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●アメリカの本当の危機は、老人の増加と年金財政である。
各国が悩む、年金問題。
【ワシントン=小竹洋之】米行政管理予算局(OMB)のボルテン局長は七日の記者会見で、ブッシュ政権が目指す年金改革が実現した場合、財政赤字を二〇〇九年度に約二百三十億ドル、二〇一〇年度に約六百億ドル増やす要因になるとの見通しを示した。二〇〇九年度までに赤字を半分に減らす目標は達成できるが、年金改革の移行コストが財政を大きく圧迫することを裏付けた。
ブッシュ政権は二〇〇九年に、年金制度を一部民営化する方針を表明している。政府が徴収する年金保険料の一部を個人勘定に移す仕組みで、一時的な収入不足を補うために当初十年間で合計六千六百四十億ドルの借り入れが必要になる。
二〇〇六年度の予算教書によると、米国の財政赤字は二〇〇九年度に二千三百三十億ドル、二〇一〇年度には二千七十億ドルに縮小する見通し。国内総生産(GDP)に対する赤字の比率もそれぞれ一・五%、一・三%にとどまるとしている。
ただ、予算教書には年金改革の移行コストを織り込んでいなかった。ボルテン局長は「このコストを勘案すると、二〇〇九年度と二〇一〇年度の赤字の対GDP比率はいずれも一・七%に上昇する」と話しており、二〇〇九年度の赤字は約二千五百六十億ドル、二〇一〇年度は約二千七百億ドルに膨らむ計算になる。
個人勘定の創設に時間がかかるため、年金改革の初年度は移行コストを低く見積もっており、二〇一〇年度の数字が実態を反映しているとみられる。
ブッシュ政権は二〇〇九年度までに財政赤字を二千六百億ドル程度に減らし、赤字の対GDP比率を二・二五%以下に圧縮する公約を掲げた。年金改革を実施した場合の二〇〇九年度の赤字は公約より四十億ドル少ないだけで、目標の達成に黄信号がともりそうだ。
【図・写真】ブッシュ政権が打ち出した財政政策を説明するボルテン・米OMB局長=AP