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【熱き思い 企業にかける】光洋産業会長・田中束(たなか・つがね)さん(77)
コーリャンを素材化/温暖化防止に
http://www.sankei.co.jp/news/morning/17kei002.htm
研究を始めたきっかけは、司馬遼太郎さんでした。司馬さんが雑誌の対談で、日露戦争を舞台にした『坂の上の雲』には書き足りない点がいくつかあり、日本軍が広大なコーリャン畑に入り込んで撤退したという話を紹介していました。コーリャンを軍刀で1本1本切って道をつくって落ちのびるんです。だが、茎は軽いのに竹のように硬く、切るのに相当苦労する。これを読んで「このコーリャンが木の代わりになったら、世界の森林を伐採しなくてもすむ」と思いつきました。さっそく中国からコーリャンを取り寄せ、誰もやったことのないコーリャンを板に加工する研究を始めました。
《昭和33年に光洋産業を創業した田中束会長は倒産の危機に見舞われながらも、世界8カ国14社に技術供与した接着剤「KRボンド」、POP素材「ウッドラック」とヒット商品を立て続けに出し、経営を軌道に乗せた。コーリャン製の板(ボード)は製法を確立するのに約14年の月日を費やした》
コーリャンは調べれば調べるほどポテンシャルが高いことがわかり、研究に夢中になりました。軽量、高強度なのに加え、反りやゆがみがほとんどない。断熱特性や音響特性にも優れています。1年間に2メートルも伸び、中国では年間600万トンも収穫されますが、食品や飼料になるのは実だけ。残った茎のほとんどは焼却処分されています。だが、茎同士をくっつけるのが難しく、ボードの開発は難航を極めました。社内から研究中止の声が高まりましたが、1人でもやり遂げるつもりでした。
《研究開始16年後の平成8年に中国にボードの生産工場を建設。設備のトラブルなど試行錯誤を繰り返しながらも量産態勢を整えた》
内装材などに用途が広がっていますが、現在伸びているのが薄畳の芯材。戸建て住宅向けに加えマンション向けにも採用が広がっています。プラスチック製芯材に比べて反りやゆがみがない点が高く評価されています。この分野で業界2位ですが、今年はトップになる見通しです。
《コーリャン事業は設備の償却費がかさんで赤字が続いていたが、平成18年2月期は単年度黒字を計上する見込み。黒字に転じることで研究にはさらに熱が入る》
コーリャンボードの生産によって1ヘクタールの森林の伐採を防ぐことができたら、それだけで年間約1万3000トンの二酸化炭素吸収が見込まれ、温暖化防止の一助になりえます。さらにコーリャンは日照りなど過酷な環境でも生育する特徴があり、砂漠の緑化に使えるかもしれません。コーリャンは人類に貢献する素材になる可能性を秘めています。今後も研究に力を注いでいきます。
(聞き手 小熊敦郎)
◇
【こんな会社】
≪光洋産業≫田中会長が昭和33年に接着剤や同原料の卸売会社として設立。昭和44年にメーカーに転換した。ホルマリンを使わない木材接着剤「KRボンド」が日本化学会化学技術賞を受賞するなど、技術力のある中堅建材・接着剤メーカーとして知られる。平成17年2月期の売上高は100億円強の見込み。本社は東京都千代田区。沼津、富士、栃木、南那須の4カ所に工場がある。資本金1億2000万円。従業員は約230人(製造子会社含む)。