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企業としての成長【がんばれ！！ゲイツ君】
http://www.asahi-net.or.jp/~FV6N-TNSK/gates/column233.html
先日、FireFoxのメール版とも言うべきフリーのメーラー、Thunderbird1.0の待望の日本語版がリリースされましたね。0.9にあった日本語添付ファイルの文字化けなどの問題もなく、動作も極めて安定しかつ軽快でかなりお勧めできるように思います。いやはや、MozillaFoundationも粋なクリスマスプレゼントをしてくれましたね。
Windowsのフリーのメーラーとしては何度かご紹介しているEdMaxもきめ細かいカスタマイズなどの面でかなりお勧めなのですが、OutLookユーザーからの乗り換えを考えるとFireBirdの方がはるかに違和感が無く使えるかと思います。OEにあるスケジュール機能との統合も今後実施されるようですし、しかもマルチプラットフォーム対応となるとOEはますます使う意味が無くなって来ます。
Linux上では既にXimian Evolutionという大変優れた統合ソフトウェアがあるのですが、それ以外の環境をお使いの方にはかなりな福音でしょう。私のページをご覧になられている方でまだ個人でOutLookなどをお使いの方はおそらくいらっしゃらないかとは思いますが(^^;、もしまだ乗り換えを考えられていない方がいらっしゃいましたら、ぜひお試しになっていただければ幸いです。
（とは言え、12/28日AM現在急遽HTMLメールの画像作成時のバグ対応中とのことなので、ちょっとダウンロードはお待ち頂ければ幸いです(^^;）
さて、年の瀬も押し迫って参りましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
先週、最後に時候の挨拶としてメリークリスマスとつい言ってしまったのですが、どうもクリスマスシーズンにこの言葉を言うのは宗教的な差別となるということで米国などではハッピーポリデイという言葉に代えようという動きがあるようですね。お寺の家にクリスマスツリーが飾られるような日本ではなかなか想像が付かない事ではありますが、それだけ宗教の生活に占める割合が大きいという証左でもあります。
まぁ宗教の話となると、パソコンの世界でも宗教めいた話が登場することはあります。もう６年以上前のコラムでこうしたパソコンの宗教戦争の話などを取りあげたこともありますが（美味んぼの話とかWindowsNTWorldのさらばMacintoshの特集とか、覚えている方も少ないとは思いますが（笑））、最近はほとんど聞かれなくなった感もしますね。かつてに比べると市場が成熟しているということも要因の一つとしてあるように思うのですが、それに比して全く成長の跡が見られない会社というのがあるのもまた事実ではあるかと思います。ちょっと今日は、一つのニュースに着目してその成長とは何かということについてお伝えしたいと思います。
例えば、先週お伝えするのを忘れてしまったのですが、12/17日付けでＭＳがファイアウォール設定関係のセキュリティパッチを緊急リリースしているようです。これ、ファイアウォール設定下でファイルとプリンタの共有をしないように設定されていても、インターネットから誰でもアクセスできてしまうというもので、ダイヤルアップでインターネットにアクセスしている場合が対象です。 現在日本などではブロードバンドが主流ですのでダイヤルアップユーザーも少なくなっているとは思いますが、しかし基地局などの問題でまだお使いの人もいらっしゃるでしょうし、世界的に見るとまだまだユーザーは多いです。そうした場合に、ファイアウォール機能を信用して安心して接続していても、実はインターネットからは共有フォルダが丸見えだったということで、かなりとんでも無いバグであることは間違い無いですね。いくら他人の情報を収集するのがお得意な会社だと言っても、第三者に無防備に公開してくれるのはちょっとやりすぎのような気もします(^^;。
しかし、なんでこんなバカなことが起きるのかと思ってＭＳのページを読んでみると、「一部のダイヤルアップ用ソフトウェアがルーティングテーブルを構成するときに、Windowsファイアウォールがインターネット全体をローカルのサブネットと解釈する場合があり」という文章があって、その下にも「場合があり」、「可能性があり」などと続いています。
こういう所に相変わらず成長の跡が見られないなぁと思ってしまうのですが(^^;、技術文書なのだからこういう意味の無い表現は止めて欲しいのですよね。「場合がある」ということは、「上記の状況でネットに接続してもそうならない場合がある」という意味に取れますが、具体的にどういう時にそうなるのかということを言わないとユーザは自分のＰＣがそのバグの対象になっているのかどうかの判断が全く付かないわけです。
「１００％そうなるのだけれど表現を和らげるために一応言っておこう」という意味でこういう表現をしているのであれば、それはかなりユーザーを嘗めていますしね。
また、このパッチの概要の説明には、さもこのパッチがありがたい機能追加であるような書き方をしているのですが、こういう素直でない所も相変わらず成長が見られていないのが大変残念な所です。
あと、このパッチはWindowsUpdateで自動的にアップデートされます、なんてことも書かれているのですが、ダイヤルアップユーザーがWindowsUpdateでネットにつないで更新なんてやっている人がいるのでしょうか(^^;。そんなことをやっている間にウィルスに感染したという前回の教訓がどうも全く生かされていないようです。
