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[AML 0071] 奈良の事件とジャーナリズムの暴走
http://list.jca.apc.org/public/aml/2005-January/000065.html
Katsunori Tanaka guskovdori at yahoo.co.jp
2005年 1月 9日 (日) 20:13:23 JST
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田中です。
奈良の事件あたりから、Megan's Lawのような法律の制定が
必要だとか、児童ポルノの規制が必要だとか主張されています。
児童ポルノは原行法で規制されているし、日本発の児童ポルノ
は、この調査によれば世界の中で1%未満なのですが。
Telefono Arcobleno, Monitoring Pedophilia Online Annual Report 2003
http://www.telefonoarcobaleno.com/annual_report_2003_pedophilia_online.pdf
私も子どもが殺害されるというような事件には心が傷みます。
それだけに、「これを機に」と、被害者に同情して加害者を
憎む世論にかこつけた人権の抑圧を正視する必要を感じています。
マスコミ全般の論調も、根拠のない数字と煽情的な発言などから、
性犯罪者は刑期を終えても普通の生活を送るのが難しい社会にして
いくような、世論を動かしているように見えます。
Megan's Lawのような一般市民に前科者の個人情報開示の可能性や、
警察だけには前科等を知らせるという制度を警察庁長官が持ち出し
ているのですが…
性犯罪「前歴者の住所把握必要」警察庁長官
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20050107/mng_____sya_____001.shtml
性犯罪対策/前歴者を把握できる法整備を
http://www.worldtimes.co.jp/syasetu/sh050108.htm
性犯罪前歴者把握 法相「難しい問題」
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20050107012.html
性犯罪の再犯率が高いという根拠のない報道を繰り返している
テレビや新聞が多いのですが、当然、慎重論もあります。
法相、性犯罪者の住所把握に慎重姿勢
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1G0700V%2007012005&g=K1&d=20050107
1月8日の日経新聞本紙には、もう少し詳しい記事が載っています。
「拙速では」戸惑いの声 警察庁長官「性犯罪者の住所把握」発言
犯罪抑止、期待できるが… 法務省「矯正放棄に」
> 「性犯罪者の再犯率は高い」とされるが、正確なデータはない。
(データは現在、警察庁で分析中だそうです)
> 再犯を防ぐことの実効性を疑問視する声もある。
(龍谷大学法学部の石塚伸一教授の話で、「居住移転の自由への
大きな制約になる」ことや「前歴者の孤立を深め社会復帰を困難
にするだけで、初犯者の防止にもつながらない」という指摘。
さらに、このような制度のマイナス面を含めた効果が検証されて
いないこと、刑務所での矯正の役割を放棄することにつながると
いう記事になっています。)
いずれにしても、政府での「議論」が始まるのは目前に迫って
いるようで、性犯罪者の有罪が確定したらその住民票コードが
警察庁へ送られる、というような監視社会への道が開かれかね
ないわけで、「監視してもらったほうが安心できる♪」という
ような人には、もっと考えてもらわないといけないと思います。
池田小学校での事件をきっかけに、あっけなく成立した法律が
ありました。もちろんそれを許さない運動があったことも承知
していますが、残念ながら成立を許してしまいました。重大な
犯罪を犯した精神障害者の人権は制限されるというものです。
http://www.moj.go.jp/KEIJI/keiji22.html
精神科医からも「法の目的を達成することがそもそも困難」と
指摘されています(精神科医への異義は、ここではおくとして)。
http://www.jspn.or.jp/04opinion/opinion14_11_16.html
さて、奈良の事件以来メディアでの露出度の高いジャーナリスト
として、大谷昭宏氏の名前があげられるでしょう。
http://homepage2.nifty.com/otani-office/
さて、次のページに大谷氏が書いた文章が3回、掲載されています。
