★阿修羅♪ 現在地 HOME > 国家破産38 > 741.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
[ldFn]増谷栄一の経済コラム: 米FRB議長、米経常赤字は減少に向かうと楽観論に転換
http://www.asyura2.com/0411/hasan38/msg/741.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 2 月 07 日 11:37:54: ogcGl0q1DMbpk
 

ldN
[ldFn]増谷栄一の経済コラム: 米FRB議長、米経常赤字は減少に向かうと楽観論に転換

[ライブドア・ファイナンシャル・ニュース 7日 東京] アラン・グリーンスパン米FRB(米連邦準備制度理事会)議長は先週末(4日)、ロンドンで開かれたG7(先進7ヵ国財務相・中央銀行総裁会議)に先立って講演し、G7の議題になった巨額の米経常赤字問題について、初めて楽観的な見解を示した。

  講演前、市場では、同議長が昨年11月19日にベルリンで開かれたG20(20ヵ国財務相・中央銀行総裁会議)の会合前に、立ち寄り先のフランクフルトで行った講演で、米経常赤字について話した内容と同じものを繰り返すかどうかに注目が集まっていた。

  11月の時点では、同議長は、「このままのペースで赤字が続けば、ドル安と金利上昇が起こる可能性がある」と警告したことから、市場では、政権2期目に入ったブッシュ政権は当面、現行のドル安を容認する方針と受けとめ、為替市場でドルの急落を招いたいきさつがある。11月19日のニューヨーク市場では、ドル/円は一時、4年8ヵ月ぶりの最安値となる1ドル=102.76円を付け、結局、前日比0.84%安の1ドル=103.32円、ユーロ/ドルも前日比0.8%高の1ユーロ=1.3056ドルと大幅なドル安となった。

  ところが、今回の講演では、同議長は終始、米国の経常赤字については、楽観的な見方を押し通し、市場を驚かせた。同議長によると、2004年4−6月期から始まったドル高からドル安への転換で、欧州やアジアの対米輸出業者は米国内で販売した商品やサービスから得た利益をドル建てから自国通貨建てに換算すると為替差損が発生して、利益が目減りする、利益率の低下に耐えられなくなる限界点に近づいているとし、今後は米国の輸入が減って、米国の経常赤字は縮小に向かうという理論を展開したのだ。

  ひところは、今の急ピッチなペースで経常赤字(大半は貿易赤字)が増大していくのを放置すれば、その赤字を埋めている海外からの資金流入が、「いつとは推定することは無理」だが、いずれ減少するか、最悪の場合、止まってしまうと警告していたのとは180度の転換となった。

  ロンドンでのこの発言で、講演前日の2月3日のニューヨーク為替市場では、1ユーロ=1.3043ドルのユーロ高・ドル安だったのが、講演後には1ユーロ=1.2872ドルまで一気にドルが上昇した。また、対円でも1ドル=103.51円から一気に1ドル=104.70円までドルが上昇した。

  グリーンスパン議長は、「2002年から2004年にかけて、ドルは対ユーロと対英ポンドで30%下落したが、このドル安による利益率の低下(為替差損)を緩和するために、EU(欧州連合)の対米輸出業者は米国で販売するドル建て製品価格をわずか9%引き上げたにすぎない」と指摘。これが、ドル安でも米国の輸入インフレ率がそれほど大きく上昇させなかった要因とも述べている。

  それだけ、輸出業者は、世界最大の消費市場である米国での市場シェアを維持するために、多少の利益率の低下を甘んじて「黙認してきた」(同議長)といえるわけだ。しかし、同議長によると、それもこれまでで、「これ以上の一段のドル安になれば、利ザヤの低下を緩和するような道を選択することはしなくなるだろう」と我慢の限界に達しつつあると指摘するのだ。

  ちなみに、米国の経常赤字は2003年の5310億ドル(55兆円)から2004年には6500億ドル(68兆円)、対GDP比5.7%になると予想されている。米国の経済調査機関の推定では、政府が有効な対策を講じなければ、2008年には対GDP 比8%に達し、2010年までにはもっと上昇すると予想している。

  グリーンスパン議長が、経常赤字が減少に向かうとした、もう一つの根拠は“外圧”だ。同議長は、「市場からの圧力が米国の経常赤字を安定化させ、長期にわたって減少させる。米国内の勢力も同じ方向で圧力をかけるだろう」という。この外圧は、財政赤字に向けられているのはいうまでもない。財政赤字が経常赤字の元凶だからだ。

  前にも述べたが、経常赤字は、米国内の投資額と貯蓄額のギャップで、米財務省によると、2003年下半期の年率換算の経常赤字額は5030億ドル(52兆円)だったが、この赤字額は、米国での同期間の投資額が年率換算で2兆0790億ドル(216兆円)だったのに対し、米国の貯蓄額は民間と政府の両方合わせてもわずか1兆5750億ドル(164兆円)にすぎなかったため、この差額5030億ドルが米国の国際収支上での赤字額となっているからだ。

  つまり、堅調な米国景気回復に伴う強い内需の伸びに米国内の生産が追いつかないため、外国からの製品輸入が急増して貿易赤字となり、貯蓄額が必要な国内投資額に追いつかないため、経常赤字分がそっくり、海外からの資金流入(米国債や株式など米国資産の購入)によって、まかなわれているという構造なのである。財政赤字を減らせば、その分、政府貯蓄が増えるのである。

  また、同議長は「財政再建の声は、一年前にはほとんど聞かれなかったが、再びその声が高まってきている。もし、政府貯蓄の取り崩しを抑える方策が取られるならば、海外からの(経常赤字を埋めるための)借り入れ圧力が低下するだろう」という。

  実際、グリーンスパン議長のこの外圧論は今回のG7会合で、的を射た議論となった。G7閉幕後に発表されたG7共同声明で、「G7各国は、長期で持続可能な世界経済の成長をサポートしなければならない」とし、「最優先事項として、米国は財政再建、日欧は一層の構造改革を公約する」と明記したからだ。つまり、米国は財政再建=経常赤字の解消を世界に向けて公約したのだ。

  G7でECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁は、米国は、現在の米経常赤字を是正する方策として、国内貯蓄を増やす政策を実施すべきだとし、「米国では、貯蓄が欠如しており、是正が必要だ。これは問題で、(現在の)世界の特徴の一つとなっている」と述べ、米国内の貯蓄の欠如により、世界経済の成長の足かせとなることに懸念を表明している。

  一方、テーラー米財務次官はG7会談終了後、米国は2009年までに財政赤字を半分にする途上にあると語った。同次官は、大きな財政赤字は「望ましくない」とし、赤字の縮小は米国とそのパートナーである日欧との強調が不可欠との見方を改めて示した。

  しかし、米国の国民貯蓄率は現在1%にまで低下している。グリーンスパン議長は、1993年には家計の貯蓄率は6%だったが、1%にまで低下した理由について、金利が1980年代前半から低下し、それを背景に住宅ローンや住宅ローンの借り換えも拡大したことを挙げる。住宅市場が活況となる中で住宅価格も上昇した結果、住宅投資の含み益も増し、それを利用してローン借り換えで必要以上の多額の現金を手に入れ、住宅以外の消費に資金を回すため、貯蓄が減少しているとも指摘する。同議長は、これは、低コストの住宅ローンが手に入りやすい米国特有の構造的な問題でもあるとも述べ、住宅ローンと経常赤字の相関関係に言及しているのは面白い。(了)

増谷栄一記者
(参照:http://blog.livedoor.jp/cowboymstn/

7日01時32分
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__975985/detail

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      HOME > 国家破産38掲示板



フォローアップ:


 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。