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対中貿易 「工場」から「市場」へ変貌 日本企業の“基地化”進む
深まる相互依存
拡大を続ける日本の対中貿易。「世界の工場」から「消費市場」へと変貌（へんぼう）しつつある中国にはインフレ懸念や人民元の変動相場制への移行といった課題もなくはないが、日本企業の中国ビジネスはより広く、より深く根を張りつつある。
中国市場で二年後に一兆円の売上高を目指しているのは、松下電器産業だ。約七千万人とされる年収五万元（約六十五万円）以上の富裕層を照準に日本でヒットした斜めドラム洗濯機を輸出しているほか、プラズマテレビなど高付加価値商品を現地生産している。
モノづくりも変化してきた。ソニーは中国を電子部品などの「量産基地」とし、東南アジアには補完の役割を担わせる。「製造大国の中国はいずれ技術大国になる」（中鉢良治ソニー副社長）と、設計から国内販売・輸出まで完結できる体制の整備を急ぐ。
◇
自動車業界の昨年の対中完成車輸出台数は前年比１２・３％減の約十二万二千五百台にとどまった。現地生産化の進展で、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの三社が新工場稼動や生産車種を拡大、自動車部品の輸出が増えた。トヨタがハイブリッド車「プリウス」の現地生産を表明するなど、高付加価値部品の輸出も今後は増えそうだ。
中国の輸出基地化も動き出す。ホンダは広東省広州市に輸出専用工場を建て、欧州向け小型車生産を今春開始予定。現地化は新段階に入る。
素材の対中貿易も活発だ。鉄鋼輸出は自動車や家電向け高級鋼材が増え、日本の鉄不足を抱えて痛しかゆしの状況。化学も現地の合繊生産拡大で原料輸出が増える一方、「（コンビニエンスストア向け）プラスチック製袋などは輸入が増加傾向にある」（蛭田史郎・旭化成社長）という。
◇
中国は、二〇〇一年十二月の世界貿易機関（ＷＴＯ）加盟をきっかけに、海外からの投資を呼び込むための環境整備を進め、安い労働力を武器に世界の一大生産拠点に急成長。主力製品も繊維製品などから付加価値の高い半導体やＤＶＤなどの映像機器にシフトしており、二〇〇四年の国内総生産（ＧＤＰ）は９・５％増と、景気過熱抑制の目標値を大きく上回り、右肩上がりの経済成長ぶりとなっている。
これまで、対中投資は香港経由で行われるケースが多かったが、近年は中国と直接取引の度合いを強めており、取引額の伸び率は香港が中国を大きく下回っている。
日本貿易振興機構（ＪＥＴＲＯ）の酒向浩二・海外調査部中国北アジア課課長代理は「中国の国内市場は成長しており、例えば、日本からの輸入鉄鋼の大半は国内需要向け自動車生産用の薄板だ。景気過熱の懸念も残るが、日本の対外投資のうち中国向けはまだ一割弱。今後も日中経済の相互依存は深まるだろう」とみている。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/27kei003.htm
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