ちなみに、ＭＳではこのバグを、どういうわけかソフトウェア脆弱性とは認めていないそうです。その理由は全く私には理解不能なのですが、それもあって上記Cnetのページによると、
「このセキュリティホールについては、当初の計画通りに、作業を進められなかった。セキュリティを担当するチームは『これはソフトウェアの脆弱性でないから、対処しなかった』といい、プロダクト担当のチームは『月例パッチの運用スケジュールに慣れてない』といい出す状況で、どっち付かずになってしまった」
なんて言う笑い話みたいな状況になってしまったようです。社内の組織の体面の問題のせいでパッチのリリースが遅れ、ユーザーが危険にさらされることになってしまっていますが、これが、先々週にあったような「ユーザーのことを第一に考えている会社」のやることとはとても思え無いのですがどうでしょうかゲイツ君(^^;。
といった形で、一つのセキュリティホールのニュースに着目するだけでも、どうもこう、世間の成長ぶりに比べて某社の成長の無さが際だってしまいます（最近ではどうもMS自身も自虐的になっている面もあるようで、自分のサイトではっきり「マイ『クソ』ロフト」なんて記述している始末（笑））。最近の調査でも、WindowsはLinuxに比べてもセキュリティの面でどんどん置いてけぼりになっていますし(最近もWindows上にセキュリティホールがまだまだ多数存在するという警告がSymantecからされていますね。）、ブラウザのシェアでも最近は落ちる一方ですし、一体ゲイツ君はどうしちゃったのでしょうかね。他人事ながらかなり心配ではあります。
ひょっとしたら、画期的な打開策と題して孫様のようにプロ野球の球団を持ってイメージアップを図るなんてことをやり出すかも知れませんが、電光掲示板がウィルスに冒されて試合が何度も中断したり、いきなりWindowsのエラー画面が出るなんてことになるのは嫌ですからそれは勘弁してもらいたいものです(^^;。ま、ユーザーや市場はかつてに比べるとかなり成熟してきているのも事実ですし、ＭＳのみがいつまで経ってもIEやOEと同じように何も成長の跡が見られないような状態ではさすがに目立ちすぎますしね。
ゲイツ君も来年こそは、私なんかが「いや〜何も書くネタが無い！」なんて悲鳴を上げたくなるような、そんな素晴らしい成長を遂げて欲しいものです。
さて、今年の更新はこれで終わりとなります。
それにしても今年一年を振り返ってみてみても色々な事がありましたね、私的にはWindowsXPのSP2リリースの大規模な混乱や、Yahoo!BBの大規模な顧客情報の漏洩事件がかなり印象に残っておりますが、個人情報の価格が５００円という相場が期せずしてできてしまったのも今年でありますね。
それ以外では、楽天やソフトバンクのプロ野球の参入など、一般の人にはあまり馴染みのないIT企業が一躍脚光を浴びた年でもありました。ライブドアなんて名前も普通に知っている人は少なかったはずですが、全国に名前を轟かせましたね。ちょっと社長が最近露出しすぎのような気もしますが(^^;、まぁ若いですしご愛敬ということにしておきましょう。
それにしても今年も当ページをご愛読いただきましてどうもありがとうございました。１２月初旬にこのコラムのページビューが２０００万ヒットを達成しまして、来年は私自身が一つの区切りにしている連載２５６回にも到達します。
連載開始以降、このコラムではパソコンを使うにあたる様々な話題をお届けして参りましたが、１９９６年に開始して７年以上立った今でも、まだまだ様々な問題は多くありますし、誰もが簡単に使えるというものにも残念ながらなっていないのが現実です。
今年はイラク戦争の余波もあり、まだファルージャでは民間人の犠牲者なども数多く出ているような有様ですが、日本でも大変災害が多かった年でもありました。台風の水害や新潟の地震などで家を無くして避難生活を余儀なくされている方や、身内の方を亡くされた方には心からお見舞い申し上げます。
でも、こうした災害にあたり、インターネットから生まれた本がその印税を被災地に全額寄付をする動きがあったり、ネット上で全く面識の無い人同士が協力して被災地への支援活動などが盛んに実施されるなどの広がりを見せていることは大変喜ばしいことです。オンラインで手軽に募金を行うことができる仕組みも多く立ち上がり、数多くの大変な成果を上げています。かなり以前からある「クリック募金」も、パソコンが無い時代には全く考えられなかった仕組みですが、これも大きな成果をあげていますね。
そう考えると、様々な問題は有るとは言え、まだまだこのパソコンも捨てた物ではないと思います。もちろんその中身がWindowsだろうがMacだろうが関係はありません。
どんな人にだって、人を思いやる気持ちも、平和を願う気持ちもあります。そうした思いを共有し、形にする一つとして私たちのパソコンが使われるのだとしたら、それはとても素晴らしいことですし、人類の新しい、大きな進歩だと思うのです。あなたの目の前のＰＣだって、立派にその役目を果たしている。そう考えると、なんだかいとおしくなって来ませんか。
それでは皆様、大変寒くなって参りましたが、お体に気を付けて良いお年をお迎え下さい。
次回は１月１１日からの更新になります。来年こそは、災害の無い平和な年になりますように願いながら、本年の更新を終わりたいと思います。
また来年、同じ場所でお会い致しましょう。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。