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●注 表は画像ゆえ転載できませんので、表を参照しながら読む場合は
本文(URLをクッリク)を読んでください。
http://www.morningstar.co.jp/fund/anl_view/index.htm
欧州株式ファンドの動向を、地域、国、セクターの各要因に分けてその推移を見ると同時に、高いパフォーマンスを獲得したファンド、純資金流入が多かったトレンディファンドの特徴について見てみましょう。
1. 地域別
表Tで主要地域の株式指標(現地通貨ベース)と比較すると、直近3〜5年では他の地域より低調でしたが、直近1年では日本の9.4%高に次ぐ9.3%高となりました。次に、モーニングスターが分類した「為替ヘッジなし」の株式ファンド内で比較すると、為替(ドル安・ユーロ高)がプラスに働いたことなどにより、円ベースでは直近1年で10.5%高と外国株式ファンドの中で最も高いパフォーマンスをあげたほか、直近3ヶ月でも6.0%高と比較的良好な成績をあげています。
その一方で、純資産残高は04/4末の680億円から05/1末の599億円へ低下しているほか、国際株式型ファンド全体に占める純資産比も7.9%から4.2%へと低下傾向にあります(表U)。また、設定額から解約額を引いた純資金(3ヶ月間累計)も資金流出が続いており、年間では128億円の純流出となりました。
2. 国別
欧州株式市場全体の指標としてよく用いられるMSCI Europeの推移を見ると、直近1年では現地ベースで9.3%高となりました。国別では内需拡大の兆しがみられるイタリアやフランス、他のヨーロッパ諸国に比べ経済が堅調で、北海油田など原油高の恩恵を受けやすいイギリスが牽引しました。直近数ヶ月の動向を見ると、個人消費が回復傾向にあるイタリア、出遅れ感のあったスイスやオランダ、景況感が改善傾向にあるドイツが上昇しました。
3. セクター別
次にセクター別の株価の推移を見ると、直近1年では原油高やインフラ整備の拡大などにより、エネルギーや公共事業が20%を超える伸びとなった一方、ハイテク関連銘柄の多い情報技術は、半導体の需給悪化懸念などから、大幅に下落しました。
ここ数ヶ月の動向を見ると、調整局面にある情報技術や、米製薬大手の副作用問題の余波を受けてヘルスケア関連が低迷している一方、新車販売台数が好調な自動車関連や、鉄鋼、アルミ精錬、セメントなどの需要増加を受けて素材関連に資金が流れているようです。
4. 高パフォーマンスファンド
表Xは、直近1年で高いパフォーマンスを獲得した上位10ファンドです。欧州株式ファンドには、業種別に徹底したボトムアップによって銘柄を選別しているファンドが多く、堅調に推移したインフラ関連や、エネルギー関連の銘柄選択がうまくいったファンドが上位にきています。また、カテゴリーの欄を見ても分かるように、為替(円安ユーロ高)は「為替ヘッジフリー(F)」ファンドに有利に働きました。一方、米国を中心に低調だったハイテク関連銘柄を多く組入れていたファンドは、下位にランクされています。
ここ数ヶ月の動向を見ると、「フィデリティ・欧州中小型株・オープン」が直近3ヶ月で17%前後の高い伸びを示しました。その主な要因として、ブッシュ大統領の再選を受けて米国株式が上昇、原油価格も落ち着きを取り戻した中、1)欧州企業の予想を上回る好決算を追い風に相場環境が中小型株に有利に働いたこと、2)素材や電気通信関連の銘柄選択がうまく機能したことがあげられます。また、チェコ、ハンガリーなど東欧諸国のEUへの加盟により比較的高い成長が期待できる「オーロラII (東欧投資ファンド)」も8.6%と欧州分散型ファンドに比べ良好な成績をあげています。なお、欧州のモーニングスターが各運用会社のファンドマネジャーに対し1月に行った調査では、欧州株式ファンドが世界株式平均を上回ると答えたファンドマネジャーは64%と高く、欧州の中でも最も魅力的な国は「ポーランドとハンガリー」、という結果になりました。
