調停はアメリカ発信の、アメリカ流のものだということになった。これはアメリカの技術で、日本に調停を紹介してあげよう、と言い始めた。
二宮 それじゃ「サブマリン特許」ですね。先に発明した者を下から突き上げておいて高額な補償をとる。今じゃ、これがひとつのビジネスになっている。
鈴木 そうですね。アメリカ人がそう言っているのはまだいい。それは世界を知らないだけだから。そこで許し難いのが、日本人が「アメリカはこれから調停を重視するらしい。アメリカはすごい、真似しよう」と言い始める。
二宮 それ、誰が言い始めるんですか?
鈴木 日本の司法界の人たちが言い始めるんです。
小林 先程何で医療費の話をしたかというと、医療費のほとんどが訴訟費用なんです。訴訟費用を最初から上乗せしている。例えば盲腸1回の手術で250万円かかる。
二宮 えっ、盲腸1回の手術で! それじゃ貧乏人は手術もできない。
小林 腹を切れない。だから貧乏人は勝負をかけているんです。
鈴木 自賠責もなければ国民健康保険もない。そういうことをみんな訴訟で決着をつけようとするから、訴訟が多発してしまう。そこで、最近はこれだけの数の訴訟はやってられない、ということになってきた。裁判所の機能としても限界に達している。だからアメリカの司法が決していいわけではない。もう機能破綻寸前なんです。だからこそ調停という形で、日本のようなやり方でやろうと。今までは、日本のようなやり方は、本来勝ち負けを決めるべきところを話し合いで妥協してしまうやり方であって良くない慣習だ、二流の正義だと言われていた。訴訟弁護士こそ一流だとされてきた。ところが最近は調停をもっとやっていこうという話になってきた。ところが始めてから5、10年も経つとアメリカのものだといい始め、ついには日本人までがアメリカはすごいといい始める。私はそこが不思議でならない。
「イッツ・オール・アバウト・マネー」
二宮 余談ですが、僕がアメリカに行ったとき、たまたまテレビを見るとヘリコプターが誰かを追跡していた。誰かな、と思ったらO・J・シンプソンだった。
小林 シンプソンは日本で言えば長嶋、王ですからね。それはすごかったでしょう。
二宮 シンプソンが逃げていて、それを追いかけていた。その距離はだんだんと縮まっていく。最後は捕まりました。これで終わりだな、と思ったら結局、裁判ではシロになったわけですよね。最後は科学的な判決というより、人種問題にスリかえられた気がした。
小林 あれ、黒人は8割がシロだと言っているんですよ。白人は100%に限りなく近くでクロと言っている。
二宮 スリかえたでしょう。
小林 それが黒人の、白人に対する不信感。ロドニー・キングの事件がまさにそうですよね。どれだけ彼らが不信感を抱いているか、その目安にもなります。
二宮 カネをつかって、優秀な弁護士を雇えば、人を少々殺してもシロになってしまう、というのは言い過ぎかもしれませんが、あれはアメリカ国内では大変なモラル・ハザードを引き起こしたのではないか。確か民事ではO・Jは負けているでしょ。
小林 ヨーロッパ人と話をすると、彼らははっきりと言いますよ。「あの国はカネがすべて。イッツ・オール・アバウト・マネー」と。アメリカではカネさえあれば幸せな人生が送れる。そりゃ、豪華な生活が送れますよ。土地はたくさんあるし……。
鈴木 私もアメリカで、知り合いの弁護士から一通の風刺画を見せられた。風刺画には弁護士が依頼者に向かって「いくらの正義にしますか?」と書いてあるメニューを見せている様子が描かれている。お金によって内容が違ってくるという意味です。「カネさえ払えば主張してあげるよ」と。
二宮 例のシンプソンの一件は弁護士から見るとどうですか?
鈴木 専門家の立場からすると、すべてを見てみないとわかりませんが、一般的に言われていることからすれば、証拠として血染めのグローブが見つかった、それがシンプソンの自宅に落ちていた。ところが弁護側の主張は、捜査側に人種偏見を持った捜査官がいて、血染めのグローブを現場から自宅に持ってきて捨てて、O・Jを犯人に仕立て上げた、という。これを日本の司法でやったら、一笑に付されると思います。でも、それが最終的に通って、本当に無罪になってしまうところが、恐ろしいなと個人的には思っています。
小林 確かに、あの時は検察官が人種差別主義者だった、とさんざん報道されていましたよね。
鈴木 あのような主張をするなら、その人がどういう経路で現場までグローブを運んだのかとか、かなり具体的な事実が出てこないと無理だと思う。それが抽象的な理由で通ってしまうとしたら、本当に恐ろしいことだと思います。
二宮 でも、日本も陪審員制度を導入するわけですよね。
鈴木 日本は裁判員制度といって、陪審まではいかないんですよ。陪審というのはあくまで素人の人たちだけで決めること。今回は裁判官と裁判員も入る。
小林 あれはプロが入りますから、そこまで悪い制度ではないんじゃないですか?