http://www.jcj.gr.jp/relay.html
1 バトル・ロワイヤル法が降りかかる (2001.2.26)
2 日朝国交正常化交渉をはばむ勢力 (2002.11.2)
3 たしかな「性」教育を行うべきだ (2003.8.5)
私には2003年の文章とそれ以前のものが同一人物によって書かれた
とは信じるのが難しいのですが、少なくとも最近の大谷氏には大きな
変化があったのか、あるいは特定の分野ではかしくなるのか、「性」
を語れば以下の3つの例のようなシロモノになっています。
ピントのあった性教育を
http://homepage2.nifty.com/otani-office/nikkan_02/n030212.html
思春期の性でつながる長崎と渋谷
http://homepage2.nifty.com/otani-office/nikkan_02/n030723.html
思想論争にすり替わった大新聞の性教育報道
http://homepage2.nifty.com/otani-office/scrap/media030913.html
そこで奈良の事件について。
趣味と犯罪の境界 社会が決めるべき
http://homepage2.nifty.com/otani-office/nikkan/n050104.html
精神障害の前科者は人権を制限されていいのでしょうか。性犯罪の前科
者は人権を制限されていいのでしょうか、あるいはロリコン趣味(私は
そのような趣味を持ち合わせていませんが、20年以上前から知っている
そのような傾向の友人、知人は今まで犯罪らしいものに手を染めていま
せん)のメディアは規制の対象にすべきなのか。大谷氏は結局、彼自身
が否定していた「バトル・ロワイアル法」の制定を求めるところへ堕落
したのではないかと、過去の業績をある程度評価しているからこそ残念
に思っています。
これは大谷氏個人の問題ではなく、大手の新聞社や放送局が警察発表を
そのまま検証せずに流す、ジャーナリズムにとっては自滅的ともいえる
姿勢を早く改める必要があるでしょう。
*
日本国憲法
第39条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為
については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、
重ねて刑事上の責任を問はれない。
第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の
自由を有する。
最高裁判決 S56.04.14 第三小法廷・判決 昭和52(オ)323
http://courtdomino2.courts.go.jp/schanrei.nsf/0/9A166D777E9B28B349256A8500311FF4?OPENDOCUMENT
田中克範
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この投稿に対するレスも長くなりますが貼っておきます。
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[AML 0075] Re: 奈良の事件とジャーナリズムの暴走
野崎 優子 yukonozaki at yahoo.co.jp
2005年 1月 10日 (月) 11:25:01 JST
田中さん、こんにちは。野崎です。毎回、すごく興味深いサイ
トと問題提起をして頂き、嬉しいです。
最近の性犯罪に対するマスメディアの報道は、痴漢・レイプ事
件を取り上げ女性の人権を考え、DVや性被害、性暴力根絶の流
れになっているかと言えば、性教育バッシングにすり替わって
いる。♪なんでこうなるの?♪カトちゃんケンちゃんのノリで
言いたいぞ。(笑)
性犯罪や女性の暴力に欠かせない「性に関する情報とサービス
」を受ける権利(リプロダクティブ・ヘルツ&ライツ)が増え
ているかと言えばそうではありませんね。一部の議員達は肝心
要の性に関する情報をストップしましたし、(思春期の為のラ
ブ&ボディBOOKの冊子を保守系議員から配布を阻止された)結
婚する・しないの選択の自己決定権を奪う「心のノート」から
、子どもにある権利には目を向けていない青少年健全育成条例
、憲法24条の改悪、ジェンダーフリーバッシングは個人にあ
る権利を大きく後退させていっていると見ています。
青少年犯罪に評論家やメディアが低年齢化凶悪犯罪とクローズ
アップしますが、子どもが置かれている環境に目が向けられる
ことがあまりないように感じます。文部科学省が過度の競争原
理を教育に取り入れ、その結果教育が歪んだり、落ちこぼれて
いく子どもが出てきました。不登校が社会問題化していった背
