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中国農業衰退、輸入国に転落 開発進み離農続出 世界の食糧に影響
1日1種 作物“絶滅”
【北京=福島香織】八億人の農民を抱える中国が昨年、世界貿易機関(WTO)加盟後では初めて農産物の純輸入国に転落した。食糧需要の増加に国内生産が追いつかず、農業の衰退が深刻に懸念され始めている。共産党中央と国務院は危機感から、今年最初に全国に通達した「中央一号文献」で、農業の総合生産能力向上を訴え、現状打開に躍起となっている。農業大国とされた中国がこのまま没落の道をたどれば、世界の食糧価格への影響も必至だ。
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中央一号文献、「農村工作強化と農業総合生産能力向上に関する若干の政策上の意見」は三十日、国営新華社通信を通じて全文が発表された。これを受け、共産党中央財経指導小組弁公室の陳錫文副主任が三十一日、記者会見した。中央一号文献で農業が取り上げられるのは二年連続だ。
会見などによれば、中国は一九九七−二〇〇三年の間、農産物の輸出額が輸入額を上回る純輸出国で、年平均四十三億ドルの黒字を続けた。昨年は五十五億ドルの赤字で、輸入額が輸出額を上回る純輸入国に転落した。
このうち穀物輸入は〇四年一−十一月で八百九十五万トンと、前年同期の三・七倍になり、穀物輸出は76%減になった。
昨年の食糧需要は四億九千万トン。実際の生産量は二月の統計発表を待たなければならないが、昨年初めの生産目標は四億五千五百万トンで需要に三千五百万トン不足している計算だ。輸入増は国内の食糧不足にも一因がある。
背景には、慢性的な農業用水不足、開発による耕地減少、環境悪化などで生産性が低下し、それが農民を離農に追いやって生産性がまた低下するという悪循環がある。
食生活が豊かになり食肉需要が増加し、それに伴って飼料用の穀物需要が急増、穀物不足に拍車がかかるという要因も無視できない。
WTO加盟、東南アジア諸国連合(ASEAN)との自由貿易協定(FTA)の段階的推進により安くて質のいい海外農産品が流入、国際競争力に乏しい中国農産品の淘汰(とうた)も進んでいる。
一方、最近明らかになった中国農業科学院作物品種研究所調査では、環境の悪化もあり、絶滅の危機に瀕(ひん)する生物品種は農作物品種を中心に一日一種の割合で増えている。
農業の衰退を案じた党中央、国務院は中央一号文献で、耕地保護、水利建設、農業科学技術進歩の推進、農村経済構造の調整、農産品加工業の発展などの政策を掲げ、農業総合生産力の強化を指示。農業保護政策を継続し、農業融資制度を改革する方針を打ち出した。
しかし、陳副主任は「中国の食糧不足は一定期間存在、農産物貿易赤字の現象も一定期間続くだろう」とし、農業改革が結果を出すまでに時間がかかるとみている。
需要の60%近くを輸入に頼る大豆はすでに、中国の輸入量が世界相場を左右している。在北京の日本人農業問題研究者は「世界の専門家が中国農業改革の成否に注目している。一、二年内に状況が改善しなければ中国は輸入国として定着、世界の食糧価格を左右することになる」と警告する。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/01iti001.htm