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デジタル景気、変調響く 電機各社が業績下方修正
生産過剰で価格急落
大手テレビメーカーのプラズマテレビの生産ライン。一時に比べれば稼働率は下がっている
商品は売れるのに利益があがらない。デジタル景気の変調に苦しむ大手電機メーカーが、今年度の通期業績見通しを相次いで下方修正している。成長を見越して増産した結果、各社が在庫増にあえぎ、市場価格の低下を招いたのが最大の理由のようだ。状況を打開しようと生産調整の動きも出始めている。長引けば景気全般への影響も懸念される。
「1インチ=1万円」。メーカー各社がプラズマテレビの「普及の目安」と踏んでいた水準は、年末商戦であっという間に切った。現在は30万円台の42インチテレビも多く店頭に並ぶ。この1年間で3〜4割安くなった計算だ。
この結果、昨年12月のプラズマテレビの出荷台数は、前年同月比36%増(電子情報技術産業協会調べ)となった。「価格下落の速度が予想より2、3カ月速かった」とパイオニアの新島昭専務は言う。急速な価格低下は、同社が9年ぶりに当期赤字に転落する見通しになった最大の理由だ。
他社製品と性能面で差をつけにくいテレビでは、一社が安く値を付けると「燎原(りょうげん)の火のごとく安値が広がる」(メーカー幹部)という。
ただ、メーカーが安売りを許容せざるを得なかったのは、製品を早くさばきたい事情があったからでもある。
「各社が需要を超えて大量供給したため、供給過剰になった」。プラズマパネルや液晶パネル事業の赤字が業績を直撃した富士通の小倉正道専務は指摘する。
大手各社がデジタル家電の普及期とみた04年には、生産能力の増強が相次いだ。プラズマテレビでみると、04年の世界需要は約270万台程度。これに対し、核部品であるプラズマパネルメーカーの生産能力は、世界合計で約340万台に達した。需給バランスの崩れがパネル価格の急落を招いたといえる。
同様のことがデジタル家電のあらゆる場面で起きた。
NECが通期見通しを下方修正したのは、半導体子会社のNECエレクトロニクスの不調が主な理由だった。液晶テレビの売れ行きは好調だったにもかかわらず、NECエレの主力である液晶用半導体は10〜12月期に数量と価格が大きく下がった。「液晶テレビメーカーが7〜9月期に過剰に購入し、在庫化した反動だ」(同社)とみる。
東芝が下方修正に追い込まれたのは、デジタル家電に多用される主力の半導体メモリーが「3カ月ごとに2割ずつ安くなった」(笠貞純・代表執行役専務)ためだ。日韓米メーカーが繰り広げる世界的なメモリーの生産競争は、需要を超えて価格競争を引き起こした。
こうした状況に、生産調整で対応する動きも統計上は表れている。鉱工業生産統計によると、12月は、デジタルカメラやDVD機器、液晶テレビなどを含む民生用電子機械が前月比12・1%減の大幅減。販売価格引き下げと並行して、生産抑制による在庫削減に追われる姿がうかがえる。
この影響で鉱工業生産全体も10〜12月期は前期比0・8%減と、2四半期連続の前期比マイナス。02年1月を景気の谷とする今回の回復局面では初めてのことだ。
政府は「経済全体の在庫水準は低い」(竹中経済財政相)と、生産調整がIT関連にほぼ限定されているとの見方を強調する。ただ、IT関連企業の業績悪化が尾を引けば、景気を下支えする設備投資などに悪影響が出る可能性もある。
◇ ◇
◆電機各社の業績下方修正
売上高 営業利益 当期損益
日立製作所 89000 3000 1000
88400 2600 500
ソニー 73500 1600 1100
71500 1100 1500
東芝 58700 1900 500
58600 1600 450
NEC 49000 1500 600
48700 1350 600
富士通 49000 2000 700
48000 1700 550
三洋電機 25800 970 140
25290 600 ▼710
パイオニア 8000 270 100
7300 20 ▼80
(単位・億円。上段は昨年10月時点の見通し。下段は修正後の数字。三洋電機は昨年12月下旬に修正した数字)
http://www.asahi.com/paper/business.html