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中国企業、ＩＢＭのＰＣ事業買収 機密漏洩危惧、米政府が調査
軍事転用の可能性指摘
【ワシントン＝気仙英郎】米国の大手コンピューターメーカー、ＩＢＭがパソコン事業を中国の聯想（レノボ）集団に売却する計画をめぐり、米政府が国家安全保障上の観点から、売却の妥当性について調査を進めている。聯想は政府直轄の中国科学院が出資するなど中国側が深く関与しているだけに、事業譲渡で中国側に軍事上の機密情報がもれる懸念を抱いているからだ。米政府は、欧州連合（ＥＵ）が対中武器禁輸を解除する動きを強めていることに対しても強く反発しており、最終的にブッシュ大統領が下す売却の是非をめぐる決定が注目されている。
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ＩＢＭは昨年末、十二億五千万ドルでパソコン事業を聯想に売却することで合意。さらに、新生の聯想グループ株式１８・９％を取得することで、中国市場でのＩＴサービス、サーバー事業などへの参入をめざす意向を発表した。
ＩＢＭは「不採算のパソコン」の組み立て事業を売却することで、主力を次世代のデジタル家電の高性能な超小型演算処理装置（ＭＰＵ）の開発に注ぎ、ＰＣ市場での市場支配力をむしろ強化するメリットがある。一方、聯想は、名門ブランドの買収で、中国の格安ＰＣメーカーからデル、ヒューレット・パッカードに次ぐ世界第三位のＰＣメーカーに躍り出る最大のチャンスを得た。
しかし、この買収契約が政治判断によって頓挫する可能性が出てきた。米政府の主要官庁で組織する「対米外国投資委員会」（ＣＦＩＵＳ、委員長・スノー米財務長官）は一月下旬「軍事情報が中国側にもれるという安全保障上のリスクがある」と懸念を表明、売却に関して調査に乗り出したからだ。スノー財務長官は公式には何のコメントもしていないが、米メディアは、「ＣＦＩＵＳの会議で国土安全保障省と司法省から強い懸念が示された」と報じている。
さらに、米政府の懸念に拍車を掛けたのが、米下院国際関係委員会のハイド、軍事委員会のハンター、中小企業委員会のマンズーロの三委員長の書簡だった。三委員長は合同で、「先端技術が中国に流出する懸念がある」との書簡をスノー財務長官あてに送付した。
三委員長は書簡で（１）中国政府が、米国の高度な技術と資産を取得する懸念（２）特許にかかわる技術や輸出規制の対象となる技術を中国政府の管理下に置かれてしまう可能性（３）米政府が、中国政府を相手としてＰＣ技術契約を締結せざるを得なくなる懸念−を示した。聯想は中国科学院が３０％の株式を所有している。マンズーロ委員長は「ＩＢＭは米国政府とＰＣの巨額契約がある。聯想の買収を認めれば、米国は今後、中国政府が主要な株主となる中国企業に対して、ＰＣ契約を頼ることになる」と厳しい意見を表明した。
聯想グループの楊元慶・社長兼最高経営責任者（ＣＥＯ）は、米政府の調査について、「買収は正常な取引であり、米国の安全保障を脅かす契約ではない」と強調し、予定通り今年六月までに買収を終える意向を示す。米国際経済研究所（ＩＩＥ）のラーディ研究員は、「パソコンは数千万人が利用する汎用品であり、安全保障上の脅威につながることはないだろう」との見方をする。
しかし、米議会の諮問機関である米中経済安全保障再考委員会のウェッセル委員は、「中国がＩＢＭの研究施設から獲得した機密情報を軍事に転用する可能性がある」と指摘する。パソコン事業は、単にパソコンの箱を作るだけでなく、ＰＣネットワークをどのように働かせるかのノウハウにかかっている。同委員らは、米ノースカロライナ州のＩＢＭ工場から中国側に軍事上の機密情報がもれる可能性を指摘している。
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【聯想集団】１９８４年、中国科学院が２０万元を投資、ベンチャー企業として従業員１１人で発足。シェア３０％を占める国内トップ企業。２００３年からレノボの企業ブランド名を使う。聯想は今春までに負債５億ドルを引き継いで買収を完了させ、最高経営責任者（ＣＥＯ）をＩＢＭ側から受け入れ、５年間にわたり「ＩＢＭ」のブランド名を使用する。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/08iti001.htm
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。