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道警裏金問題の発覚から一年、内部調査開始から七カ月。これだけの時間をかけて得た道警の内部調査最終報告は、要約すると、「裏金は現場で自然発生した」「原因は現場の認識不足」「上層部は知らなかった」という内容にすぎなかった。客観的な証拠や根拠を示さず、刑事責任を問われかねない「私的流用」は否定。責任は結局、下へ下へと押しつけられ、内部調査の限界と無意味さが浮き彫りになった。
「所属長はじめ、捜査員の多くが正規の会計手続きにのっとらなければならないという認識が不足、欠如していた」「捜査活動の効率性、機動性を考慮し…」。最終報告には、こういった言葉が随所に登場する。裏金づくりの原因は、予算制度の不備と現場の無知にあったとする立場だ。
報告はほとんどの部署で裏金づくりが行われていたこと自体は認めた。しかし、道警本部や方面本部は「(裏金づくりを)容認、指示、指導」を一切していないと断言。上層部は全く関知していないとの姿勢を打ち出した。
これに従えば、まったく同じ手口、手法で裏金をつくり、まったく同じ使途に使われるという状況が、自然発生的に広がったことになる。厳格な上意下達組織である道警で、そんなことがあり得るのか。報告はこうした疑問を完全に無視した。
「ゴルフコンペ」「幹部の出張時の小遣い」「せんべつ」「ヤミ手当」。実名証言した元警視長と元警部、道監査委員へ裏金の実態を申告したOB、取材に口を開いた現職・OBは裏金の使途をそろってこう証言した。捜査経費はほとんど自腹で、激励慰労や打ち上げは多くが会費制だったという。
それにもかかわらず、最終報告は「組織の立場を離れた個人的な利得の事実は把握されなかった」と言い切った。横領容疑に直結しかねない「私的流用」は一円もなかった、と。
しかし、私的流用なしという一線を守るため、報告は多くの矛盾をはらんでしまった。
最終報告は裏金の使途として、情報提供謝礼や接触費、夜食代、携帯電話通話料などを例示し、「機動性」が必要だったため、裏金づくりに走ったとした。ところが、「不適正執行総額」のうち、捜査活動の経費はわずか35%にすぎない。残りは「機動性」とは無縁の激励慰労、交際などに使われている。
私的な飲食に使ったと指摘された北見方面本部警備課の領収書偽造問題についても、「会計検査院の実地検査で適切な答弁ができなくなることを避けるため」だったとの釈明を列記するだけで、使途を明示することはなかった。
「自らの問題は自らの手で明らかにする」(芦刈勝治本部長)はずだった内部調査は、一つ一つの支出はおろか、警察署単位の不正額も示していない。旭川東、伊達の両署で、報償費関連の公文書がそもそも作成されていなかったことにも触れず、過去の内部監査がこの事実を見逃していたことにも言及しなかった。
一方では「多少、本旨から外れた使い方もあるが仕事に使った」「現場が勝手にやった」という論理を展開。「道警本部として事実を重く、また責任を厳しく受け止めている」と総括してみせた。
その上で改善方策を提示。例えば交際費については「予算、執行可能な範囲の拡大について社会的通念を踏まえつつ検討する」と言い切り、「不正の隠ぺい指導だった」と元幹部らが指摘する内部監査強化をうたい上げた。
不正発覚を奇貨に予算拡大と人員増まで求めようとする道警。「返還すれば終わりなのか」(道警OB)という多くの批判を前に、裏金問題は最終盤に差し掛かった。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20041123&j=0022&k=200411231080