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朝鮮半島統一と南北輸送協力の方案
−道路・鉄道インフラ−
北東アジア地域開発フォーラム
http://www.iijnet.or.jp/IHCC/yusou-01.html
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韓国の経済はこの間における高い経済成長により、相当程度の資本と技術が蓄積されてきた。これを土台として北朝鮮との経済協力を強化し、民族の同質性を回復し、平和的統一の基礎づくりをしようとしている。一方、北朝鮮の立場は、外貨の不足と技術水準の遅れにより、「主体経済」の限界に直面しており、改革・開放政策の推進が不可避な状況である。しかし南北間には長期間の軍事的、政治的な対立のため、活発な経済交流に必要な基盤施設である、航空・海運・道路・鉄道・通信網などの面でほとんど関係が構築されていない。南北の経済協力が深まれば深まるほど物流量が増大する。これら社会間接資本の中でも、輸送網連結の必要性はさらに大きくなる。
1.北朝鮮の輸送施設の現況
今後、北朝鮮が輸出入を拡大し内需を増進する政策(改革・開放)を採択した場合、北朝鮮の現在の輸送構造では対外的な輸送を解決することは困難といえる。それを克服するためには、韓国の輸送施設を利用することがより経済的であるといえるが、そのためには南北間における輸送体系を整合性あるものにしていく必要がある。今後の統一を考慮する時、南北間における適切な輸送体系の連結は切実であるといえる。韓国は現在、鉄道と道路、海運、および航空輸送の分担率が各々34%、23%、43%で、比較的均衡ある構成を見せている。その反面、北朝鮮の各輸送手段の分担率は86%、12%、2%となっており、鉄道偏重の輸送体系であるといえる。
これまで、北朝鮮が鉄道偏重の輸送体系に固執してきた要因としては、
@民族的自立経済の建設という対内的な経済政策を固守してきた。
A鉄道で結ばれる中国およびロシアとの交易に重点を置いてきた。
B北朝鮮の日本海岸(東海岸)と黄海岸(西海岸)が断絶しており、海上輸送の利点がほとんど皆無であった。
−−などが挙げられる。
これまで北朝鮮は輸送の重要性を強調しながらも、持続的な発展を見ることができず、むしろ年々、輸送の困難さのみが増してきた。北朝鮮の輸送難は産業発展に見合った輸送体系を樹立・運営することができなかったことと、鉄道に偏重した輸送体系に起因しているといえる。
2.北朝鮮の道路整備の現況
1970年代以後、これまで北朝鮮は主要道路の舗装事業を積極的に推進してきた。1978年の「平壌〜元山」間における高速道路の建設以降、高速道路の総延長は約530kmほどとなる。具体的には、「平壌〜南浦」(53km)、「平壌〜元山」(172km)、「平壌〜順安」(15km)、「元山〜金剛山」(114km)、「平壌〜開城」(170km)などがある。また現在、「平壌〜煕川」(120km)区間の供用工事が進行中である。ここで北朝鮮の高速道路が平壌を中心に、南浦と元山が東西に、煕川と開城が南北に連結されていることがわかる(高速道路地図参照)。
北朝鮮における高速道路網の特徴としては、平壌を中心に工業地帯と港湾とを結ぶ目的で建設されていることである。すなわち平壌を中心に、西側には南浦港、東側には咸興と興南の金属・化学工業地帯を結ぶ元山港、北には北朝鮮最大の精密機械および自動車工業の中心地である煕川とを結んでいる。また南には最近完工した「開城〜平壌」間の高速道路(写真参照)があり、南北間を連結する道路としての役割が期待される。このように、現状における北朝鮮の高速道路は、産業基盤造成のために必須であり、優先的に建設が進められている。しかし、北朝鮮の道路運行方針は、30km以内の短距離輸送を原則にしており、今後も急激な道路交通の発達は期待し難いのが現状といえる。韓国の輸送体系が「主道補鉄」政策であるのに対し、北朝鮮は「主鉄補道」政策をとっており、道路輸送の貨物量は韓国の1/10に満たず、自動車の保有水準でも似たような格差を見せている。
3.南北韓の輸送協力
一方、道路輸送の場合、韓国政府は、統一後に備えて、長期道路網体系でもある、「南北七ヵ軸」、「東西九ヵ軸」の格子状幹線道路網の建設に、民間資本投資を積極的に進める計画である。韓国の建設部次官は 1994年8月、国会の経済力強化特別委員会での報告で、「統一に備えて国土の均衡ある開発のためには、格子状幹線道路網の建設が急務だ」と前置きしながら、不足財源の充当のため、道路建設に民間資本を積極的に誘致したいと語っている。「南北七ヵ軸」とは、木浦〜ソウル〜新義州、馬山〜原州〜恵山、光州〜ソウル〜満浦、釜山〜江陵〜先鋒軸などであり、「東西九カ軸」とは、既存の高速道路や国道を拡充してつくる計画である。
このような南北間における道路網の新設および拡充計画が、計画通りに進められるためには、何よりも北朝鮮当局の果敢な開放政策がなければならない。この計画が推進された場合、次のような要因から北朝鮮経済の活性化の補助となるものと考えられる。
第一に、経済困窮状態の北朝鮮としては、道路建設による雇用創出および連関産業の創出効果が期待できる。
第二に、道路関連の税収入および道路通行料を通じて、財政収入を上げることができる。
第三に、北朝鮮の経済を活性化するためには、何よりも海外の投資が必要とされるが、効率的で体系的な運送網の確保により、今後、海外投資を積極的に誘致できる。
4.結 び
南北は、それぞれ陸路の終点に大規模な港湾施設を建設し、これらを海路と結ぶことによって、陸路と海路の補完的な関係を構築し、相互間の輸送を活性化することが可能となる。さらに鉄道輸送だけではなく、南北間縦断高速道路の建設を通じ、朝鮮半島における輸送網を中国、ロシアとの周辺輸送網と連結し、東北アジア地域における物量拠点として育成していくことが可能となる。そのためには、北朝鮮の八大工業地区の周辺に物流団地(トラックターミナル、集配送センター、流通加工団地、倉庫施設などを保有する流通施設)を建設し、今後、韓国の主要都市に建設が予定されている複合貨物ターミナルと連結することが可能となってくる。これらを連結する輸送手段として、鉄道とトラック輸送が中心になり、国内輸送だけではなく国際貨物輸送の役割を担うことができるようになる。また南北間における海上輸送協力により、さらに効率的な輸送体系が構築できるであろう。