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阪神大震災10年 生かされる教訓
阪神大震災は多くの企業に深刻なダメージを与え、日本経済の屋台骨を揺るがすほどの被害をもたらした。十年が経過し、被災企業は復興を果たし、震災の教訓は自然災害やテロなど不測の事態に備えた企業の危機管理に生かされようとしている。しかし、昨年の新潟県中越地震では、三洋電機などが大きな損失を被った。企業はこの十年で何を学んだのか、各企業の対策を探った。
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《電機》
■国内工場すべて耐震を強化
松下電器産業は、震災直後の平成七年三月に「全社緊急対策規程」をまとめ、国内工場の耐震強化などを進めてきた。十周年となった今年は新たに「新耐震対策方針」を策定し、国が法律で耐震対策を義務付けている建物以外の比較的小規模な建物も一定の基準をクリアするよう工事を進める。今秋に兵庫県尼崎市で稼働する世界最大のPDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)工場もこうした基準を満たしている。
昨年、世界最大の液晶テレビ生産工場を三重県亀山市に稼働させたシャープは、工場で使うLNG(液化天然ガス)を東邦ガスの基地からパイプラインで受け入れる。タンクローリーでLNGを受け入れた場合、大災害で道路が寸断されると工場の稼働がストップする危険があるため、シャープはパイプライン供給で安全策を確保した。
三洋電機は昨年十月の新潟県中越地震で半導体製造子会社の新潟三洋電子(新潟県小千谷市)の設備が損傷し、売り上げ減を含む被害額は八百七十億円に上る見込み。この結果、平成十七年三月期の連結決算(米国会計基準)の最終損益は七百十億円の大幅赤字に転落する見通しとなった。
被害額が膨らんだのは、被災した工場に地震保険を掛けていなかったことが一因だ。桑野幸徳社長は「三洋電機本体は地震保険に入っていたが、子会社も加入すべきか検討中だった」と説明しており、子会社を含めた危機管理マニュアルの統一が求められそうだ。
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《金融》
■衛星電話、システム拠点分散
IT(情報技術)の発達で金融機関では十年前に比べると振り込みなどの電子決済が増え、インターネット上で残高などを確認する「ウェッブ通帳」も登場した。しかし、人手を介して現金をやり取りする形態が必要なのは今も変わりない。
三井住友銀行は、前身の旧さくら銀行の三宮支店など兵庫県内の五支店が被災して営業停止となり、神戸市の関西本部ビル(現神戸本部)や隣接支店に仮住まいした。その経験をもとに緊急時の対応ルールを作り、平成十三年の旧住友銀行との合併を機に内容を統一。携帯メールを活用した行員の安否確認手順などを細かく定めた。店舗に自家発電装置を備え、停電でも数日間は営業できる態勢を整えている。
また、大阪、東京、神戸の主要拠点には衛星電話を配置し、情報の途絶を回避。神奈川県と大阪市にコンピューターのシステム拠点を置き、どちらかが被災してもカバーできるという。
顧客データなどの維持管理も重要になっている。金融機関や投資顧問会社の資産運用管理システム向けに顧客データの復元サービスを提供している、住友生命保険の子会社、住生コンピューターサービス(大阪市)には、新潟県中越地震などをきっかけに銀行や生損保から問い合わせが相次いでいるという。日銀などでは、通帳がなくても本人確認できれば預金の引き出しを認める特別措置を発動するとみられ、当座の資金を円滑に供給する構えだ。
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《鉄道》
■橋脚補強や損害保険加入
新潟県中越地震では新幹線の脱線というこれまでにない事態が起きた。しかし、JR西日本では「多数の死傷者が出る惨事にならなかったのは耐震補強の成果。阪神大震災以降の教訓が生きた」と指摘する。安全・安定運行を支える設備面の防災対策が最も効果的という認識だ。
山陽新幹線は全線約五百五十キロのうち高架橋区間が52%を占め、橋脚は計四万一千六百本ある。うち補修が必要とされるのは三万二千五百本で、阪神大震災直後の平成七年から手がけた一万八千三百本については、すでに95%の補強工事が完了しているという。同様にJR東日本、JR東海も橋脚の耐震工事を前倒しする。これによって、三社合計で耐震補強が必要な橋脚数約六万八千六百本のうち、十八年度までに九割以上の補強が完了できるという。さらにJR西は十五年から、風水害に加え、地震で線路や高架などの施設が損壊した場合でも保険金を受け取れる損害保険に加入。地震被害の場合は百億円を上限に補償が受けられるという。
一方、西灘−御影間の高架が崩落するなど大規模な被害を受けた阪神電気鉄道も、運輸省(現・国土交通省)の指導に伴う高架の橋脚補強五百三十四本を十二年までに完了。その後も残る千三百本の橋脚のうち必要と判断したものについては、補強工事を進めている。
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《流通・食品》
■食料、水提供で体制整備
震災当時、ダイエーの子会社だったコンビニ大手・ローソンは、兵庫県内三百四十三店舗のうち約七割に相当する二百七十二店舗が被災、二十一店舗が閉鎖された。また、食料などの救援物資を配っても腐らせてしまうことやトラックによる配送が渋滞を引き起こすという問題が発生した。
同社では、この反省からマニュアルを一部見直し、新潟県中越地震の際には物資配送を一日三回に分け、自衛隊や地元自治体との連携を深め、配送も途中から自衛隊にバトンタッチするなど方式を改善した。
旗艦店の神戸店が被災し、本館部分が倒壊した百貨店のそごう。同社を傘下に置くミレニアムリテイリンググループは昨年、ほぼ全店で耐震対策を完了し、店舗別の危機管理マニュアルを作成した。災害時は、ただちに閉店し、安否確認を本部から電話やインターネットで確認できるようにした。
食品メーカーは、従業員の安否確認だけでなく、被災地への飲料水や食料の提供についても体制を整えている。
日清食品は、全国約五十カ所の営業所や工場の活動拠点を通じて東京か大阪の本社が情報を収集、カップめんを提供したり、給湯機能付きの車を派遣したりする。サントリーも災害対策本部を通じて情報を集め、ミネラルウオーターなどを提供する。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/18kei002.htm