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産経web
http://www.sankei.co.jp/news/050228/kok037.htm
中国でゴミ輸入急増 原材料不足を補充
【北京=福島香織】高い経済成長を続ける中国でここ数年、原材料不足を補うゴミ輸入が急増。中国メディアが伝える統計によれば、2003年のプラスチックゴミ、くず鉄、古紙の輸入量は1990年と比べそれぞれ125倍、50倍、21倍という。ゴミも貴重な資源というわけだが、これに伴う環境汚染や健康障害、ゴミとともに侵入する害虫問題や有害廃棄物の密輸問題が深刻化しており、ゴミを輸出する先進国側も無関心ではいられない。
《廃棄家電の山》
港にうずたかく積まれている廃棄冷蔵庫、洗濯機、扇風機、モーター…。「民工」と呼ばれる出稼ぎ農民が油にまみれながら、その家電ゴミの山の中で質のよさそうなものをえり分け、トラックに積んでいる。
中国経済紙・第一財経日報(二月七日)に描かれていた中国最大級の家電・電子ゴミ解体業地区・浙江省台州市の海門港の風景だ。同市では年間二百万トン以上を解体するがうち90%が海の向こうから運ばれてきた輸入ゴミ。その60%が日本からという。
銅やアルミなど原材料が再利用できる廃棄家電、電気製品は宝の山なのだ。台州市に集まった輸入ゴミから産出される銅だけでも年間八十万トン、アルミは三十五万トン。ちょっとした鉱山なみだ。
昨年の同市の廃品解体業生産額は前年比78・7%増の二十一億二千四百万元、四万人の雇用を生み一大産業となっている。
しかし、電子部品にはカドミウムや燃やすとダイオキシンガスが出るハロゲンなど有毒物資が使用されているものもある。同市郊外の村では電子ゴミを燃やす嫌なにおいの煙が年中充満し、そこで働く人の健康障害や環境汚染も深刻なのだ。
昨年は原油価格の高騰から、廃プラスチックの需要も高かった。日本からの廃プラスチックは昨年五月以降、一部企業の粗悪品混入が問題となり、全面輸入停止されているが、それでも昨年約四百万トンを韓国などから輸入、前年比百万トン増で一トン当たりの値段も前年比50%高に跳ね上がった。
《国の甘い管理》
一方で中国自身が出すプラスチックゴミは年間六百万トン。ほとんど回収されずに野山に廃棄されている。万里の長城など文化遺産の周辺にもちらばる白いプラスチックゴミは中国で「白色汚染」と呼ばれるが、廃プラスチックを高値で輸入しながら自国のプラスチックゴミで自然を汚す矛盾の象徴でもある。
また中国では有害廃棄物として輸入が禁じられている石油化学工業廃棄物・廃触媒の密輸が盛んで、経済参考報(一月十一日)によれば世界の五分の一の廃触媒が中国に流入しているという。廃触媒からは比較的簡単にニッケル、モリブデンなど重金属が回収できるが、ヤミで回収を行う中小企業に安全な設備はなく、発がん性や催奇性のある汚水が垂れ流されていることになる。
古紙輸入とともに侵入する害虫問題では、今年一月スペインから輸入したジュース紙パックのコンテナから五万五千匹以上のハエが発見された。パック内にジュースが残っていたためだ。ほぼ同時期、米国から輸入された古紙に付着したコーヒーに、害虫の一種のゾウムシの幼虫が発見され問題となったが、検疫の目をくぐって侵入する害虫が心配されている。
こういった問題の背景には、中国の環境保護意識の希薄さやゴミの分別収集やリサイクル設備の不備、ゴミ輸入管理の甘さがある。
当局は今年四月から改定固体廃物汚染環境防治法を施行、輸入ゴミの管理強化とともに自国内のゴミの分別システム強化や包装の軽量化推進など重い腰を上げ始めている。
同時に有毒物質を含むゴミを平気で輸出する先進国側の意識も問われてくるのではないだろうか。
【2月28日 東京朝刊より】
(02/28 09:39)