5. トレンディファンド
表Yは、直近1年で純資金流入(設定額−解約額)がプラスだった4ファンドです。表Tで見たように欧州株式ファンドは比較的良好な成績をあげていますが、その割には人気がなく全体としては1年間で約130億円の純流出でした。その一方、「(オーロラII) 東欧投資F」は208億円の純流入と、人気を集めました。ここ数ヶ月では「ピクテ 欧州ファンドAコース」、「ヨーロッパオープンAコース」などが資金を集めています。
6. 6. 欧州株式市場の今後と欧州株式型ファンドの留意点
欧州市場への投資に関しては、牽引する米景気の失速、EU地域内の経済格差の拡大、雇用問題、社会保障費の増大、テロなど様々なリスク要因がありますが、最近では企業収益が上向き、設備投資や個人消費が回復基調にあるほか、失業者数の増加率は低下傾向にあります。また、ユーロ圏の拡大や業界再編の加速などによって、中長期的には比較的高い成長が期待されます。
その一方で、欧州株式ファンドは米国と中国を中心とするアジアの狭間で目立たず、表Uで見たように資金は流出傾向にあり、個人投資家からの人気は高いとはいえません。しかし、米ドルとユーロとの相関係数は直近5年で48%、直近3年では30%となるなど、最近ではユーロ独自の動きを強めており、通貨の分散(円、ユーロ、米ドル)という観点からももっと注目してもいいのではないでしょうか。
直近1年では、原油高、東欧諸国のEUへの加盟などの恩恵を受けた「オーロラII (東欧投資ファンド)」が地域特化型の特徴を活かし、最も高いパフォーマンスをあげました。ただその半面、地域に特化している分、直近1年のリスク(標準偏差)は欧州株式ファンド34本中で2番目と、高い水準にあります。また、ロシア最大の石油会社ユコスの優良子会社が、昨年末にオークションにかけられたものの、正体不明の無名会社が落札後、ロシア唯一の国営石油会社ロスネフチがこの無名会社を買収する形で吸収し、再国営化されたことから、「ソ連崩壊後のロシア史上、最も汚れたオークション」と非難されるなど、海外投資家からの信頼を大きく損ねました。ロシアを中心とした東欧地域に関しては当面、不透明な状況が続くでしょう。そのため、比較的高いリスクを好まない投資家にとっては、地域特化型ファンドより、欧州地域全体に広く分散投資する分散型ファンドの方が無難でしょう。
プラス要因
□ 企業収益が改善、設備投資や個人消費も回復傾向(失業者数の増加率は低下傾向)
□ 欧州株はPERなど株価指標面で北米株より割安
□ EU、ユーロ圏の拡大(米国に匹敵する経済圏、税体系の共通化により子会社間の損益を相殺、新規投資を促進)
□ M&Aの拡大・業界再編の加速(銀行の貸出し増加、企業側も債務圧縮が進み、積極姿勢に転換)
□ 欧州最大の経済大国ドイツの再建(労働市場改革、所得減税、IPO復活の兆しなど)
□ 安定的に経済成長を続ける英国(積極的な財政政策、労働市場改革により失業率低下、住宅価格の上昇-家計資産価値の増加により借り入れを増やし、消費を押し上げ)
□ デジタル放送市場の拡大(普及率は今後、欧州全体で年20〜30%のペースで増加、視聴者は現在の4,000万世帯から07年には9,000万世帯へ)
□ 通貨の分散効果(米ドルとユーロとの相関係数は直近5年で48%、直近3年では30%)
マイナス要因
□ ユーロ高(輸出関連企業にとってマイナス)
□ 原油価格の上昇
□ 牽引する米経済の失速
□ EU地域内の経済格差の拡大(西欧諸国にとって東欧支援は大きな負担)
□ 雇用問題(比較的高い失業率)
□ 社会保障支出の増大
□ テロ事件(スペインで起きた列車同時爆破テロ)
(我部 政晴)
http://www.morningstar.co.jp/fund/anl_view/05_1q/0214_2.htm