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独断と偏見で選んだ、本年のベスト本 『魂の労働』 渋谷望著(青土社 )
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投稿者 ジャック・どんどん 日時 2004 年 12 月 17 日 22:42:00:V/iHBd5bUIubc
 

書名だけ見たら、オカルト系?ニューエイジ系?いやいや・・・・・・今年、こんなすごい本があったなんて!

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○○編集部が、独断と偏見で選んだ、出会えて本当によかった本!

A:さあ、ラストを飾るのは、○○編集部が選ぶベスト本。

C:総合部門はガッチリ語ります!

A:1位は渋谷望の『魂の労働』。これ、オッソロシイ内容だね。

B:いまや労働は労働者が「商品」としてクールに切り離すことはできない。
  生活と生産の区別はなくなっちゃったんだよ、というお話ですね。

C:働くことは生きること?そんなの当たり前な気がするけど・・・・。

B:ここで渋谷さんが言っているのはもっと根本的なことなんです。
  このグローバル化した消費社会では、労働の「ルール」がこれまでとは全
  然違うものになった。
  だから、「敗者」はそれに気付きなさい、と。

C:その変化って最近の「自己責任」や「リスクを引き受けろ」という流行の
  言葉にも表れている気がするなあ。

A:そこが権力のオッカナサ。何しろ<「自分の将来や老後を自分で備えよ」
  (=「国家や企業  に頼るな」>という自己責任論に、
  <「あらゆる長期計画(=長期安定性)を放棄せよ」>と矛盾するメッセ
  ージをかぶせてるんだから、いったいどうしたらいいんだか。
 
B:世の中どうなるか分からないので、日々、切磋琢磨してください。ただ、
  それで賃金が安いままだったらあなたの努力がたりないからですよ、
  っていう論法ですね。

C:でね、そこで渋谷望が言う対抗策がイカスわけよ。<誰にもマネできない
  「手に負えないスタイル」を有したマイナリティになること>だって。
  権力に搾取されないルールを勝手に作っちまえ。カックイイ。

B:ただし、自己責任で頼みます。

C:それじゃ元のモクアミでしょ。

D:『魂の労働』が社会の現在を解体したなら、話を複雑にするために書い
  たという内田樹の『他者と死者』はどんな本なの?

C:副題に「ラカンによるレヴィナス」ってあるけど、2人とも空前絶後の
  難解さで知られる思想家よね。
  あー、読む前からアタマ痛い。

B:って、初めから放り投げちゃう人こそ取り組むべき一冊かもしれないで
  すね。とにかく必至に読んでいると、なぜだか妙な感動に包まれる不思
  議な本なんです。

C:ということは、あんた、この本の内容を理解したわけ?

B:いや、全く・・・。ただ、分からないものに分からないものを重ねると、<両者に共通する分からなさが抽出できる>と内田さんは書いているので、分からなくてもいいんです。

A:いきなり開き直ってどーする。

C:でも、分からないって以外に快感かも。分かりやすさばかりが大事にされるこのご時世、こんな本も必要ってことで2位に決定しちゃおう。

B:そんないい加減なことでいいんですか!?

A:君はホントに話が分からん。

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@『魂の労働』渋谷望・青土社・2310円

資本の最優先と個人の弱体化。この競争社会をいかに生き抜くべきか。
「消費社会の権力ゲーム」の矛盾をことごとく明らかにし、新しい労働
論を打ち立てた思想成果。


A『他者と死者』内田樹・海鳥社・2625円

ラカンの精神分析理論によりレヴィナスの他者論を読み解く。謎は謎の
中へ、複雑さは複雑さの中へ話はどんどん入り組んでいく。難解さの心
地よさを教えてくれる。

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