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●米国は七兆三千八百四十億ドル
でも人口3億人
日本は1億2000万
米国:個人金融資産4000兆
日本:個人金融資産1400兆(そのうち600兆円を高齢者が所持)
ブッシュ再選と世界(3)赤字削減、市場に疑念。2004/11/07, 日本経済新聞
政権二期目の経済構想は二日の大統領選投票の前にすでに動き出していた。「年金制度の一部を民営化したい。知恵を貸してくれないか」。ワシントンの共和党系シンクタンクをひそかに訪れたローブ大統領上級顧問はこう切り出した。
ブッシュ大統領の参謀が選挙戦のさなかにわざわざ足を運んだのは危機感の裏返しだ。減税の看板を下ろさず、経済成長の促進と年金・医療分野の歳出カットで財政赤字を半分に減らす――。大統領はそのシナリオを具体化し、市場の信認を勝ち取る必要があった。
巨額の財政負担で対テロ戦争と大型減税にまい進した政権一期目。イラクのフセイン政権は倒れ、デフレの瀬戸際にあった米経済は息を吹き返したが、重いツケも背負い込んだ。
「世界の火薬庫」
財政赤字の増加は経常赤字の拡大を誘発し、いずれも過去最大の規模に膨らんだ。「双子の赤字」の膨張は長期金利の急騰やドル急落の引き金になりかねず、市場は米国を「世界経済の火薬庫」と見始めている。
「十八日の国債入札を延期する可能性がある」。大統領の再選が決まった三日。勝利宣言に沸くホワイトハウスの近くで、ビッツバーガー財務次官補代行は国庫の窮状を訴えた。連邦政府の債務が法律で定めた上限(七兆三千八百四十億ドル)に到達し、借金をこれ以上増やせないためだ。
スノー財務長官は三度目の上限引き上げを議会に要請している。議会が法案を可決するまでは支払いの一部停止などでやり繰りするが、最悪の場合は政府機関の窓口閉鎖に追い込まれる。財政の悪化を嫌気した債券市場では、価格下落・金利上昇の圧力が強まった。
五日のニューヨーク外国為替市場。十月の米雇用者数が大幅に増え、当初はドル買いが優勢になったが、ドル相場は直ちに反落し、対円で約七カ月ぶりの安値をつけた。経常赤字の拡大懸念によるドル売りのマグマの大きさを見せつけた。
ドル売り加速
ドル売りの流れが加速したのは大統領選の終盤からだ。貿易赤字の急増と対米証券投資の縮小で、経常赤字を穴埋めする米国への資金流入に不安が広がった。米連邦準備理事会(FRB)のダーン元理事は「ドルの防衛が政権の課題になる」と警鐘を鳴らす。
「財政政策の転換だけで対外不均衡の調整を促すことはできない」。FRBが六月末に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)では、経常赤字への懸念が相次いだ。景気が減速し物価が安定しているにもかかわらずFRBが利上げを急ぐのは金利の高め誘導で海外資本の逃避を食い止める狙いもあるといわれる。
だが、ブッシュ政権の経済運営は心もとない。米議会予算局(CBO)の試算では、大統領が提案しているように大型減税を恒久化すると、財政赤字が十年間で計一兆二千七百億ドル拡大する。
これだけの財政負担を経済成長による自然増収や歳出の削減で相殺し、赤字を半分に減らすのは至難の業だ。米モルガン・スタンレーのローチ主任エコノミストは「名目国内総生産(GDP)に対する経常赤字の比率も、四―六月期の五・七%が来年中には六・五―七・〇%に上昇する」と予測している。
「増税は必要ない。社会保障制度の改革が優先課題だ」。ブッシュ大統領は四日、脚本通りに二期目の経済構想を発表し、ローブ上級顧問はその傍らで会心の笑みを浮かべた。米国の有権者は世界の「司令官」を引き受ける強い大統領を求めたが、世界経済の「指揮者」としての力量に市場は疑念を抱いている。
(ワシントン=小竹洋之)