現在地 HOME > 国家破産38 > 686.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
http://www.sankei.co.jp/news/evening/05int001.htm
国連幹部、特定企業に便宜 石油・食糧交換プログラム 調査委が暫定報告書
産経新聞
【ニューヨーク=長戸雅子】旧フセイン政権時代のイラクにおける国連の石油・食糧交換プログラムについて、不正疑惑を調査している独立調査委員会(委員長・ボルカー前米連邦準備制度理事会議長)は三日、暫定報告書を公表。プログラムの最高責任者だった国連幹部、ベノン・セバン氏(キプロス)が特定企業に石油販売権を割り当てるようイラク政府に要求したとして、「倫理的に不適切な行為で国連の威信を傷つけた」と批判した。
報告書は、同氏が賄賂(わいろ)など個人的な利益を得たかについては明らかにしなかったが、プログラム期間中に出所不明の現金収入があることを指摘した。国連はセバン氏について「不正はない」との見解を表明してきたが、独立調査委に不正を認定されたことで、アナン事務総長は厳しい立場に立たされそうだ。
報告書によると、セバン氏はスイスなどに拠点を置く「アフリカ中東石油」に石油販売権を割り当てるようイラク政府に要求、同社は約七百三十万バレルの販売権を得て、これにより約百五十万ドルの利益をあげた。
セバン氏が一九九九年から二〇〇三年にかけて現金収入として申告した計十六万ドルについて、「故郷のおばから受け取った」と主張しているのに対して、調査委は「(おばが)そこまで裕福だったことを示すものがない」と疑問を提示。同氏が個人的な利益を得ていたかどうかについて「調査を続行する」としている。
ボルカー委員長は、国連が同プログラムの契約にかかわる企業を選定した際に関与した−として、ガリ前国連事務総長から聴取したことを明らかにした。ロイター通信は、ガリ前事務総長のいとこが「アフリカ中東石油」の経営にかかわっていたと伝えている。
一方、セバン氏は一貫して疑惑を否定しており、同氏の代理人は「現下の政治状況のもとでスケープゴートにされた」との声明を発表した。
調査委は、調査対象になっているスイス系企業に勤めていたアナン事務総長の長男の関与などについては、夏に発表する最終報告書で公表するとした。事務総長は同委員会の聴取を三度受けている。
《不正2高官の懲戒を検討》
「報告書は国連という組織を愛し、懸命に働いてきた者にとって読むのがつらい内容となった」。イラクの石油・食糧交換プログラムをめぐり、高官の不正を認める内容の暫定報告書が発表されたことを受け、国連のアナン事務局長はコメントを発表。国連本部は重い空気に包まれた。
ある国連職員は昨年末、国連本部を訪れたセバン氏が同僚から「あなたを信じているから」と声をかけられ、「ありがとう。本当に不正はやっていないんだ」と涙を流していた姿が印象に残っているという。「同じ職員として自分も信じたい気持ちがあっただけに残念」と肩を落とした。
アナン事務総長は独立調査委員会が不正を指摘したセバン氏ら高官二人の懲戒手続きに入ったことを明らかにした。
さらに、調査委のボルカー委員長から「(事業の)透明さと公正さを確保するためのルールに反する経過があった」と指摘されたことを受け、「これらの欠陥を改善する措置もとり始めている」と述べ、組織として改革を進めていることを強調。関係者への刑事訴追が行われる場合には国連として「外交官免責特権のはく奪も辞さない」と司法当局に協力する意思を示した。
マロックブラウン官房長も同僚の不正に落胆を示す一方、「ボルカー氏は『国連の調査への協力は完全だった』といっている。(関連のある)加盟国も国連と同様に調査に協力してほしい」と呼びかけた。(ニューヨーク 長戸雅子)