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【トリ年は動乱の年】
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■米シティグループ、生保部門を売却へ 窓口販売は継続
米生保大手メットライフに 朝日新聞
シティグループの事業
【ニューヨーク=渡辺知二】米金融最大手シティグループは、傘下の生命保険・年金部門トラベラーズ・ライフ・アンド・アニュイティーを米生保大手メットライフに115億ドル(約1兆2千億円)で売却すると31日発表した。金融再編の中で、保険業界の規模拡大競争までは手が回らないと判断した。銀行、証券、保険の垣根を超えたグループ化には限界があることを示したとみられ、日本での「金融コングロマリット化」の議論にも影響を与えそうだ。
「グループを簡素化し、売却益をより収益率の高い投資にあてる」。シティのチャールズ・プリンス最高経営責任者(CEO)は売却の説明会で、事業の焦点を絞る考えをこう強調した。
米銀行業界では昨年、2位のJPモルガン・チェースがバンクワンを、3位のバンク・オブ・アメリカがフリート・ボストン・フィナンシャルをそれぞれ買収するなど大手行がシティへの追撃姿勢を強める。市場では、シティが今回の売却益を中堅銀行の買収など中核事業の強化にあてる可能性が指摘されている。
売却手続きは今年夏までに終える予定だ。総額のうち10億〜30億ドルはメットライフの株式で、残りを現金で受け取る。売却にはメキシコを除く米国外での保険事業が含まれており、日本での変額年金保険の合弁事業もメットライフの手に移る。
売却と同時に、シティが今後10年間にわたり、メットライフの生保・年金商品を傘下のシティバンクや証券部門スミス・バーニーを通じて販売することも合意した。メットライフは買収により、北米での個人保険販売額で6位から1位に躍り出るほか、個人向け年金でも米3位となり、生保業界の再編機運を強めそうだ。
シティグループは98年、シティバンクを抱えるシティコープと保険・証券に強いトラベラーズ・グループが合併して発足した。当初はそれぞれのトップが共同で最高経営責任者(CEO)を務めたが、確執の末、1年半後にトラベラーズ出身のサンフォード・ワイル氏(現会長)単独で実権を握った。ワイル氏が強く推し進めたのが、分野を超えたコングロマリット型の巨大金融機関だった。
しかし、すでに01年末にはアスベストをめぐる集団訴訟で多額の保険金支払いを余儀なくされた損保事業の売却を決定。03年にはCEOが交代し、ワイル氏路線の修正がしやすくなったことが今回の生保・年金部門売却につながった。
●日本の金融界にも一石
日本の金融界もここ数年、欧米での動きを横目に「コングロマリット化」への志向を強めてきた。みずほ、三菱東京、UFJは00〜01年のグループ発足当初から傘下に信託銀行と証券会社を抱え、三井住友も大和証券と法人取引部門の共同出資会社を立ち上げた。昨年には、三菱東京が消費者金融大手のアコムを、三井住友がプロミスをそれぞれグループ会社化。みずほと流通系クレジットカード最大手のクレディセゾンが資本提携を発表するなど、流れはノンバンク分野に及ぶ。
行政も後押し役になってきた。銀行窓口では98年に投信、02年に個人年金保険の販売が解禁されたのに続き、昨年12月には証券仲介業も解禁。保険商品も07年4月の全面解禁をめざす。
ただ、日本でも業態間での統合効果には疑問の声もある。とくに大手生命保険会社には、銀行を中心とする統合への警戒感が根強い。営業職員による独自の強い販売網などを背景に、「自力でやっていける」(大手生保役員)との判断があり、保険商品の銀行窓口販売についても、大手生保は一貫して反対してきた。
それだけに今回の売却には、「銀行と保険の合併効果が思ったよりないことの表れ」と受け止める。
笹島勝人・UBS証券シニアアナリストは、「メガバンクのコングロマリット化志向は当面続く。ただ、証券、信託、消費者金融の取り込みの成果もまだ見えていない。収益向上効果をいつまでも示せなければ、株主の視線は厳しくなる」と指摘する。(野沢哲也、多田敏男)
◇ ◇
◆米シティグループの変遷
98年10月 シティコープとトラベラーズ・グループが合併して誕生。それぞれのCEOであるリード氏、ワイル氏が共同CEOに
99年 3月 日興証券との合弁で日興ソロモン・スミス・バーニー証券が開業
00年 4月 リード共同CEOが退任、ワイル氏が単独CEOに
11月 日本での消費者金融に本格参入
01年12月 損保部門の分離独立を発表
02年 7月 米通信大手ワールドコムが破綻(はたん)。シティが不正に関与したとして集団訴訟の対象に
10月 三井住友海上との合弁で日本での変額年金保険に参入
03年10月 プリンス氏がCEO就任
11月 米小売り大手シアーズのカード事業を買収
04年 9月 違法取引で富裕層向けプライベート・バンキング業務が業務停止命令を受ける。日本での同業務から撤退を表明
05年 1月 生保部門の売却を発表
http://www.asahi.com/paper/business.html