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【奇っ怪ニッポン】
2004年9月30日 掲載
米国の失敗を追い掛ける小泉改革
http://www.gendai.net/contents.asp?c=025&id=16180
郵政民営化が主たる改革ではない、と世間は考えているのです。「朝日新聞」の調査に依(よ)れば、新内閣で一番力を入れて欲しいのは「年金・福祉問題」52%、「景気・雇用」28%であるのに対して、「外交・防衛」9%、「憲法改正」5%。「郵政改革」に至っては僅(わず)か2%だったのです。既に「郵政民営化実現内閣」との乖離(かいり)現象が生じています。
一方、“永田町雀”らの間では、年金、医療、介護保険を含む社会保障制度改革は進展する、との見方が強まっています。即ち、共産党や社民党にも似た福祉政策を掲げる“弱者の味方”を標榜する公明党の坂口力氏から、自民党の尾辻秀久氏に厚生労働大臣が交代したからです。
一般には無名に近い人物を厚労相に起用したのは、小泉純一郎氏が主導権を握る為だ、との推察からです。ですが、その行く末は納税者にとって恐ろしい、と僕は案じます。アメリカの失敗を日本は追い掛ける事となるのです。
御存知かどうかアメリカでは、人口の15%に当たる4200万人もの人々が健康保険に未加入です。正確に申し上げれば、お金がないと保険にも加入不可能だからです。国民皆保険の日本では考えられない話です。その日本では、医療費を抑制しなくては財政が破綻する、との乱暴な論調が目立ちます。盲腸の手術を受けても即日退院するアメリカは、国民の意識が進んでいる、との事例と共に。が、これは高額の保険に加入していないと入院費用も全額自己負担となるから、麻酔も切れぬ内に退院を余儀なくされている。ってのが真相です。
それでいて、他の先進国と比較してアメリカでは国民1人当たり2倍以上の財政支出を健康・医療分野に行っているのです。なのに何故? 理由は簡単です。共和党の支持母体でもある民間の保険会社や製薬会社へと還流する仕組みが構築されているからです。
病院に電話をすると、貴方はどのクラスの保険に入っていますか、と先(ま)ずは尋ねられます。それで診察の順番も、診察の中身も決まってしまうのです。診察を拒否する権利すら認められているのです。誰でも所得に見合った掛け金で国民健康保険に加入出来て、3割の自己負担でどこの病院でも診て貰える日本では考えられない現実です。メディケアと呼ばれる高齢者医療制度に加入する年金生活者4000万人の約3分の1は、処方箋等の薬代が保険でカバーされていない為、生活費を削って支払う有様です。民間参入した保険会社が、健康な老人を囲い込み、病弱な高齢者の加入を拒否しているのです。
日本では、数々の保険業を営むオリックスの宮内義彦氏が規制緩和社会を齎(もたら)す救世主の如く崇(あが)め奉られ勝ちです。ですが、経世済民とは凡(およ)そ対極のアメリカの現実を知る僕には、新厚生族の宰相・小泉純一郎と手を組む新手の政商に思えてならないのです。この問題、更に論及します。【田中康夫】