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(回答先: 「マイナス金利政策」の検討必要・日経調が提言(日経新聞)【結局新円切り替え時を使うのか!】 投稿者 まさちゃん 日時 2005 年 1 月 28 日 10:19:12)
財政破綻の克服へ向けて〜 2005年1月 社団法人 日本経済調査協議会
FP親衛隊国家保安本部 2005/01/28 20:47
(6)政府が保証する金融資産に対する課税
これは深尾主査が2001年末に出版した講談社現代新書『日本破綻』で提案した方法で、実質的なマイナス金利政策である。金融政策だけではマイナス金利の実現は不可能である。なぜなら日銀がマイナス金利で民間銀行に貸し出しても、銀行券はゼロ金利で安全な運用手段であるために、民間銀行は銀行券を退蔵するだけで市場金利はマイナスにはならない。 そこで、政府が実質的に価値を保証しているあらゆる金融資産に対して、デフレ率にほぼ等しいかそれをやや上回る税率で(例えば年2%)、デフレが継続する期間だけ金融資産の残高に対する課税を行えば、マイナス金利を実現できる。課税すべき金融資産は、国債、政府保証債、地方債、郵便貯金、郵便振替、簡易保険、預金、現金である。預金保険対象預金とそれ以外の預金が分別管理
−26−
されていないので、すべての預金に課税する必要がある(図表24)。課税対象金融資産は約1,500兆円であり、2%の課税で30兆円もの税収が得られる。 図表25はこの政策の効果をまとめている。安全資産の金利がマイナスになると、安全資産から株式、不動産、外貨建資産などへの資金シフトが発生する。なお、外貨へのシフトが発生しても大規模な資本逃避は発生しない。なぜなら、この政策により一時的にかなりの円安が発生すると予想されるが、いったん円安になってしまえば、わずか数%円高になるだけで、ドル保有のメリットがなくなるからである。このマイナス金利政策は、円安を引き起こすだけでなく、貯蓄を抑制し、消費や投資を刺激するため、デフレから脱却できる。2%程度の税率で30兆円を超える膨大な税収が入るため、財政赤字も大幅に削減できる。また、消費税の引き上げや所得税減税による課税の逆進性もない。
この政策は、金融機関の貸出や企業間信用の拡大を促す。銀行が貸し出しを行わず日銀当座預金や国債などの安全資産を積み上げている場合には、安全資産に対する課税は、銀行による安全資産から企業貸出への資産シフトを発生させる。また、企業が売掛金を持っている場合には、売掛金を回収して預金化すると課税されるため、回収を遅らせるインセンティブが働く。
現金に対して課税するには、毎年日銀券の色とデザインを変更し、古い銀行券にはその税率に対応する印紙を貼り付けることを義務づける。また日銀が古い銀行券と新年度の銀行券を交換する場合には、額面の2%の手数料を徴収する。
コインに対する課税は困難なため免除する。この場合、課税対象の銀行券から非課税の五百円玉などに退蔵需要がシフトし、コインが流通しなくなる可能性がある。この対策として、五百円札、百円札などの少額の銀行券を一時的に発行する必要があろう。
この課税方法は、ケインズが『雇用・利子および貨幣の一般理論』の第23章で、シルビオ・ゲゼルの銀行券印紙課税として紹介している。 −27−
この政策を行う場合には、銀行券の印刷費として相当の費用が必要となるほか、ATMや自動販売機の煩雑な調整が必要となる。しかし、このコストはよく話題に上るデノミと同じ程度であり、また税率を高くすることにより、高率のデフレでも確実に脱出することが可能である。
また格付けに関する節で述べたように、政府債務や政府が保証している金融資産に対する課税は、格付け機関から部分的な債務不履行(デフォルト)とみなされる可能性がある。しかしデフレを放置すると財政赤字が拡大を続け、財政が破綻する可能性が高まることを考慮すると、一時的にデフォルトとみなされても、デフレから脱却することにより日本経済が拡大し、中期的に財政が健全化する見通しが強まれば、日本政府の信用度はむしろ向上すると予想される。 現金を含む金融資産に対する残高課税は、過去に採用された例がなく、政治的な抵抗も強いと予想される。しかし戦後の混乱期に採用された預金封鎖や、高率のインフレによる実質的な金融資産課税に比較すれば、遥かにマイルドな課税方式である。しかも消費税増税に比較すれば逆進性もない。この金融資産課税については、政府による金融資産の保証料(あるいは特別の預金保険料)であると説明して、理解を求めることも考えられよう。
また、税収の一部を全国民に一律に配分することで、過去に例のない課税に対する反対をやわらげることも考えられる。例えば全国民に新券で5万円を配分すれば、2%の課税の場合に250万円の課税対象金融資産を持っていない人々には、課税の負担はなくなり、250万円以下の保有額の人にはむしろ配分額が課税額を上回ることになる。この現金配分に必要なコストは6兆円程度であり、30兆円の課税額で十分まかなえる金額である。
社団法人日本経済調査協議会
http://www.nikkeicho.or.jp/report/hamada.pdf