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http://www.asahi.com/national/update/0421/TKY200504210143.html?t1
2005年04月21日11時07分
インターネット上に書き込まれた自殺予告などに即応するため、プロバイダー(接続業者)が警察からの契約者情報の照会に応じるシステムが今夏にも動き出す。通信の秘密を理由に照会が拒否されるケースもあったが、情報通信ネットワークのあり方を検討する「総合セキュリティ対策会議」(委員長・前田雅英首都大学東京教授)が21日、「人命保護に努めるべきだ」と提言、業界側はこれに応じる。
警察庁によると、インターネットの自殺サイトで知り合った集団自殺の件数と死者は、昨年1年間で19件55人。今年は3月末までですでに20件54人に上っている。
対策会議の提言を受け、電気通信事業者の業界団体「テレコムサービス協会」(東京都港区、加盟約310社)は、全国のプロバイダーの対応を統一する。
同会議は01年に発足。委員はインターネット関連の大手企業や業界団体、法律やIT(情報技術)の識者ら20人。警察庁が事務局になり、法務省など関係省庁も参加している。
警察庁によると、インターネットの掲示板に集団自殺の呼びかけや自殺決行のメッセージがあった場合、警察は個人を特定するため、プロバイダーに書き込み者の照会を行う。しかし、差し押さえ令状の提示を要求するなどして応じないプロバイダーも少なくなかったという。自殺予告は犯罪には該当しないため、令状は取れず、警察はお手上げの状態だった。
同協会は捜査への対応について総務省がまとめた「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」をもとに検討。「警察から照会を受けた場合、緊急避難の場合をのぞき、通信内容や当事者の氏名などは開示してはならない」という指針を定め、「自殺予告への対応は緊急避難」という見解を示していた。ところが指針は徹底されず、プロバイダーによっては「通信の秘密を侵害するおそれが生じる」と開示に及び腰になったり、捜査協力による負担増を嫌ったりする傾向も強かったという。
このため警察は、自殺を思いとどまるように掲示板に書き込んだり、書き込まれた地名などから時間をかけて割り出したりしてきた。
提言では、犯罪性が認められない場合や漠然とした情報でも官民が連携した対処が必要だとし、発信元のIPアドレス(パソコンの識別情報)などの開示を求める照会の文書様式を定めた。また、「○○県の小学生を殺します」など殺害予告のような書き込みに対しても同様に処理することを求めている。