鈴木 私は陪審よりもまともな制度だと思います。でも、一番の問題はどちらにするか被告人の側が選べないんですよ。裁判員制は一定の重大な刑事事件だけに採用される制度なんですが、そういう事件では被告人が裁判官だけに裁いてもらいたい、と思っても裁判員が必ず入ってきてしまう。
二宮 でも、裁判員が入ってきたら裁判官に引きずられるんじゃないですか?
鈴木 その可能性もあるし、逆に裁判官が正しいことを言っていても裁判員が引かない場合も出てくる。
二宮 裁判員というのは、ある日突然、「就任しなさい」と通知がくるんですか?
鈴木 候補者になったという通知がきます。
二宮 その人選はどうするんですか? 無作為にやれば、全く裁判そのものに興味のない人だって出てくるでしょう?
鈴木 それは国民の義務ということになります。
二宮 アル中の人間だって中にはいるでしょう?
鈴木 そういう場合は排除できる、選ばないように。
二宮 その排除する場合、差別にはならないんですか? 何をもって排除できるのかと?
鈴木 自分に有利な人を選ぶ。だから差別というより、この人に入って欲しい、という希望を受け入れる。私はある意味で賛成の面もある。というのは、今まで裁判官が一般国民の批判の目にさらされることが少なすぎたからです。
二宮 今までよりは日の目にさらされると。
鈴木 そうですね。それがアメリカの陪審になってしまうと、素人だけで判断することになる。実際、裁判というのはすごく難しいんですよ。素人がきて、いきなり判決を出せと言われても無理な話。できるはずがない。
小林 あれ、ロクな人が行きませんからね。だって、みんな忙しいですから。暇を持て余している人ばかりになりがち。それも長期化する裁判になったら缶詰にされてしまいますから。だからそれだけの時間に付き合える人じゃないと。あとは日当がほしい人(笑)。
鈴木 不思議なことに、アメリカは日本に陪審制度を採用せよ、とは一言も言っていない。
二宮 それはなぜ?
鈴木 要するに、日本が陪審制度を導入してもアメリカにメリットがないから。逆にデメリットが出るからなんです。日本で民事の陪審制度を設けて、日本人が国内でアメリカの企業を訴えるとします。その時、日本人の陪審員であればアメリカに不利な判断をしかねない。だからアメリカにとってメリットはない。
小林 射殺された服部剛丈君の逆ですね。
鈴木 刑事に関して裁判員制度が採用されるということですが、アメリカは日本国内の刑事事件に関してまったく興味を持っていない。だから、これは日本人の側がアメリカの制度に憧れて、アメリカの制度を導入する際にこれも導入してしまおう、という形で入ってきたもの。アメリカが押し付けてきたものとは分けて考えないといけません。
小林 それ、多いですよね。
ピアザと多田野は大変!?
二宮 先ほどの話ですが、服部君事件、家に入ろうとしてきて「フリーズ!」といわれても止まらなかった。それが殺した側の弁解でしょう。結局、殺した人間は処罰されたのですか?
小林 結局、無罪。
二宮 人を一人殺して無罪ですか。
鈴木 刑事では無罪です。民事では賠償責任が認められたと思いますが……。
小林 服部君の事件でも、ルイジアナですからね。あのあたりは人種差別の宝庫。すぐお隣のミシシッピでは異人種間での結婚を禁止する法律がありましたからね。それにホモもそう。今でもテキサスではホモは犯罪ですから。
二宮 それは洲法で決まっているんですか?
小林 はい。禁止です。ホモは犯罪。
二宮 ではホモビデオに出演した多田野数人(インディアンズ)なんて向こうに行ったら大変じゃないですか。
小林 大変ですよ。だから彼はわざわざ申し開きしたんですよ。「ホモじゃありません」と。
二宮 でもテキサスにトレードされたら大変なことになる。
小林 テキサスどころか、チーム内で大変でしょう。フットボールのチームなんかでは、もしホモのヤツがいれば、そいつは殺されるかもしれない、と選手がインタビューで答えているくらいですから、怖いですよ。
二宮 (ホモのウワサのある)マイク・ピアザはテキサス・レンジャースに行けないですね。
小林 行けないでしょうね。
二宮 エリック・キャロスとピアザは「ずっと一緒に住んでいるんだ」と言っていましたからね。これはまずいな(笑)。
小林 でも恥じることではないです。人類の10人に一人はそうだという話ですから。
二宮 多田野に言ってやってください(笑)。
対談者プロフィール
小林至
江戸川大学助教授。元プロ野球選手。専門はスポーツビジネス、経営学など。著作に「プロ野球ビジネスのしくみ」(宝島社新書)など。
鈴木仁志
東京弁護士会所属。東海大学法科大学院非常勤講師。02年12月にリーガルサスペンス小説『司法占領』(講談社)を出版。得意分野はADR(裁判外紛争解決)、肖像権など。