景には、過度の競争を煽る教育や環境があるんじゃないかと思
います。
文部科学省が確信的にやっている「総合学習の時間」と「道徳
の時間」(年間、両方でのべ135時間以上)で授業が大幅に
削られています。どんなに教職員が頑張っても無理があります
。制度上に問題があるからです。基礎学習に充てる時間がない
から学力低下が起こっているのです。文部科学省はすぐさま、
総合と道徳のなどの無駄な時間を基礎学習の時間に返すといい
のです。自分達がやっている「教育改革」の結果が子どもの学
力低下なのですから。
最近メディアの報道で感じるのですが、青少年の事件は増えて
いないのに増えたかのような報道。そして家庭と学校教育が悪
いから事件が起こるのだと議員が言い出す。その根拠は見いだ
せないままに・・・安倍晋三氏はひどいもので、事件の後に教
育基本法を変えないと行けないと言い出しています。(彼の論
理破綻はみごと!)そして最近の風潮は子どもの犯罪はまるで
家庭の躾が悪いと、母親の教育がなっていないからという家庭
の責任転嫁になっているように見受けられます。そこには企業
戦士として家庭に戻すことをしなかった企業の責任や父親の責
任に触れることは無い。
そのような環境や教育の後退を招いている文部科学省に目を向
けることをしないで、狭い価値観で子どもを管理する石原慎太
郎傘下の「心の東京革命」http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/toukei/kokoro.htm
「日本躾の会」http://www.c2k.or.jp/gairyaku.htm
などは、子どもの権利条約に明記されている子どもの権利には
目を向けることなく、教育基本法改悪の流れを作っている元凶
だと思います。
> 田中です。
(途中略)
> 私も子どもが殺害されるというような事件には心が傷みます
。
> それだけに、「これを機に」と、被害者に同情して加害者を
> 憎む世論にかこつけた人権の抑圧を正視する必要を感じてい
ます。
少年法の改正もしかりでしたね。同情を煽り、メディアが一体
となって少年法の改悪に向かいました。マスコミやジャーナリ
ストとは、権力の発動を許さない為の存在であると考えていま
したが、期待を大きく裏切られましたね。
>
> Megan's
> Lawのような一般市民に前科者の個人情報開示の可能性や、
> 警察だけには前科等を知らせるという制度を警察庁長官が持
ち出し
> ているのですが…
おかしな風潮だなぁと怪訝な思いでいます。刑期を終えたのに
、いつまでも犯罪者というレッテルを貼り続けることになるか
らです。また、個人の行動の制約、個人の情報まで開示請求を
させることは、開示のはき違えではないでしょうか?行政やパ
ブリックなものに対し、情報とは開示できるのであって、それ
は個人に向けられるものでは無いと解釈しています。
> 性犯罪「前歴者の住所把握必要」警察庁長官
>
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20050107/mng_____sya_____001.shtml
>
> 性犯罪対策/前歴者を把握できる法整備を
> http://www.worldtimes.co.jp/syasetu/sh050108.htm
これと似たようなものがあります。イギリスだったと思います
が、もと性犯罪者や、DVの加害者だったかに、マイクロチッ
プを埋めさせ行動を監視するという話しがテレビのニュースで
出ていたときには、驚きました。刑期が終わっても犯罪者とい
う烙印から逃れることができないのですから。国内人権ネット
ワークの刑務所訪問の資料を拝見すれば、心神喪失者なども入
所されており、司法の判断を疑問視する刑務官の声が書かれて
います。刑法39条による「心神喪失者は罰せられない」とい
う一般先入観の誤りを指摘されています。コミュニケーション
がうまくとれない、知能指数テストすら受けることができない
受刑者が罪をどのように侵したのか定かではありません。逆に
犯罪に巻き込まれえん罪になっている場合もあるんじゃないか
と思った次第です。
> さて、奈良の事件以来メディアでの露出度の高いジャーナリ
スト
> として、大谷昭宏氏の名前があげられるでしょう。
> http://homepage2.nifty.com/otani-office/
この方は、分析がおかしく、勉強不足の感が否めません。
> これは大谷氏個人の問題ではなく、大手の新聞社や放送局が
警察発表を
> そのまま検証せずに流す、ジャーナリズムにとっては自滅的
ともいえる
> 姿勢を早く改める必要があるでしょう。
田中さんのようにきちんとした分析、多方面からの情報をもと
に取材と勉強をきちんやってくれるジャーナリストの声を大き
くしていく必要性を感じます。