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東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tcg/20050302/lcl_____tcg_____001.shtml
『死ぬな』は逆効果
佐々木英和・宇都宮大助教授に聞く
県内で立て続けに起きた若者の集団自殺。これまでも各地で起きているが、いったい彼らはどのような心理状態から死を選ぶのだろうか。若者の就業体験や引きこもりの問題に詳しい、佐々木英和・宇都宮大助教授(人間性心理学)に聞いた。 (聞き手・藤 英樹)
――なぜ集団自殺を。
「ポイントは、遠隔地に住んでいる、それまで顔を合わせたこともなかった者同士がインターネットで知り合っているらしいこと。彼らは実は、中高年の自殺のように死ななければならないそれほど切羽詰まった理由はなかったのでは。言い換えれば、死ぬ方法を選ぶ余裕があり、一人では死ぬきっかけができなかったが、ネット上の出会いできっかけができたということではないか」
――そういう若者は多いのだろうか。
「多数でないが、決して珍しくはない。おそらく彼らは純粋に死にたいと思っているわけではない。『死にたい』でなく、『自分の存在を消したい』と考えているのだろう」
――もう少し詳しく。
「彼らは自分の存在を肯定できない。時代性もあるのだろうが、だから生きようという実感が薄いし、同時に死ぬことへの恐怖感も薄い。生きることから逃げる手段として死を選んでいる。最近増えているニートや引きこもりなどにも、生きている実感が薄いという心理がしばしば共通するが、ただ違うのは死への恐怖感は強いことだ」
――集団自殺の手段は多くが車内で練炭だが。
「楽に死ねるということで広がっているのではないだろうか。彼らは生きることから降りるために集団自殺するわけで、それによって周囲に迷惑はかけたくないと考えている。個別のケースを追えばさまざまだろうが、今回の日光のケースでは遺書に『事件ではありません』とわざわざ書いていたという」
――防ぐ方法はないのだろうか。
「彼らに『死ぬな』と言っても逆効果。心には響かない。逆に腹立たせ『わかってねえな』と思われるだけだろう。大切なのは周囲が『腹減っただろ、ラーメンでも食いに行くか。だからもうちょっと生きてみれば』といったかかわり方。彼らが『生きていても悪くないな』と緩やかに思えるようにしむけることだ」
――これからも集団自殺は起きるだろうか。
「残念だが起きると思う。ニートや引きこもりもそうだが、中学生のころから就業体験などを通じて、自分が社会で一定の責任ある役割を果たせるのだ、という実感を彼らが自ら感じることで、自己肯定感を高める学習支援が求められる」