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■□■ ■ *メールマガジンからの転載です。
□★□ 天木直人10月 9日 メディア裏読み □
■□■ ■
◇◆ 国はうそつき、立証に22年 ◆◇
私が毎日新聞10月8日付の「水俣病48年 最後の審判」という記事を詳し
く読んだのは、標題の「国はうそつき 立証に22年」というタイトルに惹かれ
たからであった。役人生活を三十数年やってきて、役人の不作為の罪、真実を
隠蔽し続ける体質を目の当たりにしてきた私の頭を離れなかったのは、何故役
人は国民の味方になれないのかという疑問であった。
その記事を読み進むうちに、私は強い憤りと深い感銘を覚えずにはいられな
かった。今日の公害病の原点ともいうべき水俣病、子供心に思い出す不幸な出
来事である。
「東京・水俣病を告発する会」の鎌田学さん(44)は91年2月〜10月の間、
8回にわたって情報公開された環境庁(当時)の内部会議の速記録を丹念に読み
解き、「やはり国はうそをついていた」と怒りに震えたという。政府が水俣病と
認めず棄却した根拠である認定基準(昭和52年策定の判断条件)について、速
記録には「水俣病ではないという裁判上の主張は100%医学的な基準ではない。
医者たるもの忸怩たる思い」であると記されていたのだ。水俣病医学の権威、
井杉昭弘鹿児島大学教授(当時)や行政担当者の発言だったという。
水俣病訴訟で国は「高度の学識と豊富な経験にもとづく総合的な判断」と昭
和52年の判断条件を擁護し続けている。その裏で、正反対の意見が審議会や専
門委員会で展開されていたのだ。判断条件は、水俣病と認定するには四肢の感
覚障害だけでなく運動失調や視野狭窄などの症状の組み合わせが必要としてき
た。原告患者全員を診断した阪南中央病院の三浦洋院長は「感覚障害だけで水
俣病と認定できるのは、今では医学会の通説。国側の証言に立った医師は、御
用学者でしかない」と痛烈に批判する。
環境省は、この速記録を「正式な議事録ではなく、内容が事実かどうかも分
からない」とするがすでに速記録は最高裁に提出されている。「敗訴も覚悟して
いるが判断条件だけは守りたい」、環境省幹部は胸のうちを最近関係者に明かし
たという。最高裁に判断条件を否定されれば、過去に棄却された人の怒りが再
燃し、政治問題になりかねない。被害者の弁護団である田中康雄弁護士は、「国
はこちらの主張を実際は認めていた。訴訟でうそを展開され、立証に22年もの
月日を費やした」と嘆く。それにしても情報公開を唯一のたよりに、20年以上
もかけて真実を追求していく鎌田さんたちの地道な努力に深い感動を覚える。
水俣病の公式発見から22年、和解を拒否し、唯一正面から行政責任を問い続
ける「水俣病関西訴訟」の上告審判決は、10月15日の最高裁第二小法廷で下さ
れる。
◇◆ NYタイムズがサマワの自衛隊活動を酷評した ◆◇
大騒ぎをした自衛隊のサマワへの派遣については、その後日本のメディアで
報じられることがさっぱりなくなった。どうしているのかと思っていた矢先に、
海の向こうの米国から酷評が伝わってきた。
すなわち6日付のNYタイムズは一面トップで「ただの一発も銃を撃たずに
イラクで活動する日本」という見出しで自衛隊の活動状況を報じたという。不
思議な事にNYタイムズのトップ記事にもかかわらず、日本では殆ど報じてい
ない。わずか8日付の赤旗と9日付けの日刊ゲンダイがつぎのように報じてい
るだけだ。
「サマワの陸自の車両には泥やへこみがない。まるで東京のショールームか
ら持ってきたみたいだ」、「かれらは安全な宿営地の中に引きこもりがち」、「日
本は激戦地に軍隊を送って7ヶ月たったのに、偉業といえば1発も銃弾を撃っ
てないことだけ」などと報道、また地元ムサンナ州のハッサン知事のつぎのよ
うなコメントも紹介されているという。「われわれは自衛隊の活動に満足してい
ない。部族リーダーから電気がないと農作業ができないと苦情を言われた。こ
の状況に耐えられないから小泉首相に文句の手紙を送った」
イラク派兵には既に400億円以上もの税金が投じられた。その内容はわずか
な給水活動の為の浄水セットと一日2万数千円の自衛隊員の危険手当である。
もちろん給与に上乗せされた追加手当である。
小泉首相は12月で期限が切れるイラク派兵の延長を早々と決めてアラウィ暫
定政府首相に伝えている。イラク情勢はますます不透明になっているというの
にである。現に8日未明、サマワでは大きな爆発音があり武装組織と治安当局
の間の銃撃戦があったとの報道がある。サマワ郊外のルメイサ市ではオランダ
軍の車列が走行中に爆破され兵士が負傷している。とうの昔にサマワは戦闘地
域となっているのだ。
こんなイカサマをこれ以上許してはいけない。それにしても米国の新聞を通
じてしか情報を与えられない日本国民よ、日本の新聞の不買運動でも起こした
らどうか。
◇◆ サマワで友好記念碑が爆破された! ◆◇
そのサマワでとんでもない事件が起きた。8日の未明、サマワ中心部を縦断す
る国道8号線の交差点に設置され、9月15日に竣工したばかりの日本とイラク
との友好をしるした記念碑が爆破されたのだ。10月7,8日の両日には森勉陸上
幕僚長や外務省幹部が訪問したばかりだという。
