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「Linuxの振興を支援する」――自民党政調会長 衆議院議員 与謝野馨氏【IT_Pro】ITに強い政治家もいるのですね
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/NEWS/20050308/157144/
自由民主党政務調査会長で「e-Japan重点計画特命委員会」の委員長を務める衆議院議員 与謝野馨氏に,政府・自治体におけるオープンソース活用について話を聞いた。
同氏は自らパソコンを組み立て,Linuxも使用するなどITに詳しく,インタビューでは専門用語やLinuxディストリビューションの正確な名称が次々と飛び出す。「Windowsが唯一のOSであるよりも,Linuxがあるほうが,互いに競って改良が進み,ユーザーにとってより良いものができてくる」と,健全な競争への期待を示した。(聞き手はIT Pro編集 高橋信頼)
――2004年末,「e-Japan重点計画特命委員会」で,OSS推進フォーラムが「政府システム調達におけるOSS利用の促進について」と題する提言を行いました。「OSS(オープンソース・ソフトウエア)はわが国のIT産業の競争力向上につながる」としてOSSのメリットを生かせる政府調達ガイドラインの設定などを求める内容でしたが,どのように受け止めておられますか。
与謝野馨氏
Windows系統のOSは使いやすく,Windowsの上で多くの便利なソフトが開発されて,利用されているのは事実だし,それはそれでたいへんな社会的効用を持っていると私は思っています。
しかし,Windowsだけが世界で唯一通用するOSであるよりも,やはりLinuxなど他の選択肢がある方が,互いに改良,改善を加えて,ユーザーにとってより良いものができてくるのではないかと思っています。私としてはその振興をこれからもやっていこうと思っています。
私が通産大臣をやっていた6年前,今の大分県知事の広瀬勝貞さんが機械情報産業局長でした。当時,広瀬さんに「TRONとLinuxの振興をやれ」と言ったんですけれども,時代はWindowsだったものですから,あまりその時は動きがなかった。
しかし,情報処理振興課長が嶋田隆さんになった時から,再びオープンソースの重要性が認識され始めた。Linuxもいろんなバージョンがありますけど,Red Hat Linuxの系統,Turbolinuxの系統,VINE LINUX,KNOPPIX,いろいろあるわけですが,それぞれバージョン・アップし,ユーザー・インタフェースもずいぶん工夫され,またプリンタ・ドライバも各社から出揃い,使いやすくなっています。OpenOffice.orgやStarSuiteなどのオフィス・ソフトもMicrosoft Officeとの互換性が高くなり,広がる機運が出てきた。これはたいへん喜ばしいことだと思っています。
今はパソコン本体は非常に安くなっています。費用の面で壁になるのはやっぱりOSと,そのOSの上で動くソフトウエアだと思います。Linuxはフリーのソフトウエアですから,国内では学校現場などで使うのにいいと思いますし,東南アジアや発展途上国のIT化が進むときに,そういった国々の人たちが負担できるOSという意味では,Linuxの系統が優れていると思っています。
専門家からは,Linuxの方がWindowsよりもバグも少なく,安定性も高いと聞いています。ただし,サポートの面ではまだ劣っているのではないかと心配しています。
TRONも工業用に利用され始めており,そういう競争の中で,より良い,使いやすい,一般ユーザー向けのOSのというのは出てくるんじゃないか,さらに完成度が高まるのではないかと思っています。
――多様な選択肢があることが良いことだと。
そう思います。それと,やはりOSは結構値段の張るものですから,OSにそんなにお金を使えない人とか,私はワープロと表計算しか使わないという人は,LinuxとOpenOffice.orgで十分なんじゃないかと思っています。
ただ画像処理などでは,Windowsとその関連ソフトは非常に発達しているから,LinuxはWindowsにかなわないと思いますが。
――そういった選択肢を確保するために,何かアクションを取るお考えは。
経済産業省もオープンソースに関して取り組み,予算も付け始めた。そういったことを一所懸命応援していこうと考えています。
数カ月前にパリの市役所がWindowsにするかLinuxにするかで大騒ぎになりました。この時は結局Windowsが勝ったようだけれど,そんなふうにヨーロッパでもLinuxに好感を持つ人が増えてきている。
それとWindowsにはバンドル問題があって,日本の公正取引委員会が排除勧告をしましたが,メーカーとの契約条件が,特許を侵害していても(日本のパソコン・メーカーがマイクロソフトを)訴えないという,「嘘だろう」という契約をやっていた(関連記事)。WindowsもLinuxも,フェアな競争をやればいいと思うんです。
――パソコンやLinuxにたいへんお詳しいので驚きました。自らLinuxを使ったこともあると伺いましたが。
7〜8年前ですかね,「何かいい暇つぶしはないか」と知人に聞いたら「パソコンの組み立てでもやってみたらどうか」と勧められて,Windows95の時代に最初に組み立てたんです。そのころは300MHzのCPUが9万8000円もした時代でね。それで部品を買ってきて組み立てたんですが,動くまで2カ月くらいかかったんですよ。
今は非常に職人的になって,部品が梱包から解かれて机の上においてあると,1時間くらいで組み立てられちゃって,OSのインストールまで2時間くらいでできてしまうので,時間当たりで考えるとずいぶん高い趣味になってしまう(笑)。
その中の1台は,ハード・ディスクを取り替えられるようにしてあって,Windows 2000やXP,TurbolinuxやLINDOWS,VINE LINUXなんかが,一応動くんですね。入れてみて動くと嬉しいんだけど,デジカメで写真をいっぱい撮るもんですから,そういった画像処理はWindows XPや2000が充実しているので,そちらでやることが多い。まあ,インターネットでページを見るくらいならLinuxで十分ですよね。
あとFedore CoreというRed Hatの後継が,Fedore Core 1,Fedora Core 2ときて,最近Fedora Core 3が出ましたが,こちらも少しずつみんなが馴染んで来るんじゃないかと期待しているんですが。
――これまでに何台くらい組み立てられたのですか。
作っては壊したり,人にあげたりしているから,何台くらい作ったか分からないくらい作ってますね。毎年2〜3台作っているから,20台くらい作ったんじゃないでしょうか。
部品はビックカメラで買うこともあるし,秋葉原のTWO TOPとかT-ZONEとかで買うこともありますね。
写真/新関雅士
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