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04年回顧:
情報家電が経済をけん引の中、パソコン苦戦
http://www.mainichi-msn.co.jp/it/computing/news/20041222org00m300105000c.html
薄型テレビを中心に個人向けデジタル情報家電が活況だった2004年のIT関連市場。一方で、アテネ五輪の影響などで、夏場に苦戦したパソコンはAV機能を強化して生き残りをかけた戦いを展開した。そんななか、IBMはパソコン事業から撤退し収益性の高いサービス事業への転換を図った。ユビキタス社会へ向けた技術が市場に着々と広がった04年。ハード・ソフト関連の一年を振り返る。【高木 健一郎】
■■薄型テレビは高性能・大型化、次世代DVD規格はコンテンツ奪い合い
今年順調な成長を見せたのが薄型テレビ市場。高性能化をはじめ、大型化も進み、10月には、松下電器産業がプラズマテレビ市販機種では世界最大の65V型「VIERA」を発売。また、シャープが液晶テレビとしては世界最大の65V型「AQUOS」の試作機を発表し、「大型はプラズマ、中小型は液晶」のすみわけを覆すものとして注目された。
一方、キヤノンと東芝が共同開発する第三の薄型テレビ「SED(表面伝導型電子放出素子ディスプレー)」が9月に発表された。SEDはブラウン管(CRT)と同じく、電子を蛍光体に衝突させて発光させる自発光型ディスプレーで、05年8月から生産が始まる予定。薄型テレビ市場は来年も激しい競争が予想される。
薄型テレビとともに人気だったDVD(デジタル多用途ディスク)レコーダーは、番組予約録画機能が充実したり、なかにはハードディスクが600GBもある大容量の機種が登場するなど、各社製品ともに多機能化が一段と進んだ。
その一方で、次世代DVD規格で主導権争いをする東芝・NECなどの「HDDVD」とソニー・松下電器産業などの「ブルーレイディスク(BD)」の両陣営がコンテンツを保有する映画会社の支持の取り付けでしのぎをけずった。10月にBD陣営が「20世紀フォックス」の参加を取り付けたが、11月には HDDVD陣営が「ワーナーブラザース」など4社を取り込み優位にたつと、12月には「ディズニー」がBD陣営に参加を表明。米ハリウッドの映画コンテンツを二分することになった。規格の統一が実現しないまま、05年秋以降の次世代DVD商品の本格市場導入を迎えることになりそうだ。
電子情報技術産業協会(JEITA)発表の民生用電子機器国内出荷額によると、最新データの11月まで12カ月連続のプラスと好調を維持。特に映像機器は 17カ月連続のプラスを維持し続けるなど、1年を通じて業界全体が堅調に推移した。アテネ五輪効果の影響と言われたが、11月になっても液晶カラーテレビが前年比71.5%増、プラズマテレビ(PDP)が同30.7%増、DVDレコーダーは同93.3%増と勢いを保っている。JEITAでは、04年の電子工業生産額は同6.1%増の20兆4826億円で、3年ぶりに20兆円の回復を見込んでおり、05年もこの傾向を維持して同2.9%増の21兆670億円と3年連続プラスになると予測している。
しかし秋以降は在庫調整によるIT関連部品の生産が伸び悩んでおり、政府の12月月例経済報告では景気判断を下方修正した一因に挙げられた。メーカー企業にとっては価格競争も厳しさを増していることから、来年に向けやや不安も残る。
■■パソコンのAV機能強化、IBMはパソコン事業から撤退
パソコンの04年国内生産額は、前年比2.4%減の1兆1720億円が見込まれている。アテネ五輪で個人消費が薄型テレビに傾き、猛暑でエアコンに需要が高まったとされるが、そんななか、今年のパソコンはAV(音響・映像)機能の強化が特徴だった。
5 月にはソニーが高次元なAV体験との新コンセプト「VAIO 第2章」の新製品を、8月には東芝がAV機器並みの高音質・高画質を実現するノートパソコンの新ブランド「Qosmio」をそれぞれ発売した。NECは、さかのぼり録画やおまかせ録画などの機能を充実させ、シャープは約630カンデラの従来比で3倍明るいASV方式ブラックTFT液晶を搭載。富士通は松下電器産業製DVDレコーダーからネットワークを通して映像が視聴可能で、日立製作所は総合家電メーカーの強みを生かした機能や性能の充実を図っている。各社いずれも、薄型テレビとDVDレコーダーを買い揃えるより「AVパソコン1台でOK」をアピールした。
一方、パソコン事業から撤退を表明したのが米IBM。中国パソコンメーカー聯想(レノボ)が買収することになった。IBMは81年にパソコン市場に参入して以来、パソコンの内部仕様を公開し標準化に取り組み、パソコンを一般消費者に広げる先導役を果たしてきた。しかし、そのことが低価格競争を招いて利益率を低下させてしまった。IBMでは、システムコンサルティングなどの収益性の高いサービス事業を拡大する戦略をとるという。
IBM のようにサービス事業を充実させる傾向は今年もみられた。ハード機器とソフトを一括導入し、設置からシステム構築、メンテナンス、コンサルティングなどを一括して行うソリューションサービスは、IBM、デル、日本HPの外資系企業のほか、富士通やNECも積極的に進めている。しかも対象となるユーザーは、大企業ばかりでなく、中小企業やSOHOレベルにまで広がってきている。
このほか、企業間の連携もみられ、6月には富士通とサンマイクロシステムズがUNIXサーバー分野で提携を発表。将来の統合を視野に提携関係を拡大・強化するという。開発経費の軽減はもちろん、生き残りをかけた企業戦略として、企業間連携は今後も見られるのではないだろうか。
■■ユビキタス社会へ前進へ
ネットワークに関連した動きも見逃せない。ネット社会の中で、気をつけなければいけないのがセキュリティー問題。ソフト面ではマイクロソフトが9月に Windows XPにセキュリティー機能を強化したSP2を無償で配布を始めた。ハード面では指紋認証技術を搭載したパソコン、マウス、キーボードのほか、東京三菱銀行が10月に手のひら静脈で本人確認するカードを発行するなど生体認証技術が普及を始めた。
外出先から家の中の様子を確認できるネットワークカメラも人気を集めた。携帯電話に映像を送るなど多機能化が進み、04年の出荷台数は、2年前の3倍を超える9万5000台が見込まれている。
また、ICタグを利用した物流管理システムも広がりつつある。特に国内で生まれた牛に識別番号をつけて生産履歴を追跡する「牛肉トレーサビリティ法(牛肉履歴管理法)」が施行されたことで注目があつまっているほか、病院では医療事故防止に活用するため薬品や医療機器の管理に用いられようとしている。
ICタグは広く応用が期待され、多くのメーカーが家庭や公共施設、オフィスなどさまざまな場での商品化に取り組んでいる。いつでも、どこでも、誰でもコンピューターやネットワークを利用できる「ユビキタス社会」に今年また一歩近づいたようだ。