この事件の意味は大きい。日本政府が必死になってイラクと日本の友好を自
作自演しようとしても、イラク人の中には自衛隊の駐留を明確に否定する勢力
がいるということだ。しかも地元有力政党幹部によると、シーア派強硬派サド
ル師派の民兵組織が「記念碑は仏教を象徴しているので、破壊する」と以前か
ら公言していたというのだ。爆破されたのは灯篭部分なのである。
それにしてもサマワで自衛隊は何をしているのだろう。断片的に報じられて
くるニュースでは七夕やねぶた祭りを祝ったり、地元住民との交流活動に躍起
になっている事ばかりが伝えられる。この友好記念碑建設なども今度の事件が
なければ気がつかなかった。これらはすべて税金から支出されているのである。
自衛隊のサマワ復興支援援助は、国民の目の届かないところで防衛庁に丸投げ
されているのだ。
◇◆ 検察裏金事件に関する週刊誌の小さな記事 ◆◇
週刊誌を丹念に読んでいると、思わぬ記事に出くわす事がある。10月15日号
の週刊朝日に「検察裏金口封じ」の三井環元大阪高検公安部長の論告求刑の記
事が出ていた。そのなかで私の注意を惹いたのは、検察の主張の一部が崩れる
かもしれないというくだりである。
三井氏が最初に逮捕された容疑は、競売で落札した神戸のマンションに住ん
でいるように装って虚偽の転入届を提出し、登録免許税の税率の軽減措置を受
ける為に証明書を騙し取ったという「公正証書原本不実記録、詐欺」であった。
実にややこしい、それでいて瑣末な容疑である。ところが当時三井部長が購入
資金のローンを申し込んだ時の銀行の窓口を担当していた女性が、突然、9月
21日の公判で傍聴席に姿を現していたという。その女性が週刊朝日の取材にこ
う話したというのだ。
「三井さんの逮捕後、銀行から検察の捜査には『協力しろ』、三井さんの弁護
士は『無視しろ』と口止めされていました。三井さんのことはずっと気になっ
ていた。今春に退社したので話すことにしました。・・・三井さんは神戸のマン
ションについては「住む」と言っていました。・・・正直な人だという印象を受
けました」。
弁護団は「住むつもりだったという三井さんの証言があらためて裏付けられ
た」と自信を深める。10月27日に予定されている最終公判には弁護団は300ペ
ージを超す最終弁論を準備しているという。
◇◆ シラク大統領とブッシュ大統領の因縁 ◆◇
パリ発AFP時事が「米国がシラク大統領の電話を盗聴していた」事を伝え
た。6日パリで出版された「シラク対ブッシューもう一つの戦争」という本によ
れば、イラク戦争をめぐる米仏の対立が続く中、米情報機関がシラク仏大統領
の電話会話を盗聴してという。外交、軍事筋に取材を基に仏の二人の新聞記者
が書いたこの本によると、米国情報機関がシラク大統領の会話を盗聴している
事実を確信したのは、ブッシュ政権の当局者の一人が元仏国防高官と昼食をと
もにしていた時につぶやいた次の言葉であるという。
「両国の大統領の関係は個人レベルではもはや修復不可能です。ブッシュ大
統領は自分の事をシラク大統領がどう考えているか知っている。そのことを忘
れてはいけないのです」
この報道を読んで私はレバノン大使の時にレバノンの仏大使から聞いたエピ
ソードを思い出した。当時シラク大統領がブッシュ大統領に直接話そうとして
電話をかけてもブッシュ大統領が受話器をとろうとしない日が何ヶ月も続いた
時があった。シラク大統領に近いレバノンの仏大使は、シラク大統領の命を受
けて、永年のビジネスを通じてブッシュ大統領の父と極めて近い関係にあるレ
バノンのイッサム・ファレス副首相に仲介を頼み込んだ。ファレス副首相はテ
キサスに飛んでブッシュシニアに「なんとか息子を説得してくれ」と頼み込ん
だところ、「あいつは、もうお父さんの出る時代ではない。自分にすべてまかし
てくれと自分の言うことを聞かないんだよ」と嘆いてみせたという。そんな裏
話を私は仏大使から聞かされたことがあったのだ。
今にして思えば、その時既にブッシュ大統領は、シラク大統領がイラク攻撃
についていかにブッシュ大統領をあしざまに言っていたか、それを盗聴で知っ
てブッシュ大統領がいかに激怒していたか、想像されるのである。外交なんて
いうものは指導者の個人的感情で大きく左右されるものかもしれない。
◇◆ ここまでやるか、BSE問題 ◆◇
10月8日の日経新聞には驚いた。訪米中の町村外務大臣に米側要人が立て続
けに牛肉輸入再開を迫ったのだ。パウエル国務長官は7日、米国産牛肉の再開
は「日米間のきわめて重要な問題だ」と述べて早期解決を強く促した。ゼーリ
ック通商代表部も「早期再開が日米にとって大きな課題であると認識して欲し
い」と指摘した。これに先立つ6日に会談したライス大統領補佐官も言及した
らしい。担当分野の別なくブッシュ政権の幹部が総出で圧力をかけた格好だ。
いくら選挙真近といっても異常だ。しかも就任したばかりの外相の最初の訪米
である。
ここまで米国に脅かされれば小泉首相はひとたまりないだろう。誰がなんと
言おうと輸入再開を島村農水相、町村外務相に命じるだろうなあと目に浮かぶ
ように想像するのである。あとは官僚や専門家たちがアリバイ作りに専念する
だけである。
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