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■足利銀、粉飾総額500億円 01年3月期決算
税資産で不正処理、不良債権損失隠す
足利銀行(本店・宇都宮市)が01年3月期決算を粉飾したとされる問題で、粉飾の総額が500億円を上回ることがわかった。この決算に基づく株主配当で同行からは11億円が流出した。同行は4日、粉飾に関する同行の内部調査委員会の報告について臨時取締役会を開催し、旧経営陣に対して数十億円の損害賠償請求訴訟を起こすことを決める見通しだ。刑事告発については、捜査当局と引き続き協議する。(大月規義、片桐圭子)
関係者によると、足利銀は優先株主への11億円の配当原資を捻出(ねんしゅつ)するには、500億円規模の資産の水増しが必要と判断。繰り延べ税金資産を約200億円過大に計上する一方、不良債権処理を先送りして損失を実際より300億円以上も過少計上したという。
300億円超の損失隠しの中心は、栃木県野木町の建材販売会社「シモレン」などに対する不良債権。足利銀関係者によると、同行は、シモレンに出向させていた行員を通じて、(1)シモレンが売り上げを架空計上するなどして「資産超過」を装っていた(2)実際は同社は100億円の債務超過にあった――という実態を、01年3月期決算をまとめる同年5月までには把握していた。
金融庁の金融検査マニュアルなどによると、銀行は各融資先について、債権回収の危険性の度合いに応じて(1)正常先(2)要注意先(3)破綻(はたん)懸念先(4)実質破綻先(5)破綻先――の5ランクに分け、それをもとに不良債権の損失見込みを自己査定しなければならない。
大幅債務超過だったシモレンは「実質破綻先」とするべきだったが、足利銀は「要注意先」に分類。本来は約130億円を損失処理しなければならない状況なのに、実際は20億円程度の損失(貸し倒れ引当金)しか計上していなかった。
結局、シモレンは01年10月1日に民事再生法の適用を宇都宮地裁に申請し、負債約352億円(申請当時)を抱えて倒産した。負債のうち足利銀が貸し出し、回収不能になると見込まれる債権はこの時点で152億円に上った。
足利銀はこれに加え、繰り延べ税金資産の不正処理も含め計500億円を超す粉飾で01年3月期の決算を取り繕い、01年6月28日の定時株主総会で11億円の配当を優先株主に支払う利益処分案を承認した。粉飾は、配当できない場合の責任追及を当時の経営陣が避けようとしたためとみられる。
こうした違法配当に賛成した当時の取締役の責任について、足利銀は4日の取締役会で今後の対応を検討する。元頭取を含む旧経営陣に対して民事賠償責任追及をまず行い、刑事責任については、栃木県警など捜査当局との協議を続ける。
◇ ◇
◆足利銀行破綻の経緯
97年11月 経営不安説で取り付けに近い騒ぎ
98年3月 公的資金300億円注入
99年8月 優先株で428億円の一般増資
99年秋 優先株で公的資金計1050億円注入
01年 黒字決算で優先株主に配当
02年 赤字決算で無配に
03年11月 破綻
04年2月 内部調査委員会設置
05年4月 ペイオフ解禁予定
http://www.asahi.com/paper/national.html