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東京など7都市、弁護士ら悩み聞きます
全国で二万五千人を超えるホームレス。抱える事情はさまざまだが、最近はヤミ金融被害で多重債務に陥り、路上生活に至るケースが増えている。さらに借金の担保として、保険証や印鑑証明などを取り上げられ、銀行の架空口座開設に加担させられるなど、二次被害も発生している。こうした被害を食い止めようと、弁護士らが東京、大阪など全国七都市でホームレスの住む公園などで、路上法律相談を始めた。法律家の目で見ると、「実は借金ではなかったり、手続きをすれば取り立てがおさまるケースがほとんど」という。
ホームレスの青いビニールテントが並ぶ隅田川の言問橋近くで昨年十二月十九日、弁護士と司法書士計八人が、「法律相談はこちらです」の手書き看板を掲げ、路上法律相談会を開いた。
「平成元年に一万円を消費者金融で借りたら、次々に借り換えさせられ、利息だけで三百万円になり、大阪から逃げてきた」(五十代男性)「数万円の借金がヤミ金で百万単位になり、取り立てが親兄弟まで及んだ。住民票と健康保険証を出せば堪忍するといわれ、渡したら勝手に借金をさせられ、夜逃げした」(六十代男性)
このほか、新宿、池袋でも相談会が開かれ、債務問題が三十五件中二十件と大半を占めた。
厚生労働省が一昨年二月行った調査によると、全国のホームレス数は二万五千二百九十六人と平成十一年の調査開始以来、最多を記録。ホームレスに至る原因は、「仕事が減った」(35%)「倒産・失業」(32%)と、長引く不景気を反映。最近では、ヤミ金被害による路上生活者が増えているという。
クレジット・サラ金問題に詳しく、今回の法律相談を行った宇都宮健児弁護士も、「最近はヤミ金被害でホームレスになってしまうケースが目立つ」と話す。さらに多重債務に陥ってからも、「保険証などを取り上げて、『オレオレ詐欺』などに悪用するための架空口座や、電話開設に名義が使われるなど、二次被害も増えている」と指摘する。
今回の路上相談を主催した「ホームレス総合相談ネットワーク」の信木美穂事務局長は「借金に対する正しい知識があれば、住民票を取られたり、路上生活を防げたケースは多い」と話す。また相談に応じた森川清弁護士も「本当に借金なのか、専門家に相談して見極めることが大切」とアドバイスする。まずは悪徳業者の言いなりにならず、専門家に相談することが、ヤミ金被害、二次被害に巻き込まれない対策といえそうだ。
ホームレス相談会は、都内各地では今後、一−三カ月に一度のペースで開催する予定。問い合わせは「ホームレス総合相談ネットワーク」(TEL03・5261・1504)まで。(飯塚友子)